
[ワシントン 4日 ロイター] – 米議会上院財政委員会が4日開いた公聴会で、与野党議員からケネディ厚生長官のワクチン政策への疑念や批判が相次いだ。特に議員らは、疾病対策センター(CDC)所長を務めていたスーザン・モナレズ氏が就任後1カ月足らずで解任された問題をやり玉に挙げた。
与党共和党のビル・キャシディ上院議員(ルイジアナ州)は、トランプ大統領が1期目に新型コロナウイルスワクチンの開発・製造・供給を迅速に進めた「ワープ・スピード作戦」を高く評価し、この取り組みはノーベル平和賞に値するとの意見に賛成するかとケネディ氏に尋ね、イエスとの答えを引き出した。
その上でキャシディ氏はケネディ氏に、ではなぜ新型コロナウイルスワクチンはウイルス自体より多くの人を殺したと発言したのかと質問。ケネディ氏はそうした発言をしたことを否定し、結局同ワクチンが病死を予防したと認めたものの、具体的な効果は明らかにしなかった。
同じ共和党のジョン・バラッソ上院議員(ワイオミング州)は、ケネディ氏が厚生長官指名承認公聴会で最も厳しいワクチン接種要件を順守すると約束したのに、その後米国ではしかの感染が広がり、国立衛生研究所トップからメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンを疑問視する声が聞かれ、最近ではCDC所長が解任される事態が起きていることに懸念を強めていると苦言を呈した。
野党民主党のマギー・ハッサン上院議員(ニューハンプシャー州)やラファエル・ワーロック上院議員(ジョージア州)、民主党と統一会派を組む無所属のバーニー・サンダース上院議員らも、mRNAワクチン技術の研究開発予算5億ドルの拠出を取りやめたことなどケネディ氏のワクチン政策を追及した。
ケネディ氏が推進するワクチン政策に科学的根拠がないとの考えで反対したことでCDC所長を解任されたモナレズ氏は4日、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で、ワクチンの推奨事項を事前承認し、CDCの複数のキャリア職員を解雇するよう指示されたことを明かし、自身の解任は米国のワクチン基準を弱める幅広い措置の一環だったとの見解を示した。
一方ケネディ氏は、モナレズ氏の解任は妥当だったとの立場を変えず、CDC職員をさらに解雇する必要があるかもしれないと強調した。
