日本維新の会の緊急役員会で発言する前原誠司共同代表(中央)=25日午前、国会内(春名中撮影)

日本維新の会は25日、国会内で開いた両院議員総会などで、令和7年度予算案修正に関する自民、公明両党との合意案を了承し、予算案に賛成する方針を決めた。教育無償化といった〝果実〟は得たが、吉村洋文代表(大阪府知事)の政治姿勢に対する批判や根回し不足などで党内手続きは紛糾した。

「これからも公約を実行する。少しでも社会を変えるため前に進めていきたい」。吉村氏は石破茂首相と公明の斉藤鉄夫代表との党首会談でこう述べ、与党との政策協議の成果を誇った。だが、ここに至るまでの党内手続きは混迷を極め、現執行部の威信は傷ついた。

前原誠司共同代表は25日午前の緊急役員会で「われわれの社会保険料、教育無償化の考え方が具体的にまとまったと自負している」と胸を張った。慎重派とみられた浅田均参院会長も「今までにない成果を勝ち得たことは事実だ」と述べ、滑り出しは順調だった。

ところが、続く両院議員総会では吉村、前原両氏率いる現執行部の政策協議の進め方や党運営の方針に不満が続出した。

「国対政治が必要なら、『必要や』と言わなあかん!!」

維新の国政進出時からのメンバーの一人は前原氏ら現執行部に公然と異を唱え、馬場伸幸前代表率いる前執行部を「飲み食い政治」などと批判してきた吉村氏の政治姿勢に矛先を向けた。

吉村氏は昨年12月の代表就任の際、「飲み食い政治」との決別などを掲げたが、与党との交渉が行き詰まると、現執行部は「国対政治」に精通する遠藤敬前国対委員長の人脈を頼った。先のメンバーは吉村氏の言行不一致を追及したのだ。党内手続きが了承される前提で同日夕に党首会談がセットされていたことも怒りを増幅させた。

両院議員総会は正午過ぎから夕方まで断続的に開かれた。会議が中断している間、前原氏は前執行部を中心とする非主流派議員に根回しをして、何とか党内合意に取り付けた形だ。

党内手続きに手間取ったことで、現執行部の脆弱さが露呈し、求心力が低下する可能性もある。維新重鎮はこう皮肉る。

「あいつら全然、根回しせんからもめるんや。経験なし、センスなし、心なし。なしの三拍子や」

自公維、党首会談で高校無償化など予算修正合意