/cloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com/sankei/RHV3ZYMEKRMJNOU3Q765BRHPZY.jpg)
トランプ米大統領と会談したウクライナのゼレンスキー大統領の長袖シャツ姿について「なぜスーツを着ないのか」と詰問した米国の記者への注目が高まっている。英紙テレグラフなどは、この記者について保守系の新興メディア「リアル・アメリカズ・ボイス」のブライアン・グレン氏(56)だと報じた。グレン氏は1日、X(旧ツイッター)にゼレンスキー氏の服装について「わが国に抱いている敬意の欠如を反映している」と書き込んだ。
「スーツは持っているのか」
「なぜスーツを着ていないのか。あなたはこの国の最高位級のオフィスにいる。なのにスーツを着ることを拒んでいる。スーツは持ってはいるのか」
グレン氏は2月28日、ホワイトハウスの大統領執務室でトランプ氏と会談に臨むゼレンスキー氏に、こう質問した。会談は報道陣に公開され、最前列で問いかけたのがグレン氏だった。
ゼレンスキー氏は「この戦争が終われば、スーツを着るつもりだ。あなたと同等のものか、高いか、あるいは安いものかもしれない」と冗談を交えて切り返した。ゼレンスキー氏はロシアによる侵攻後、カーキ色の軍服のような服を着ており、この日はウクライナの国章(三つまたの矛)を胸元に刺繍した黒の上下で普段より格式ばった格好だった。
「リアル~」は2020年に設立された保守系メディア。トランプ氏の熱烈な支持者からは新聞やテレビなどの伝統的メディアに代わるメディアとして人気を博し、中でもグレン氏はトランプ氏が最も好きな記者の1人とされる。
「戦争状態を伝えるシグナル」
グレン氏は、トランプ氏側近のマージョリー・テイラー・グリーン共和党下院議員の恋人でもある。グリーン氏もボーイフレンドの行動について、SNSで「ゼレンスキー氏がわが国の大統領に金を物乞いしに来るときさえ、スーツを着ないほど無礼だったと指摘した。非常に誇らしい」と指摘したという。
一方、テレグラフは、ゼレンスキー氏の服装について「自国が戦争状態にあるという世界へのシグナルであり、第二次世界大戦で(空襲時用の作業着姿でホワイトハウスを訪問した)英国のウィンストン・チャーチル元首相も採用したものだ」と紹介した。
両国の決裂に終わった会談について「グレン氏の意味深な介入は執務室の雰囲気を悪化させ、ゼレンスキー氏を激怒させ、バンス副大統領、トランプ氏自身と衝突する道を歩ませた」と論評している。(奥原慎平)