Jarrell Dillard

  • ADP民間雇用者数、2月は市場予想14万人増-サービス部門で削減
  • 「政策不確実性や個人消費減速」、ADPチーフエコノミストが指摘

2月の米民間雇用者数は昨年7月以来の小幅な伸びにとどまった。労働需要の鈍化と整合する結果となった。

キーポイント
・米民間雇用者数は7万7000人増
 ・エコノミスト予想の中央値は14万人増
 ・1月は18万6000人増(18万3000人増)に上方修正
・ADPリサーチ・インスティテュートとスタンフォード・デジタル・エコノミー・ラボが共同で算出

  統計を受けて米国債利回りとドルは下落。株価指数先物は上昇を維持した。

  ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソン氏は「政策の不確実性や個人消費の減速が先月の人員削減あるいは雇用鈍化につながった可能性がある」と発表文で指摘。「最近発表された他の指標も合わせて踏まえると、雇用主が人員採用に消極的なことが示唆される。彼らは先行きの経済情勢を見極めようとしている」と続けた。

US Companies Add 77,000 Jobs in February | Wage growth was little changed
上段:民間雇用者数の増減、下段:転職者の賃金変化率【棒グラフ)と転職しない労働者の賃金変化率(折れ線グラフ)出所:ADPリサーチ・インスティテュート

  労働市場の減速は最近のデータに示されている。2月22日終了週の新規失業保険申請件数は増加し、今年に入って最高水準となった。企業や連邦政府機関で人員削減の発表が増えていることを反映した。

  2月のADP統計では、貿易や運輸、公益、教育、ヘルスケアなどサービスセクターでの雇用削減が目立った。財生産部門の雇用は4万2000人増と、2022年10月以来の大幅な伸びを示した。

  地域別で見ると、南部と西部では雇用者数が減少。悪天候が全体の雇用悪化に大きく影響した可能性が示唆される。事業の規模別では、雇用が減ったのは従業員数が20人未満の小規模企業のみだった。

  消費者は今後1年間の失業増加について懸念を強めていることがミシガン大学消費者マインド指数の統計では示唆された。労働市場の下支えとインフレ抑制のバランスを取ろうと努める米金融当局は、雇用悪化の兆候を注視している。

  賃金の伸びは2月も前月とほぼ同様だった。転職した労働者の賃金は6.7%上昇。同じ職にとどまった労働者の賃金は4.7%上昇した。

  7日に公表される2月の雇用統計では、政府職員を含めて雇用者数の伸び加速が予想されている。ただしこのデータは、トランプ米政権による政府職員削減が本格化する前に収集された。

  統計の詳細は表をご覧ください。

原題:US Firms Add 77,000 Jobs, Smallest Gain Since July, in ADP Data(抜粋)