• FRB改修を理由とした訴追示唆、「口実に過ぎない」とパウエル氏
  • 米連邦検察当局、FRB本部改修巡りパウエル議長の捜査開始-NYT

Vincent Lee

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は11日、首都ワシントンにあるFRB本部の改修工事を巡り、自身が昨年6月に上院銀行委員会で行った証言に関連して、刑事訴追の可能性を示唆する大陪審の召喚状を司法省から受け取ったと明らかにした。

  連邦検察当局はFRB本部の改修工事を巡り、パウエル議長の刑事捜査を開始したと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が事情に詳しい複数の当局者を引用して報じた

Jerome Powell
パウエルFRB議長Photographer: Al Drago/Bloomberg

  パウエル議長は11日夜に発表した声明で、今回の措置が自身の証言や改修工事に起因するとの見方を否定。「それらは口実に過ぎない」と指摘した。

  その上で、「刑事訴追の脅しは、連邦準備制度が大統領の意向に従うのではなく、公共の利益に資すると判断した最善の評価に基づいて金利を設定していることの結果だ」とコメントした。

  ワシントンの連邦検察当局はパウエル議長が改修工事の規模について議会に虚偽の説明をしたかどうかを捜査していると、同紙は伝えた。また、トランプ大統領が昨年起用したピロ連邦検事正が昨年11月にこの捜査を承認したとしている。

  同紙報道によると、検察当局は資料提出を求めてパウエル議長のスタッフに連絡を取っている。

  パウエル議長は声明でさらに、「これは連邦準備制度が証拠と経済状況に基づいて金利を設定し続けることができるか、それとも金融政策が政治的圧力や威嚇によって左右されることになるのかという問題だ」と論じた。

  このニュースを受け、米ドルは主要通貨全てに対して下落した。金は上昇基調を強め、過去最高値を更新。米S&P500種株価指数先物は一時0.3%安となった。

  今回のトランプ政権による前例のない動きは、トランプ氏とパウエル議長との長年にわたる確執が一段と激化したことを示している。トランプ氏はこれまで繰り返し、大幅な利下げを注文してきた。大統領はクックFRB理事の解任も試みており、この動きは現在、司法の場で争われている。

  パウエル氏は訴追の可能性について、「政権による脅しや継続的な圧力という、一段と広い文脈の中で受け止めるべきだ」とし、自身の職務について「誠実さと米国民に奉仕するという責務へのコミットメントをもって引き続き遂行していく意向だ」と説明した。

  ホワイトハウスはブルームバーグ・ニュースのコメント要請に直ちには応じていない。トランプ氏はこれまで繰り返しパウエル議長に辞任を求め、改修プロジェクトについても不満を表明してきた。

  ホワイトハウスのボート行政管理予算局(OMB)局長は昨年7月にパウエル議長に書簡を送り、議長による連邦準備制度の運営や、「ワシントンの本部を豪華に改修する」プロジェクトについて、大統領が「極めて深刻な懸念」を抱いていると伝えた。

関連記事:パウエル氏にトランプ政権幹部が圧力-FRB本部改修は「過剰」 (1)

  FRBの予算資料によると、ワシントンにある2棟の歴史的建造物を対象とするFRB本部改修の費用推計は25億ドル(約3940億円)と、2023年時点の当初見積もりの19億ドルから膨らんだ。FRBの25年度予算では、同プロジェクトについて「競争入札による価格設定の影響で、特に機械、電気、配管分野を中心に建設コスト見積もりが引き続き上昇している」と説明している。

  トランプ氏は、26年5月に任期満了となるパウエル氏の後任候補を既に選定していると表明。後継者の名前は明らかにしていないが、ホワイトハウスのハセット国家経済会議(NEC)委員長が最有力候補とみられている。

原題:Prosecutors Open Criminal Probe Into Fed’s Powell, NYT Says (1)Powell Says Justice Department Served Fed With Subpoenas (1)(抜粋)