▽ロシア戦闘機3機エストニア領空侵犯、NATO即応 来週北大西洋理事会招集<ロイター日本語版>2025年9月20日午前 6:27 GMT+9

[ワシントン/ビリニュス/ブリュッセル/ワルシャワ 19日 ロイター] – バルト3国のエストニアは19日、ロシアのミグ31戦闘機3機が12分間にわたり領空を侵犯したと発表した。エストニアは北大西洋条約機構(NATO)加盟国。NATOはイタリア空軍のF35戦闘機を緊急発進させ対応した。
ロシア軍機はNATO領空内に約9キロ侵入。NATOによると、エストニアはNATO条約第4条に基づく協議を要請した。NATOは来週初めに最高意思決定機関である北大西洋理事会(NAC)を招集し、事態の詳細を協議する。
NATO東部では9─10日にポーランドにロシアのドローン(無人機)が侵入しており、欧州連合(EU)はロシアによる領空侵犯への「共同対応」について、来月にコペンハーゲンで開く首脳会議で協議する。
エストニアのツァクナ外相は「ロシアは今年すでに4回エストニア領空を侵犯しており、それ自体容認できない」とし、この日のロシア戦闘機による領空侵犯は「前例のないほど挑発的」と非難。「ロシアが国境を試し、攻撃的な姿勢をエスカレートさせていることに対し、政治的、経済的圧力を迅速に強めて対処しなければならない」と述べた。
エストニア政府は、在エストニアのロシア上級外交官を呼び出し抗議。NATO報道官は、ロシア軍機によるエストニア領空侵犯にNATOが直ちに対応したと表明した上で、NATOの対応能力を試す「ロシアの無謀な行動の新たな例」と非難した。
欧州連合(EU)の外相に当たるカラス外交安全保障上級代表は、ロシア軍機によるエストニア領空侵犯は 「偶発的なものではない」と指摘。 EUのコスタ大統領も「容認できない挑発」と非難した上で、「欧州東部の防衛強化のほか、ロシアに対する圧力を一段と強化することが急務になっていることが、改めて浮き彫りになった」と述べた。
エストニア軍によると、ロシア軍機による領空侵犯は首都タリンから約100キロの距離にあるバインドロー島周辺で発生。当該機は飛行計画を提出しておらず、航空管制とも交信していなかった。ロシア機によるバインドロー島周辺での領空侵犯は比較的よくあるが、この日のように長く及ぶことは通常ないという。
ロシア軍機はロシア本土と飛び地カリーニングラードの間にあるバルト海の上空を日常的に飛行。この日のエストニア領空侵犯についてロシア国防省からコメントは得られていない。米ホワイトハウスからもコメントは得られていない。
この日はまた、ポーランドの資源開発企業がバルト海に持つ掘削プラットフォームの安全水域にロシアの戦闘機2機が侵入したとポーランド国境警備隊が明らかにした。
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