▽[スキャナー]高市首相の解散表明、外交日程にらみ判断…今週は「外交ウィーク」<読売新聞オンライン>2026/01/12 05:00

高市首相(9日、首相官邸で)=米山要撮影

藤原健作、谷川広二郎

 23日召集予定の通常国会冒頭に衆院を解散する検討に入っている高市首相が、いつ解散を表明するかに与野党の視線が注がれている。13~17日に韓国、イタリアの首脳の来日があることから、この時期の表明は難しいとの見方が強い。首相は外交日程への影響を与えない適切な時期を探ることになりそうだ。(政治部 藤原健作、谷川広二郎)高市首相(9日、首相官邸で)=米山要撮影

沈黙

 首相は11日、前日に続いて首相公邸にこもった。午前11時過ぎに政府への抗議デモが続くイラン情勢に関する見解をX(旧ツイッター)に投稿するなどしたものの、

公の場に姿は見せなかった。衆院解散・総選挙については記者団の取材要請を断り、通常国会冒頭での解散の検討に入ったことを報じられて以降、沈黙を貫いている。

 政府・与党内では「自分一人で考える従来のスタイルを踏襲し、解散表明の時期や戦略を熟慮しているのではないか」(首相周辺)との見方が広がった。自民党幹部は「解散は首相の専権事項だ。腹を決めているんだろうし、もう止まらない」と語った。

準備

 そうした状況を踏まえ、与野党は選挙準備を加速させている。

 自民の古屋圭司選挙対策委員長は11日、党本部で選挙を担当する事務方と協議した。党中堅も「選挙事務所探しを秘書に指示した」と語った。衆院選となれば、与党としては初の戦いとなる日本維新の会は11日夕、藤田文武共同代表ら幹部が大阪市の党本部で緊急の選対会議を開き、衆院選になった場合の対応を協議した。出席者の一人は「選対、政調、広報など様々なレベルで動き出している」と明らかにした。

 もっとも、首相から自民執行部への正式な伝達はない状況が続き、自民でさえ正式な準備には着手できていない。幹部の遊説態勢づくりなどは、首相の表明を待たざるを得ない。

儀礼

 首相の表明時期の判断に直接影響を及ぼすとみられているのが外交日程だ。首相は13~14日に地元・奈良県に韓国の 李在明イジェミョン 大統領を招き、首脳会談や寺院訪問などが予定されている。15~17日には、イタリアのメローニ首相が来日し、今週は「外交ウィーク」となる。

 与野党には、選挙準備の都合などから表明を急ぐべきだとの声がある。だが、外交儀礼上、「メローニ氏が帰国の途に就くまでは表明できない」(外相経験者)と見る向きが多い。野党からも「外国首脳が滞在中に表明するのは失礼だ」との指摘が出ている。

 木原官房長官は13日に衆参両院の議院運営委員会に出席し、23日に通常国会を召集する方針を正式に伝達する。与党はこの場で首相の就任後初となる施政方針演説を含む政府4演説などの日程の提案を見送る方向だ。冒頭解散の可能性を強くうかがわせることにはなるが、確定には首相の表明が必要な状況は変わらない。

 衆院選の日程については「1月27日公示―2月8日投開票」「2月3日公示―15日投開票」の案が浮上している。いずれにしろ、短期決戦となるため、与野党は首相の表明を待ちつつも、並行して可能な選挙準備を加速させる構えだ。

短期決戦が常態化…岸田内閣では戦後最短の17日

 歴代首相は、自治体などの衆院選の準備期間も考慮し、衆院解散を表明する時期や解散、投開票日を選んできた。

 安倍晋三・元首相による2014年の解散では、同年11月9日に「解散検討」との報道があり、9日後の18日に記者会見で解散を表明した。衆院選を巡っては、事務的な準備期間のために、報道を含め可能性が高いとの認識が広がってから、投開票まで1か月程度が必要だとされ、この時の投開票は12月14日だった。

 21年10月の就任直後の解散を狙った岸田文雄・元首相は10月4日の就任日に解散を表明した。同14日に解散し、投開票日は同31日で、解散から投開票日までの期間は戦後最短の17日間となった。

 24年衆院選では、石破茂・前首相が自民党総裁選に勝利後の9月30日に衆院解散の方針を表明した。首相に国会で指名される前日で、解散判断の権限はなかったため、野党から「国会軽視だ」との批判を浴びた。石破氏ら自民党執行部は当時、できるだけ短期決戦が望ましいとの認識を共有し、投開票日を10月27日とした。就任前の異例の解散表明を行ったのは、周知期間を確保するためだった。

 今回は、高市首相の解散検討報道を受け、総務省が10日に各都道府県の選挙管理委員会事務局に準備を進めるよう事務連絡を出した。仮に2月8日投開票でも約1か月の準備期間は確保される。そのため、解散表明の時期については選択の幅を確保しているといえる。

 憲法は、解散から40日以内に総選挙を行わなければならないと規定するが、近年は短期決戦が常態化している。高市首相が検討している23日の通常国会冒頭で解散し、2月8日投開票となった場合は、解散から16日後となり、最短記録を塗り替えることになる。

▽衆院解散「一段ステージが変わった」、維新・吉村代表が首相とのやり取り明かす…高市首相は「政治が安定する形を」と連立拡大に意欲<読売新聞オンライン>2026/01/11 11:58

高市首相(左)、日本維新の会の吉村代表(右)

 日本維新の会の吉村代表は11日のNHK番組で、9日に首相官邸で開かれた政府・与党連絡会議終了後に高市首相(自民党総裁)と会話をし、衆院解散について「一段ステージが変わったな、というやり取りをした」と明らかにした。具体的な解散時期について言及は無かったという。

高市首相(左)、日本維新の会の吉村代表(右)

 吉村氏は、衆院が解散された際の争点について、「自民党との連立政権と、連立合意の内容は国民の信をまだ得ていない。総理が解散の判断をするならば、正面から国民に問うていきたい」とも述べた。

 一方、番組に出演した首相は連立の枠組み拡大に関し、「政治の安定なくして強い経済政策も打てないし、強い外交安全保障も実現は難しい」との認識を示した上で、「できるだけ政治が安定する形を作っていければいい」と意欲を示した。首相の出演は8日に収録された。