
[東京 28日 ロイター] – 日米両政府は28日、9月の覚書で合意した5500億ドル(約83兆円)の対米投融資の対象になり得る21案件を発表した。事業規模は総額約4000億ドルに上り、三菱重工業(7011.T), opens new tabやソフトバンクグループ(9984.T), opens new tab、ウェスチングハウスといった両国の企業20社以上が関心を寄せているとした。
対象はエネルギーやAI(人工知能)向け電源開発、AIインフラの強化、重要鉱物の4分野。対米投融資の進ちょくを確認することは、27日からのトランプ大統領訪日で日米間の主要な議題になっていた。実際に投資として成立するか今後両国で協議し、最終的には米国が決定する。
エネルギーでは米ウェスチングハウスが進める小型原子炉の開発に、三菱重工や東芝、IHI(7013.T), opens new tabなどが関与を検討している。ソフトバンクGは、大規模電力インフラ構築の設計や開発などに関心を持つ。事業規模はそれぞれ最大1000億ドルと250億ドル。
AI向け電源では米ニュースケールがガス火力や原子力の開発を、AIインフラの強化では日立製作所(6501.T), opens new tabが送・変電設備、三菱電機(6503.T), opens new tabがデータセンター向け発電システム、フジクラ(5803.T), opens new tabが光ファイバーケーブルの供給を検討している。
このほか、ベクテルやキャリア(CARR.N), opens new tab、ファルコン・カッパーなどの米企業、TDK(6762.T), opens new tabや村田製作所(6981.T), opens new tab、パナソニック ホールディングス(6752.T), opens new tabなどの日本企業が関心があるとしている。
9月の日米関税合意は、自動車など日本の輸出品に対する関税を15%へ引き下げる一方、日本が米国に対して5500億ドルの投融資を実行するというもの。投融資は日本側の債権が完済されるまでは米側と現金収入を折半し、その後は日米が1対9の割合で配分する。
▽日米両政府、両国間の投資に関する共同ファクトシートを発表<bloomberg日本語版>2025年10月28日 16:59 JST
沢和世
日本による5500億ドル規模(約84兆円)の対米投資を巡り、日米両政府は、投資先の候補や投資規模などを記載した共同ファクトシートを28日に発表した。
- ソフトバンクグループが電力インフラ構築のための組み立て、調達、運用などの設計・開発に関心-最大250億ドル
- 原子炉などの建設に、三菱重工業、東芝やIHIなどの日本企業の関与を検討-同1000億ドル
- SMR(BWRX-300)の建設に、日立GEベルノバなどの関与を検討- 同1000億ドル
- 三菱電機がデータセンター向け発電に関するシステムなどの供給に同300億ドルの投資検討
- 村田製作所は先進電子部品の供給と米国でのサプライチェーンの強化を目指す-同150億ドル
- パナソニックがエネルギー貯蔵システムなどの供給に関心-同150億ドル
