Siddharth Vikram Philip、Albertina Torsoli、堀江政嗣
- 4月に幹部人事刷新予定の日産は後継候補探る、と関係者-株価上昇
- 内田氏は5年以上経営トップ務める、後継なら後継者には課題山積み
日産自動車は27日までに、内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)を退任させることを視野に調整を始めた。業績悪化に加えてホンダとの共同持ち株会社設立交渉が頓挫したことなどを受け、経営責任を明確化させ人心を一新して出直しを図る狙いがある。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
公表前の情報だとして匿名を条件に話した関係者らによると、日産は就任から5年以上が経過した内田氏の後継候補の検討に着手した。同社は3月中旬にターンアラウンド(再生計画)の詳細について発表する方向で、4月には幹部人事の刷新を予定している。
カルロス・ゴーン元会長の逮捕以降の混乱を経て、長く経営トップを務めてきた内田氏が退任すれば日産は一つの区切りを迎えることになる。業績再建は今にいたるも道半ばのままで自動車業界の競争激化で新たなパートナー探しも急務となっており、次期トップには重い責任が課せられることになる。
日産広報担当の永井志朗氏はコメントを控えるとした。報道を受けて日産の株価は27日の東京市場での取引で上昇に転じ、一時前日比4.2%高の448円まで買われた。
日産は米国や中国の販売不振などで業績が悪化。今期(2025年3月期)純損益は800億円の赤字に転落する見通しで、タイなどでの工場閉鎖を伴い全世界で9000人を削減するリストラ案を進めている。内田社長はホンダとの共同持ち株会社設置構想でも先頭に立って交渉を進めてきたが、2月13日に協議を打ち切ることを正式発表、破談に終わった。
内田社長は会見で、一連の問題に対して社長として経営責任を重く受け止めているとコメント。最終的には株主や取締役会が決めることだとした上で、「私としては日産の業績の低迷に歯止めをかけ、現在の混乱を収束させることが喫緊の役割と認識」しており、「果たすべき務めに一日も早くめどをつけ、可及的速やかに後任にバトンタッチしたい」と述べていた。
内田氏は1991年に同志社大学神学部を卒業後、日商岩井(現双日)を経て2003年に日産に入社。購買担当を中心に歩み、中国事業のトップを務めたあと19年12月に社長に就任していた。
日産を巡っては、台湾の鴻海精密工業も提携を目指しており、必要であれば日産の大株主である仏ルノーが保有する株式の買い取りも検討しているほか、米投資ファンドのKKRが日産の資金調達に関して協議を始めていることも明らかになっている。
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