▽ポーランド領空侵犯に非難相次ぐ、ロシアは関与否定 英独仏など対応協議<ロイター日本語版>2025年9月11日午前 4:28 GMT+9

ポーランド領空侵犯に非難相次ぐ、ロシアは関与否定 英独仏など対応協議

[ワルシャワ/モスクワ/ロンドン/ワシントン 10日 ロイター] – 北大西洋条約機構(NATO)加盟国のポーランドが10日、自国の領空内でロシアのものとみられるドローン(無人機)を撃墜したことを受け、英仏独やカナダなどのNATO加盟国から非難の声が相次いだ。ロシアはこの件への関与を否定。英独仏など欧州5カ国とウクライナがロンドンで国防相級の会合を開き対応を協議したほか、トランプ米大統領がポーランドのナブロツキ大統領と電話会談を予定するなど外交面での対応が続けられている。

当局者によると、9日夜から10日朝にかけてポーランド領空に侵入したドローンに対応するために、ポーランドのF16戦闘機、オランダのF35戦闘機、イタリアの早期警戒管制機(AWACS)、NATOの空中給油機が緊急発進。NATO加盟国による攻撃行為は2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻開始以降、公表された事案としては初めてだった。

ロシア国防省は、ウクライナ西部の軍事施設に対するドローンを用いた大規模攻撃を実施したとした上で、ポーランド国内の標的を攻撃する計画はなかったと表明。ただ、 この問題に対処するためポーランド当局との協議に応じる用意があるとした。ロシア外務省もこうした協議に参加する意向を示した。

ポーランドのトゥスク首相は議会で「第2次世界大戦以来、最も紛争に近づいた」と指摘。同時に、「戦争の瀬戸際にあると信じる理由はない」とも述べた。ポーランドもNATOも、侵入したドローンの目的についてこれまでのところ詳細に説明していない。ただ軍当局者は、少なくとも5機のドローンの飛行経路からNATOによるウクライナ向け兵器供給の主要拠点になっているジェシュフ空港に向かっていた可能性が示唆されると指摘。ロシアがNATOの防空能力や警戒システムを試そうとした可能性があるとの見方も出ている。NATOはこうした見方が出ていることについてコメントを控えている。

こうした中、英独仏伊とポーランドのほかウクライナがロンドンで国防相級の会合を開催。 英国のヒーリー国防相は会合後、NATOによるポーランド上空の防空能力強化に向けた選択肢を英軍に検討させる方針を示した。

ウクライナのゼレンスキー大統領はルッテNATO事務総長のほか、ポーランドのトゥスク首相を含む欧州首脳と電話会談を実施。会談後「共同の防空システムの構築に取り組み、欧州上空に効果的な空の盾を作らなければならない」と述べた。恒例の夜のテレビ演説で「ロシアは限界を試そうとしている。NATO加盟国の軍がどう動くか、何が可能で、何か可能でないか見極めようとしている」と指摘。ウクライナを含む欧州全体が「米国の強い対応を期待している」と語った。

▽ポーランド、ロシア無人機を撃墜 意図的侵入との見方<ロイター日本語版>2025年9月10日午後 8:16 GMT+91

ポーランド、ロシア無人機を撃墜 意図的侵入との見方

[ワルシャワ 10日 ロイター] – ポーランドは10日、領空に侵入したドローン(無人機)を撃墜した。北大西洋条約機構(NATO)加盟国による攻撃行為は、2022年のロシアのウクライナ侵攻開始以降、公表された事案としては初めて。欧州政府関係者からは、今回の領空侵犯は意図的なもので、ロシアのエスカレーションの表れとの指摘が出ている。 もっと見る

ポーランドは、ロシアがウクライナ西部を中心に大規模な空爆を実施している最中に19の物体が領空に侵入し脅威をもたらしたとして撃墜したと発表した。トゥスク首相は、NATO加盟国が安全保障に関する協議を要求できるNATO条約第4条を発動したと明らかにした。

NATOの報道官は、ルッテ事務総長がポーランド側と連絡を取り、緊密に協議していると述べた。 NATO情報筋は、今回の事案を攻撃ではなく意図的な侵入として扱っていると述べた。 もっと見る

トゥスク首相は「安全保障上の脅威となる無人機が撃墜されたという事実は、政治状況を変えるものだ」と指摘。「われわれは大規模な挑発行為に対処している。このような挑発行為を撃退する用意がある。状況は深刻であり、さまざまなシナリオに備えなければならないことを疑う者はいない」と述べた。

ロシア国営通信RIAによると、同国外交官は、ポーランドは撃墜した無人機がロシアのものという証拠を示しておらず、ロシアによる領空侵入の非難は「根拠がない」と述べた。

ポーランド軍司令部は、東部3地域が特に危険だとして、住民に自宅待機を要請した。

EUのカラス外交安全保障上級代表(外相に相当)は、ロシアの無人機が欧州の空域に侵入したのは、偶発的なものではなく、意図的なものであることを示唆する初期の兆候があったと述べた。

「ロシアの戦争は終わるどころかエスカレートしている。われわれは、ロシアの負担を重くし、ウクライナへの支援を強化し、欧州の防衛に投資しなければならない」とXに投稿した。「EUは主要な役割を担っており、イースタン・ボーダー・シールド防衛ラインのようなイニシアチブを支援していく」とも述べた。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアがウクライナ西部を約415機の無人機と40発以上のミサイルで攻撃したとした上で、少なくとも8機のドローン(無人機)がポーランドを照準としていたと指摘した。 もっと見る

フォンデアライエン欧州委員長は、ロシアに対する制裁強化を主張し、ロシア産原油を輸送する「影の船団」への制裁を準備していると述べた。

チェコのリパフスキー外相は、NATOは前線で防空体制を強化すべきと訴えた。

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