Mackenzie Hawkins、Jenny Leonard
- 半導体輸出規制に関する米政権の従来姿勢からは大きな転換に
- 中国への譲歩と受け止められる可能性-対中強硬派の反発必至

トランプ米政権当局者は、エヌビディアが人工知能(AI)向け半導体「H200」を中国に販売できるようにするかどうかについて、初期段階の協議を進めている。事情に詳しい関係者が明らかにした。
H200チップの対中出荷が実現すれば、中国の人工知能(AI)分野での競争力を抑える目的で導入された米国の規制が大幅に緩和されることになる。エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は半導体輸出規制の緩和を求め、トランプ政権に強く働きかけてきた。
機微な問題であることを理由に匿名で語った関係者によれば、トランプ大統領のチームはここ数日、中国へのH200チップ出荷について内部協議を進めている。最終的な決定はまだ下されておらず、この構想はあくまでチーム内での検討段階にとどまっており、実際の輸出許可に至らない可能性もあると、関係者は強調した。
それでも、H200チップの出荷が検討されているという事実は、半導体輸出規制に関するトランプ政権のこれまでの姿勢から大きな転換となる。中国への譲歩と受け止められる可能性があり、米政界の対中強硬派から反発を招くのはほぼ確実だ。
ホワイトハウス、エヌビディア、米商務省の担当者はいずれも、コメントの要請にすぐには応じなかった。
トランプ大統領は、中国の習近平国家主席との会談でエヌビディアの最先端チップ輸出を議題にする可能性を示唆していた。実際の協議ではこの話題は取り上げられなかったものの、政権としては現在制限対象となっているAIチップの輸出を完全に排除したわけではない。
関連記事:エヌビディアAI半導体の輸出規制、ホワイトハウスが米議員に反対促す
ベッセント米財務長官は今月に入り、エヌビディアが開発した最先端AI半導体「ブラックウェル」について、将来的に中国企業への販売が認められる可能性があるとの見方を示した。
CNBCとのインタビューでベッセント氏は「12カ月先か24カ月先かは分からない」としたうえで、エヌビディアの「驚異的な技術革新を考えると、ブラックウェルの性能はいずれ最先端から2-4世代下に位置するかもしれず、その時点で販売が可能になるかもしれない」と述べていた。
関連記事:ベッセント長官、エヌビディア「ブラックウェル」対中輸出容認に含み
原題:Trump Team Internally Floats Selling Nvidia H200 Chips to China(抜粋)
