▽「子供じみている」孤立無援の維新・吉村執行部 党内に渦巻く不満、橋下徹氏も苦言<産経ニュース>2025/3/4 19:59

永原 慎吾

日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)
日本維新の会の吉村洋文代表(大阪府知事)

日本維新の会は4日の衆院本会議で令和7年度予算案に賛成した。与党との協議で高校授業料無償化を実現したが、吉村洋文代表(大阪府知事)率いる執行部の対応に党内から批判が噴出している。吉村氏が政治の師と仰ぐ党創業者の橋下徹元大阪府知事も苦言を呈するありさまだ。国民民主党も維新批判を強めており、吉村執行部は孤立無援だ。

「行きたいと思える高校に行ける、そこに一歩も二歩も近づいた」

吉村氏は4日、大阪府庁で、予算案に賛成し、高校授業料無償化を実現する意義を改めて強調した。前原誠司共同代表も党会合で「野党でありながら本予算に賛成する、大変、重い決断をお願いした。社会を変えていくために予算に賛成する」と胸を張った。

足元定まらない姿勢に批判

維新は現役世代を重視する「元祖」であり、教育無償化は憲法改正と並ぶ結党以来の党是の一つである。ただ、重要政策を実現した高揚感はあまりなく、むしろ経験不足の現執行部と、馬場伸幸前代表らに近い前執行部との対立が鮮明になった。

自民、公明、維新3党幹事長は3日、予算案と税制改正関連法案への賛成で合意したが、これを巡っても党内は混乱した。元凶は現執行部の対応だった。

青柳仁士政調会長は2月28日の党会合で、立憲民主党と国民民主の呼び掛けに応じ、ガソリン税暫定税率を7年度から廃止する法案を共同提出したい旨を発言し、了承を求めた。だが、3日には法案を共同提出した立民と国民民主を「野党のパフォーマンスでしかない」と一刀両断した。足元の定まらない姿勢に、党重鎮は「維新の信頼をおとしめる言動だ」と激怒する。

橋下氏の発信にも頭を悩ませる。橋下氏はX(旧ツイッター)で教育無償化の方向性には賛成するとしつつも、「(補助上限を定める)キャップ制も所得・資産要件も採用しない維新の教育無償化政策は教育格差をさらに拡大するだろう」と述べた。

玉木氏「手取り増えない」

国民民主という新たな外敵も浮上した。維新と国民民主は与党と個別に政策協議を進めていた。だが、維新が一頭地を抜くと、所得税が発生する「年収103万円の壁」引き上げを目指していた国民民主との関係に緊張感が走った。

維新が予算案と税制改正関連法案の修正案への賛成を決めると、国民民主の玉木雄一郎代表は「これでは手取りは増えない。残念だ」と批判した。立民重鎮は党内外からの攻撃に右往左往する維新執行部を「あまりにも子供じみている」と笑った。(永原慎吾)