▽オフショア人民元が史上最安値-中国が下落容認との見方、関税警戒
- 一時0.94%下落し1ドル=7.4141元-中心レート23年以来の元安水準
- 7.50元かそれを超える水準まで下落する可能性-ウェルズ・ファーゴ
オフショア人民元は8日のニューヨーク市場で、史上最安値を更新した。貿易を巡る米国との対立が激化する中、中国当局が元安を容認しているとの見方から売りが加速した。
オフショア人民元はドルに対して一時0.94%下落し、1ドル=7.4141元を付けた。中国人民銀行(中央銀行)は同日、人民元の中心レート(基準値)を1ドル=7.2038元と、2023年9月以来の元安水準に設定した。
中心レートが7.20元より安い水準に設定されたのは、トランプ氏が昨年11月の米大統領選を制して以降で初めて。この水準は当局が緩やかな「レッドライン」と見なしているとして投資家が注目していた。オンショア人民元は23年9月以来の安値を付けた。

ウェルズ・ファーゴのマクロ戦略・新興国市場担当マネジングディレクター、アループ・チャタジー氏は「人民元の下落ペースはここから加速するとみている」と指摘。中国当局は中心レート設定で「柔軟性を高めることを示唆している」と述べた。
同氏はまた、オフショア人民元が7.50元かそれを超える水準まで下落する可能性があるとの見方を示した。
元安への誘導は輸出競争力を高めるために中国当局が取り得る選択肢の一つとみられている。しかし急激な元安の容認は中国経済に対する弱気な見方を増幅し、資本流出を拡大させる恐れがある。また、米国との関係を一層悪化させ、貿易交渉の見通しを暗くする可能性もある。
トランプ米大統領は7日、中国が米国製品に対する34%の報復関税を撤回しない場合、「50%の追加関税を課す」と警告。中国商務省は反発し、「米国がその方針を変えなければ、中国は最後まで闘い抜く」と表明した。
原題:China’s Offshore Yuan Drops to All-Time Low Amid Tariff Worries(抜粋)
