Stephanie Lai、Debby Wu
- TSMCは米国での従来の投資計画(650億ドル)を上積みする
- 「世界で最も強力なAI半導体が米国で製造される」とトランプ氏

トランプ米大統領は3日、台湾積体電路製造(TSMC)が米工場に1000億ドル(約15兆円)を追加投資する計画を発表した。米国内の半導体生産増加につながり、国内製造業の拡大というトランプ氏の目標を後押しすることになる。
ホワイトハウスでの発表にはTSMCの魏哲家最高経営責任者(CEO)も同席した。トランプ政権1期目の2020年に始動した米国での事業の拡大に向けたビジョンが公表された。トランプ氏は「世界で最も強力な人工知能(AI)半導体がまさにこの米国で製造される」と歓迎した。
トランプ氏は「半導体がなければ、AIや自動車、最先端の製造業などあらゆるものを動かす経済力は存在しない」と発言した。
今回の投資額はTSMCによる米国での650億ドルの投資計画に上乗せされる。最終的に米国での同社工場は、先端ウエハーを製造する3工場と先端パッケージングを手掛ける2工場の計5カ所となる。

魏CEOは「AIとスマートフォンの進歩を支える多くのチップを生産することになる。トランプ大統領の支援に改めて感謝する」と述べた。ハイテク分野の製造業で数千人の雇用が創出される点も指摘した。
TSMCはAI向け先端半導体生産で世界をリードし、エヌビディアやアップルの主要な半導体製造パートナーだ。エヌビディアは今回の発表を受け、米国での強靱(きょうじん)な技術サプライチェーンを支えるため、TSMCの新工場を活用する意向を明らかにした。
TSMCの新規投資は台湾政府の承認がなお必要。台湾当局は、先端半導体技術に関する海外投資を慎重に審査するとしている。総統府報道官に通常時間外に電話したが、返答はなかった。
TSMCの米国預託証券(ADR)は米国時間3日の取引で、4.2%安で終了。カナダ、メキシコ、中国に対する米関税賦課を巡る警戒感からハイテク株全般が下げた。
トランプ氏は、米国の半導体業界を「盗んだ」として台湾を繰り返し非難し、外国産半導体への関税を警告している。米政府高官らも国内製造業を強化するとのコミットメントを一貫して確約してきた。
トランプ氏は政府の補助金よりも、関税を活用して米国のチップ製造を後押ししたい考えをこれまでに示している。政府の補助金はバイデン前大統領がCHIPS法で採ったアプローチだ。22年に可決した同法に基づき、TSMCはアリゾナ州フェニックスの3工場を支援するための補助金66億ドルを獲得した。
原題:TSMC Unveils $100 Billion in New US Investment, Joined by Trump(抜粋)