▽ルペン氏、2027年大統領選出馬難しく-EU補助金横領で有罪判決

Gaspard Sebag

  • 執行猶予付き禁錮4年、5年間の被選挙権停止-ルペン氏側控訴へ
  • ロシア、ハンガリーなど極右指導者らから支持の声

フランスの極右政党・国民連合(RN)を実質的に率いるマリーヌ・ルペン氏は31日、選挙資金を横領したとして、パリの裁判所で執行猶予付き禁錮4年の有罪判決を受け、5年間の被選挙権停止処分となった。ルペン氏は、2027年の次期大統領選には出馬できない可能性が高い。

  ルペン氏の弁護士は控訴する方針を示した。

  判決によると、ルペン氏とRNは欧州連合(EU)の補助金440万ユーロを、国内政策に関連する活動資金に流用した。

Marine Le Pen leaves court in Paris, on March 31
裁判所を離れるマリーヌ・ルペン氏(3月31日)Photographer: Cyril Marcilhacy/Bloomberg

  ルペン氏の弁護士は、判決に異議を申し立てる間、被選挙権の停止措置を保留にはできないとする裁判所の判断を批判している。事件の複雑さと被告人の多さから、次期大統領選前に控訴審判決が下される可能性はゼロではないが、難しいとみられる。

  ただ、ルペン氏の控訴によって、禁錮4年の実刑判決は保留となる。

  判決について、カーディフ大学の政治学講師で、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの客員研究員であるマルタ・ロリマー客員研究員は「おそらくルペン氏の政治キャリアが終わったことを意味する」との見方を示した。

  市場では、米国が4月2日にも導入するとされる「相互関税」により高い関心が集まっており、ルペン氏の判決は冷静に受け止められたもようだ。フランスとドイツの10年債利回り差(スプレッド)は、2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大して73となった。フランスのCAC40株価指数は31日午後の取引で1.6%下落した。

  判決直後から、ルペン氏には欧州の極右指導者らから支持メッセージが寄せられている。

  ロシア大統領府のペスコフ報道官は、ルーマニアの大統領選挙とルペン氏の判決に言及し「欧州では民主主義の規範が踏みにじられている」と述べた。

  ハンガリーのオルバン首相は判決直後、X(旧ツイッター)に「私はマリーヌだ」と書き込んだ。イタリアの右派政党「同盟」党首のサルビーニ副首相は判決を「ブリュッセルによる宣戦布告」と呼び、「私たちはひるまず、止まらない」と強調した。

原題:France’s Le Pen Found Guilty in Case Over Misuse of EU Funds (3)Marine Le Pen Barred From 2027 French Presidency Run (3)(抜粋)