石破総理の商品券問題の波紋が週末にさらに広がった。総理と同じ鳥取県選出の舞立昇治(まいたち・しょうじ)参議院議員は16日、鳥取市内で開かれた自民党県連の会合であいさつ、石破総理の商品券配布について「歴代の首相が慣例として普通にやっていた」(読売オンライン)と述べた。総理を庇うつもりの発言だろうが、自民党の歴代総理が新人議員への金品贈与を慣例として行なっていた。これが事実なら裏ガネ問題だけではない。自民党では議員同士の金品のやり取りが状態化していたことになる。しかも歴代総理だ。贔屓の引き倒し。この時期にそういう発言をすること自体が、金権体質そのものだ。主要メディア(Web版)は昨日の深夜、企業献金の継続を主張する総理を直撃するような記事を掲載した。

朝日新聞によると総理の側近中の側近である赤沢亮正経済再生担当相(衆院鳥取2区)は、鳥取県米子市の「米子瓦斯」とグループ企業の会長や社長ら少なくとも9人から、個人献金計231万円を受けていた。政治資金収支報告書で16日分かったとあるが、先刻承知の事実だろう。こちらも長年続いている慣行のようだ。会長らは同じ日付で献金し、最も多い年で8人が名を連ねていた。金額も1回3万~5万円と近接していた。岩井奉信日大名誉教授は「事実上の企業献金と見なされても仕方がない」と指摘する。明らかに企業献金の個人献金への振替だろう。国民民主党の玉木代表が指摘していることがすでに実施されている。企業献金を廃止しても抜け道はいくらでもある。石破総理の地元の鳥取県ではすでに抜け道尾が定着している。抜け道を潰さない限り、企業献金を廃止しても同じことが繰り返される。

かくして石破政権の支持率は急落する。朝日新聞の調査(15日、16日に実施)によると同政権の支持率は26%で、前回2月調査の40%から大幅に下落した。毎日新聞(同)は23%(前回30%)。当然だろう。こうした中で立憲民主党の野田代表は青森市内で講演し、総理が説明責任を果たさないまま退陣して幕引きを図るのは認めないとの考えを示した。「徹底して説明を求める。内閣不信任決議案提出や退陣を求める声があるが、私は簡単に求めない」(日経Web版)と述べた。そりゃそうだ。この際、徹底的に石破総理並びに自民党を追及する。都議選(6月)と参院選(7月)が控えている。石破政権が継続していた方が選挙に有利だ。だが、“悪知恵”は自民党の方が野党より遥かに上だ。予算を絡めた与野党の悪知恵合戦が始まる。自民党は予算成立に関係なく総裁選に突き進むだろう。結局来年度予算の成立は、維新の“浅知恵”次第ということか。