▽トランプ氏、11月1日から中国に100%追加関税-重要ソフト輸出制限へ
Jennifer A Dlouhy

トランプ米大統領は10日、11月1日から中国に対して100%の追加関税を課すとともに、すべての重要ソフトウエアに輸出規制を導入すると発表した。
「中国が極めて攻撃的な通商姿勢を取っていることが判明した。中国は11月1日から、自国で製造するほぼすべての製品、さらには自国製でない一部の製品に対しても大規模な輸出規制を課すと、世界に向けて非常に敵対的な書簡を送った」と、SNSに投稿した。
トランプ氏はこれに先立ち、中国がレアアース(希土類)への「敵対的な」輸出規制を理由に、中国からの輸入品に対して大幅な関税引き上げを警告していた。トランプ氏はまた、月内に韓国で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に合わせて予定されていた習近平国家主席との会談について「もはや実施する理由はないようだ」と述べた。ただ、新たな関税が発効するまでには猶予があり、その前に会談が行われる可能性も残されている。
関連記事:トランプ氏、習氏と会談する「理由ない」-関税大幅引き上げ警告 (2)
トランプ氏が今回発表した関税措置が実際に発動されれば、中国からの輸入品にかかる税率は合計で130%となる見通し。これは両国が貿易戦争の「休戦」で合意する前に発動されていた対中関税の145%をやや下回る水準。
トランプ氏の大幅関税引き上げを予告を受けて、この日の金融市場は動揺。S&P500種株価指数は2.7%下落。4月以来の大幅安となった。ナスダック100指数は3.5%安で取引を終了した。
その後、100%の追加関税やソフト輸出規制が発表されると、円は対ドルで一段高となり、一時151円17銭を付けた。
原題:Trump Announces Additional 100% Tariff on China, Export Controls(抜粋)
▽中国、米国船に14日から港湾使用料-クアルコムを競争法で調査
Weilun Soon
2025年10月10日 18:46 JST更新日時 2025年10月10日 22:47 JST
- 米国も14日から中国船に使用料賦課、中国は報復措置と説明
- 米中対立はエスカレート、月内の首脳会談前に交渉材料増やす狙いか
中国交通運輸省は10日、米国船舶が中国の港に寄港する際に特別料金を課す方針を発表した。米政府はこの数カ月、中国が海運・貿易分野で持つ支配力の弱体化を狙った措置を相次ぎ打ち出しており、両国の対立は大きくエスカレートしそうだ。
発表によると、この措置は14日から実施され、米国船舶に対し、寄港時に1総トン当たり400元(約8600円)を徴収する。料金は年々引き上げられ、2028年4月までに1総トン当たり1120元に達する見通しだ。
交通運輸省はこの措置について、中国で建造、所有される船舶に対し米国が14日から港湾使用料を課す計画であるため、その報復だと説明した。同省は声明で「米国の計画は、国際貿易の関連原則および米中海運協定に深刻に違反し、両国間の海上貿易に重大な損害をもたらした」としている。
関連記事:海運大手にコスト増の試練、米政権が中国船への入港料導入なら大打撃
また、中国の国家市場監督管理総局(SAMR)は10日、米半導体製造大手クアルコムによるイスラエルのオートトークス買収について、競争法上の調査に着手したと発表した。これを受けて、クアルコムの株価は米国時間10日早朝の時間外取引で一時4%下落した。
中国は今週に入り、レアアース(希土類)など重要な原材料について輸出規制を強化する方針を表明。一方、米国産の大豆購入停止は継続し、昨年の米大統領選で多くがトランプ氏に投票した米国の農家に対する圧力を強めている。
これに対し米国は、中国船への港湾使用料賦課のほか、米国に発着する中国航空便のロシア領空通過禁止が当局者の間でここ数日議論に上っていると報じられた。華為技術(ファーウェイ)などの企業に対して、米国の輸出規制対象製品へのアクセスを一段と防止する制裁も打ち出した。
米中は月内に首脳会談を予定しているが、それを前に両国とも交渉材料を増やそうとしている様子だ。米国が一時145%にまで引き上げた高関税の一時停止措置は、延長されない限り11月10日に期限が切れる。
このほか中国は、エヌビディア製の人工知能(AI)用半導体製品の輸入検査を強化していると報じられた一方、リチウムイオン電池および素材の輸出に新たな規制を導入した。
キャピタル・エコノミクスで中国経済担当の責任者を務めるジュリアン・エバンスプリチャード氏はリポートで、「中国側の強硬なアプローチはややリスクが高く、たとえ最終的に成果が得られるとしても、米国との交渉は複雑になるだろう」との見解を示した。
中国船に対する米国の港湾使用料賦課は4月に初めて公表され、中国の造船能力に長く依存してきた世界の海運業界に大きな衝撃を与えている。
シティグループによると、多くの企業は米国側の新料金の影響を和らげる代替策を見つけているものの、中国の大手海運会社、中国遠洋海運集団(COSCO)は、米国市場での事業継続のため、数十億ドル規模の追加費用を負担する見通しだという。
原題:China to Slap Port Fees on American Vessels in Retaliatory Move(抜粋)
China Targets Qualcomm, US Ships as Xi and Trump Seek Leverage(抜粋)
