▽米鉄鋼労組「変更は明らか」 USスチールに日鉄買収計画の詳細求める

日鉄のUSスチール買収

全米鉄鋼労働組合(USW)本部(米ペンシルベニア州)

【ヒューストン=大平祐嗣】日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収を巡り、全米鉄鋼労働組合(USW)が現状の詳細を求める書簡をUSスチールに送ったことが明らかになった。トランプ米大統領らの発言から既存の買収計画に「重大な変更を伴うことは明らか」だとして、変更に伴う情報を知る権利を主張した。

USW幹部がUSスチールの労務担当役員に6日付で書簡を送った。トランプ氏がSNSに投稿した「計画的パートナーシップ」やペンシルベニア州選出の上院議員が言及した重要事項に拒否権を行使できる「黄金株」などの詳細の開示を求めた。

書簡では、対米外国投資委員会(CFIUS)による審査内容を受けてトランプ氏が精査するという15日間が過ぎても決定が出ていない点も指摘した。既存の合併契約と異なる場合は、基本労働協約への影響の有無を確認する必要があるなどとした。

関連した組合員向けの声明では、5月30日のトランプ氏による集会後も「信ぴょう性のある情報は何もない」と記した。140億ドル(約2兆円)とされる日鉄による設備投資も「詳細が明らかでない」とした。

買収計画は18日にバイデン前大統領が出した中止命令による買収破棄証明書の提出期限を迎える。買収を進めるにはこの期限までにトランプ氏が中止命令を破棄する必要があり、トランプ氏の判断が注目されている。

【関連記事】