▽ベッセント財務長官、トランプ関税の物価への影響は「一過性」と認識<bloomberg日本語版>2025年3月7日 9:00 JST

アンスティー・クリストファー、Liz Capo McCormick

  • 「私はインフレを心配していない」-原油安や利回り低下を強調
  • 対中関税は中国の関税システムに対する効果的な抵抗との見方示す

ベッセント米財務長官は6日、トランプ大統領の関税が新たなインフレの波を引き起こすとの見方を否定するとともに、連邦準備制度はそれらを一度きりの影響と捉えるべきだと主張した。

  ニューヨーク経済クラブで講演した同長官は質疑応答で、「私は、今後予想される連邦準備制度の政策に言及しないことに同意した」が、「つまずいた『一過性チーム』が盛り返し、もし関税による物価調整が一回だけなら関税の影響は一過性だと考えることを期待する」と述べた。

  「一過性チーム」という表現は、消費者物価の上昇加速は一過性で、利上げは不要とした2021年に連邦準備制度が示した見解を指す。この判断は誤りだったと今では見なされている。 

US Treasury Secretary Scott Bessent Speaks At Economic Club Of New York
ベッセント米財務長官Photographer: Victor J. Blue/Bloomberg

  ベッセント長官は、トランプ政権発足以来、原油価格が下落していることや、欧州や日本の利回りが急上昇していても米国債利回りは低下している点を強調。米国の住宅ローン金利も低下した。

  「つまり、全体として私はインフレを心配していない。関税による物価調整は一回だけかと問われれば、イエスだ」と表明した。

  また、自身とトランプ氏はフェデラルファンド(FF)金利誘導目標より米10年国債利回りの押し下げに重点を置いていると重ねて説明した。

  トランプ氏について、「連邦準備制度に利下げを要求しなくなったことは分かるだろう」とした上で、「われわれは10年債を重視し、利回り引き下げに向け政権として何ができるかを中心に考えたい。その一つは健全な財政政策だ。歳出を抑制して信頼を取り戻す」と語った。

  中国については、米国と相いれない経済システムで「われわれの製造業に大打撃を与えた」と指摘し、対中関税はこうしたシステムに対する効果的な抵抗との認識を示した。

原題:Bessent Highlights Trump’s Fed Silence, Rejects Inflation Worry(抜粋)