米国ではトランプ大統領と側近だったイーロン・マスク氏の対立が激化している。原因は財政の健全化をめぐる認識の違い。トランプ氏の「大きくて美しい法案」、別名「減税法案」にマスク氏が強烈に噛みついた。DOGE(政府効率化省)を率いてきた同氏には、財政赤字拡大につながるトランプ氏の姿勢が気に入らないのだろう。「この法案に賛成した議員は恥を知れ」と非難した。対する大統領。「(マスク氏は)E Vの補助金削減が気にらないのだろう」と推測し、「(財政健全化にはマスク氏の)関連企業に対する補助金をカットすれば済む」とまで言い切った。喧嘩の原因は財政に対する認識の違い。路線の違いが顕在化したと言うわけだ。一方、日本では国会の会期末を控えて野党第1党の立憲民主党が、内閣不信任案を提出するかどうか、水面下で与野党が入り乱れて猛烈な駆け引きが続いている。ある意味では増税派対減税派の戦い。参院選を控え鍵を握っているのはどうやら、増税派の立憲民主党・野田代表のようだ。

日米の政治情勢を俯瞰すると、政治的争点は意外に単純化できる。トランプ大統領の“敵”は民主党(=DS)と中国。内政面では民主党を徹底的に叩き潰す意向。国際面ではその対象が中国ということになる。一方日本。岸田前政権の誕生とともに減税派と増税派の対立が鮮明になってきた。石破政権は言うまでもなく増税派(=DS)の傀儡政権。後ろに控えているのは事実上の総理と呼ばれている森山幹事長。ひところ「減税も選択肢」と発言していた総理だが、5月8日に四谷の日本料理店さくまで森山氏と会食したあと、減税の選択肢をかなぐり捨てて幹事長にひざまづいている。森山氏の後ろに控えているのは財務省と岸田前総理の懐刀である木原選対委員長、それに野田代表だろう。傀儡政権を支えているのは根っからの米民主党贔屓の人たちだ。ちなみに8日の会食には総理の妻と、幹事長の長女が同席した。長女は幹事長の政策秘書。東大法学部卒でDSの裏社会に精通している才媛だ。

米国で面白いのは減税法案の評価だ。行政予算管理局(OBM)と共和党系のシンクタンク、ヘリテージ財団の評価が180度違う。OBMは連邦政府の行政機関の一つ、中立・公平な立場を保っているとされる。だが実態は民主党が牛耳っているようで、報告書はいつも民主党寄り。減税法案に対しても将来的に財政赤字が2.4兆ドル増えるとの報告書をまとめている。これに対してヘリテージ財団は債務は1.4兆ドル減少すると真逆。マスク氏はOBMを根拠に反トランプに打って出たか?新党立ち上げにも言及している。これに対してトランプ氏。民主党に献金したら「非常に深刻な結果を招く」といつもの恫喝。さてどうなるか。一方の日本、与野党入り乱れた政局の混迷と同時にもう一つの大問題、トランプ関税対応は難航している。当然だろう。ベッセント財務長官は民主党寄りで、中国贔屓の傀儡政権に疑念を抱いている。今週末はG7サミット。「国益を犠牲にしてまで急ぐつもりはない」と説明する総理。傀儡政権の危うい立ち位置と、DS対応の違いを自覚しているようだ。