▽JERAと三井物産、米企業と低炭素アンモニア工場建設へ-世界最大

Kim Chipman

  • 40億ドル規模の合弁事業、CF40%・JERA35%・三井物25%出資
  • 商業生産は29年の開始予定、環境配慮型の農作物肥料への需要高まる

米肥料メーカーの米CFインダストリーズは、JERA(ジェラ)と三井物産の日本企業2社と提携し、世界最大の低炭素アンモニア工場をルイジアナ州に建設する。背景には、環境に配慮した農作物用肥料に対する需要が高まっていることがある。

  今回の合弁事業は40億ドル(約5900億円)規模で、CFが40%、JERAが35%、三井物産が25%をそれぞれ出資する。来年の建設着工を予定しており、商業生産は2029年の開始を見込む。同施設の年間生産能力は約140万トン。

  CFは同工場に約5億5000万ドルを投じる計画で、合弁事業から収益を受け取る。生産されるアンモニアの引き取り(オフテイク)については、3社それぞれが出資比率に応じて個別に行う。

  各国政府の奨励策や規制を背景に、企業は地球温暖化ガスの排出削減を目指しており、低炭素アンモニアへの需要が高まっている。CFインダストリーズはアンモニア生産と窒素肥料で世界最大手で、農家やバイオ燃料企業向けに環境負荷の少ない肥料の供給拡大を目指している。

  CFインダストリーズのトニー・ウィル最高経営責任者(CEO)は「これは環境の観点から正しいだけでなく、実需を伴っており、プレミアム価格でも購入したい顧客が存在するという点においても理にかなう」とインタビューで話した。

  建設費の半分は輸入が必要な資材関連で、その多くは今後3年に搬入される予定だ。ウィル氏は、トランプ大統領の関税政策が同プロジェクトのコストを増大させる可能性があるとしながらも、CFは吸収する用意があると説明。  

  「関税措置が流動的なことを踏まえると、資材が搬入されるまでの間に状況は幾度も変わり得る」と述べた。

  また窒素肥料の主要コストである天然ガスを低価格で入手できることに加え、炭素回収技術や充実した輸送インフラを備えていることを踏まえると、米国は最適な建設地だとウィル氏。「窒素肥料工場を建てる上で、米国以上に適した場所はない」と語った。

  アンモニアそのものは炭素を含まないが、従来の製造方法では二酸化炭素(CO2)が排出される。CFの新施設では、CO2の排出削減に向けて炭素回収・貯留(CCS)技術を活用する。

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CFインダストリーズののルイジアナアンモニア生産施設Source: CF Industries

原題:US Fertilizer Maker CF to Lead New $4 Billion Ammonia Plant(抜粋)