- 対中104%関税賦課へ秒読み、オフショア人民元が最安値更新
- 米中小企業の景況感悪化、巧妙な手口、「スイッチ2」に打撃
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104%秒読み
トランプ米大統領は相互関税を巡り、友好国や主要同盟国との交渉を優先させる姿勢を鮮明にしている。一方、対立を深める中国とは土壇場での合意成立への期待が遠のいている。トランプ氏は韓国の大統領権限を代行する韓悳洙首相と電話会談を行い、韓国との交渉は「順調に見える」と述べた。ハセット米国家経済会議(NEC)委員長によると、トランプ氏は友好国との交渉を他国より優先させるよう明確な指示を出している。ホワイトハウスのレビット報道官は、米国は9日から中国製品に計104%の関税を賦課すると述べた。
最安値更新
オフショア人民元は8日のニューヨーク市場で史上最安値を更新した。貿易を巡る米国との対立が激化する中、中国当局が元安を容認しているとの見方から売りが加速した。中国人民銀行は同日、人民元の中心レート(基準値)を1ドル=7.2038元と、2023年9月以来の元安水準に設定。中心レートが7.20元より安い水準に設定されたのは、トランプ氏が昨年11月の米大統領選を制して以降で初めて。この水準は当局が緩やかな「レッドライン」と見なしているとして投資家が注目していた。
懸念が増大
全米自営業連盟(NFIB)が発表した中小企業の景況感は3月、2022年6月以来の大きさで低下した。トランプ政権の大規模な関税政策を受け、事業環境と販売の見通しに対する懸念が強まった。中小企業楽観度指数は10項目のうち7項目が低下。向こう6カ月に事業環境が好転すると予想する中小企業オーナーの割合は16ポイント低下。3カ月連続の下げで、2020年12月以来の大幅低下を記録した。インフレ調整後の販売増加を見込む企業の割合は11ポイント低下し、24年1月以来の大きな下げとなった。
巧妙な手口
楽天証券などで顧客のログインパスワードなどが第三者に取得され、不正な取引が行われた問題について、専門家は2つの巧妙な手口が使われた可能性を指摘する。証券各社はフィッシング詐欺などによる不正取引が発生しているなどとして、セキュリティー強化を呼びかけている。ただ、NHKなどの報道によると、不正なメールのリンクをクリックしてパスワードなどを入力した覚えはないと主張する被害者の声もある。警視庁サイバーセキュリティアドバイザーも務めるSBテクノロジーの辻伸弘氏は、不正取引に使われた可能性のある手口として、「アドバーサリー・イン・ザ・ミドル(AiTM)」と「インフォスティーラー」を挙げている。
予想引き下げ
米調査会社DFCインテリジェンスは、任天堂の家庭用ゲーム機「スイッチ2」の2025年販売台数予想を引き下げた。トランプ米大統領の関税政策を巡る不透明感が理由。今年の販売台数予想を1500万台とした。従来予想は1700万台。下方修正後でも、史上最速ペースで売れるゲーム機になるとの見通しに変わりはない。ただ、関税による不確実性の大きさを示す象徴的な事例でもある。任天堂が生産を移行させているベトナムに対してトランプ政権は46%の関税を課す方針を示している。
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