Emily Graffeo
- ETF業界30年の歴史で、これほど急速な資金流入は前例がない
- 今年の資金流入ペース、9月まで各月で季節平均の約3.5倍に
今年は4月の関税懸念や9月のハイテク株調整などで市場が揺れるたびに、ウォール街では同じ反応が見られてきた。上場投資信託(ETF)の買いが膨らんだ。こうした動きが積み重なった結果、米国のETF市場への資金流入額はついに1兆ドル(約151兆円)を突破。業界史上最速ペースで拡大している。
かつて分散投資を静かに進めるために設けられたETFという受け皿が、今や市場の強気ムードを最も雄弁に物語る存在となっている。ETF業界30年の歴史において、これほど資金が急速に流入したことはない。節税効果の高いこの投資手段への信頼が、あらゆるタイプの投資家の間で本能的な選択として定着したことを示している。
S&P500種株価指数に連動するバンガードのS&P500ETFだけでも約930億ドルが流入。ビットコインや金に連動するETF、およびレバレッジ型ファンドもそれぞれ数十億ドル規模の資金を呼び込んでいる。
安定的な資産配分を目的に作られたETFが、市場心理を即座に反映しながら相場を動かすエンジンともなり、上昇を加速させる投資ビークルへと変貌している。
ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによると、今年は資金流入が極めて活発で、9月までの時点で各月のペースが通常の季節平均のおよそ3.5倍に達している。BIのアナリストは2025年の年間流入額について、総計で約1兆2500億ドルに上る可能性があると予測する。

TMXベッタFiのセクター・産業調査責任者ロクサーナ・イスラム氏は「トレンドが生まれるところには、ETF資金も流れ込む。ビットコインであれ、オルタナティブ資産であれ、株式市場全体であれ同じだ」と指摘。「ETFは選好される投資手段となり、ETF業界が資産を拡大する上で完璧な追い風が生まれている」と話した。
一方で、投資家は引き続きミューチュアルファンド(投資信託)から資金を引き揚げており、ETFがもたらす取引の容易さと税制上の効率性を重視する傾向が強まっている。
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原題:ETF Inflows Smash $1 Trillion Mark in Fastest Run on Record(抜粋)
