• 円は一時0.7%高の158円10銭、投機的な動きけん制する発言相次ぐ
  • 「マグニフィセント・セブン」が全て下落、国債利回り軒並み低下
円が対ドルで一時158円前半に上昇
円が対ドルで一時158円前半に上昇Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

Anya Andrianova、Rita Nazareth

外国為替市場では円が対ドルで上昇。日本の政府当局者が相次いで投機的な動きをけん制したことに反応した。ベッセント米財務長官が韓国ウォンの下落は行き過ぎだと述べたのを受けて、ウォンが買われ、円も一時は上げ幅を拡大した。

  円は0.7%高の1ドル=158円10銭まで買われた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1210.64-1.04-0.09%
ドル/円¥158.56-¥0.58-0.36%
ユーロ/ドル$1.1643$0.00010.01%
米東部時間16時27分

  片山さつき財務相は14日、足元で進む円安について憂慮しているとし、適切に対応する姿勢を改めて示した。高市早苗首相と面会後、官邸で記者団に語った。急激な円安に関して「極めて遺憾であって憂慮している」とし、「その見方については日米財務相ともに共有した」と述べた。

  三村淳財務官も同日夕、最近の為替について、経済的なファンダメンタルズを反映しているようには見えないと指摘。動向を分析するに当たって「最もいけないのはボラティリティー(大きな変動)だ」との認識を重ねて示した。

関連記事:片山財務相、急激な円安「極めて遺憾で憂慮」-あらゆる手段排除せず

  米国時間に入ると、ベッセント米財務長官が韓国ウォンの最近の下げは行き過ぎだとの考えを示し、「韓国の強い経済ファンダメンタルズと整合しない」と指摘した。

関連記事:ベッセント長官、韓国ウォンの下落は行き過ぎと発言-円も上昇 (2)

  ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「アジア通貨で大きな動きが見られる。円やウォン安に対する口先介入の報道があった」と解説。「一方で、米経済指標の改善や連邦準備制度理事会(FRB)が金融政策を据え置くとの観測、米金利水準の相対的な高さは引き続きドルを支えている」と述べた。

  ABNアムロのストラテジスト、ジョルジェット・ブーレ氏は円はドルに対してアウトパフォームするとの見方を維持しているが、上げ幅はこれまでの想定よりも小さくなるとみている。

  高市早苗首相の「大規模な財政支出計画」や「対中強硬スタンス」がとりわけ、円の重しになっていると指摘。解散・総選挙は政治的な不透明感を一段と強めるだけだと述べた。

  ブーレ氏はドル・円相場について、今年1-3月(第1四半期)に1ドル=158円前後でピークを付け、年末までに150円に下落すると予想。従来見通しは140円だった。

  スペクトラマーケッツのブレント・ドネリー社長は日本の拡張的な財政政策に言及し「政策の矛盾は明らかだ。足元の円に誰もが弱気になっているのはそれが理由だが、当局が介入に踏み切れば、155円まで一気に反転する可能性は排除できない」と指摘。「ただ、日本の財務省が動いても、154-155円の水準ではドル買いが入るだろう」と話した。

株式

  米株式相場は続落。割高感のあるテクノロジー株から資金を引き揚げ、景気動向に敏感な業種に移す動きが加速した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6926.60-37.14-0.53%
ダウ工業株30種平均49149.63-42.36-0.09%
ナスダック総合指数23471.75-238.12-1.00%

  S&P500種株価指数は今年初の続落となったが、同指数構成銘柄の大半は値上がりした。ハイテク7強「マグニフィセント・セブン」が全て下げ、ナスダック100指数は1カ月ぶりの大幅安となった。

  小型株のアウトパフォーマンスが続いており、ラッセル2000指数は9営業日連続でS&P500種を上回り、1990年以来の最長記録に並んだ。

  2026年に入ってからは、巨大ハイテク企業から、成長見通しの改善と連動しやすい広範な分野への資金移動が顕著になっている。ハイテク大手は経済の不確実性が高まる局面でも安定した収益力を持つとして、これまで安全資産と見なされてきた。指数に占めるハイテク株の比重が高いことから、同セクターの下落は指数全体を押し下げることがある。

  ベルウェザー・ウェルスのクラーク・ベリン氏は「ハイテク株が2026年にどう推移するかにかかわらず、強気相場は続き、株式相場の裾野が拡大するという流れが今年は一段と重要になる」と述べた。

  この日決算を発表したウェルズ・ファーゴは下落。2025年10-12月(第4四半期)決算は、利益が市場予想を下回った。バンク・オブ・アメリカ(BofA)も安い。業績は堅調だったものの、費用見通しへの懸念が重しとなった。シティグループではM&A(企業の合併・買収)の助言手数料が急増した。

  ミラー・タバクのチーフ市場ストラテジスト、マット・メイリー氏は、「決算シーズンに対する期待は非常に高い」と指摘。「完璧な内容を織り込んだ今の株式市場では、その期待が満たされなければ向かい風になる」と述べた。

  BTIGのジョナサン・クリンスキー氏は、「S&P500種には最終的に、もう少し下げ余地があるとみているが、『ローテーション相場』が続く中で、買いの機会はふんだんにある」と話した。

  米連邦最高裁判所はトランプ米大統領の関税政策について意見公表を見送った。同政策の合憲性について判断が出るのは早くても来週になる見通し。最高裁は次の意見公表日を発表していないが、判事が審理を再開する来週20日か21日になる可能性がある。

関連記事:米最高裁、トランプ大統領の関税について14日は意見公表見送り (1)

国債

  米国債は上昇。株式相場の下落に加え、米国が対イラン軍事行動に踏み切る可能性に関連した逃避需要が高まった。関税を巡る最高裁判断が先送りされたことも相場を支えた。関税は米財政状況の改善に寄与してきた。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.79%-4.6-0.94%
米10年債利回り4.14%-3.9-0.94%
米2年債利回り3.52%-1.6-0.47%
米東部時間16時26分

  利回りはあらゆる年限で低下し、30年債利回りは今年の最低水準を付けた。

  最近発表された経済指標は、金融政策見通しの変更を正当化する内容ではないと受け止められている。短期金融市場では、次回利下げの時期は今年半ばとの見方が引き続き織り込まれている。

  この日公表された 昨年11月の米小売売上高は市場予想を上回り、7月以来の大きな伸びとなった。自動車販売の持ち直しや、ホリデーシーズンの堅調な消費が支えた。同11月の米生産者物価指数(PPI)は前月からわずかにペースが加速。エネルギー価格の急上昇が影響した。

関連記事:米小売売上高は予想上回る伸び-自動車販売が回復、年末商戦堅調 (3)

  「今回のデータはFRBの判断を変えるものではないだろう。FRBはこうしたデータを知らないまま、12月に利下げを実施した」と前出のベルウェザーのベリン氏は指摘。「FRBは今後6カ月間にわたって政策金利を据え置き、年後半に1回ないし2回の利下げを行うと当社では見込んでいる」と述べた。

原油

  ニューヨーク原油先物相場は通常取引終了後の時間外に下落、それまでの上昇分を失った。トランプ大統領はイランが反政府デモ参加者の殺害をやめるとの報告を受けたと述べ、軍事対応を見送る可能性を示唆した。

  トランプ氏はホワイトハウスの大統領執務室で記者団に対し、「イランでの殺害は止まっているとの報告を受けている」と述べた。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)はニューヨーク時間午後3時24分現在、1.7%安の1バレル=60.11ドル。通常取引での終値は62.02ドルだった。

  WTIは通常取引で5営業日続伸し、昨年10月以来の高値に上昇した。イラン情勢を巡る米国の対応を市場が見極める中、カタールの米空軍基地で一部人員に退避勧告が出ているとの報道が相場を押し上げていた。

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物2月限は87セント(1.4%)高の62.02ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.05ドル(1.6%)上昇し66.52ドルで引けていた。

  金属相場は年初からの上昇をさらに伸ばし、銀や銅、スズと共に過去最高値を更新した。

  中国で複数種の金属に大量の買いが入り相場上昇をあおっているほか、ベネズエラやイランなどの地政学的緊張、トランプ政権による米連邦準備制度理事会(FRB)への攻撃を背景に、安全資産を求める動きが続いている。

  銀は一時6.1%上昇し、初めて1オンス=92ドルを突破した。金も過去最高値を更新。

  債務膨張への懸念から国債や通貨を避けるディベースメント取引が、今回の上昇を支えており、特に貴金属相場ではそれが顕著になっている。ドルが比較的弱含んでいることも、ドル建て商品を割安にしている。

  ロータス・アセット・マネジメントの洪灝最高投資責任者(CIO)は「金が最初に動くときは、法定通貨への信認が低下している兆候であることが多い」と指摘。その上で、「全てが金を基準に評価されると、今は多くの資産が割安に見える。これは商品、特に金属にとって強力な追い風だ」と語った。

  金スポット相場はニューヨーク時間午後2時15分現在、49.50ドル(1.1%)高の1オンス=4636.02ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は36.60 ドル(0.8%)上げて4635.70ドルで引けた。

原題:Dollar Weakens as Yen Jumps, Outperforming Peers: Inside G-10(抜粋)

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