- グリーンランド巡る対立嫌気-ドル158円前半、日本国債売りが重し
- S&P500種は今年の上昇分失う、米長期債利回り4カ月ぶり高水準

Rita Nazareth
2026年1月21日 at 6:49 JST
連休明け20日の米金融市場では、株式と債券、ドルがそろって下落。トランプ米大統領がグリーンランド領有を狙って、欧州の複数の国に新たな関税を課す考えを示すなど、双方の対立が激化していることが嫌気された。ビットコインが急落する一方、金スポット価格は史上最高値を更新した。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6796.86 | -143.15 | -2.06% |
| ダウ工業株30種平均 | 48488.59 | -870.74 | -1.76% |
| ナスダック総合指数 | 22954.32 | -561.07 | -2.39% |
S&P500種株価指数は前営業日比2.1%下げ、今年に入ってからの上昇分を失った。昨年10月以来の大幅安で引けた。ハイテク大手7銘柄で構成する「マグニフィセント・セブン」の指数は3%を超える下げ。
米株式市場の「恐怖指数」として知られるシカゴ・オプション取引所(Cboe)ボラティリティー指数(VIX)は、昨年11月以来の高水準となった。

米長期債利回りは4カ月ぶりの高水準に上昇。日本国債売りの波及に加え、デンマークの職域年金が今月末までに米国債投資から撤退する計画というブルームバーグ・ニュースの報道に反応した。ドルは他の主要通貨の大半に対して下落。円は対ドルで小幅安。
米国株や米国債、社債、ビットコインに連動する主要な上場投資信託(ETF)の平均リターンで見ると、この日は昨年4月の大規模関税の発表日以降で最悪だった。
エバコアのクリシュナ・グーハ氏は「より広範な世界的リスクオフの流れの中で『米国売り』が再び進んでいる」と指摘。「グローバルな投資家の間では、不安定で信頼性に欠ける米国へのエクスポージャーについて、縮小やヘッジを検討する動きがある。今後の焦点は、こうした動きの規模とその持続性だ」と分析した。
ベッセント米財務長官は、世界経済フォーラム(WEF)年次総会に出席するため滞在中のスイスのダボスでの記者会見で、「指導者たちが事態をエスカレートさせることはなく、最終的には非常に良い形で収束すると確信している」と述べた。
グラナイト・ベイ・ウェルス・マネジメントのポール・スタンリー氏は「関税への警戒感が再び強まり、地政学的な問題と絡み合っている」と指摘。「最終的には冷静な判断が勝るだろう。こうした関税の脅しはグリーンランドを巡る交渉戦術として使われていると、当社ではみている」と話した。

ジョーンズトレーディングのマイケル・オルーク氏は「不確実性が急速に高まっていることを考えれば、相場の反応は妥当だ」と指摘。「領土放棄を同盟国に力ずくで迫るような発想は、修復に何年も要するような地政学的損害をもたらす」と述べた。
同氏はまた、関税が実際に発動された場合や、米国がグリーンランドを違法に併合した場合は、株式相場の下落ははるかに深刻なものになるとの見方を示した。
デンマークの自治領グリーンランドのニールセン首相は、可能性は依然として低いとしながらも、トランプ米大統領が引き続きグリーンランド領有に意欲を見せていることを受け、住民と当局は軍事侵攻に備え始める必要があるとの認識を示した。
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ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのポール・クリストファー氏は、既に形成されている前向きな基調を、政治的ニュースが変える可能性は非常に低いと指摘。
「2025年4月以降、関税を巡る脅しと対抗措置が繰り返されてきたが、いずれも交渉の出発点であり、妥協に至ったことが示されている」と述べた。同氏は米国を中心に、2026年に世界経済の成長ペースが加速するとみている。
米国債
米国債相場は下落し、長期債利回りが4カ月ぶりの高水準。日本国債売りが波及したことに加え、グリーンランドを巡るトランプ政権と欧州同盟国との対立が世界の金融市場に重しとなった。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.92% | 8.5 | 1.75% |
| 米10年債利回り | 4.29% | 7.0 | 1.65% |
| 米2年債利回り | 3.59% | 0.9 | 0.24% |
| 米東部時間 | 16時46分 |
デンマークの職域年金基金が今月末までに米国債投資から撤退する計画というブルームバーグ・ニュースの報道も、米国債相場を下押しした。ただ、その後は下げをやや縮小する展開だった。
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30年債利回りは一時、10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)余り上昇して4.95%に迫り、昨年9月3日以来の高水準となった。5年債と10年債の利回りは、それぞれ昨年8月以来の高水準を付けた。
しかし市場関係者が今後のシナリオを検討する中、米国債相場はニューヨーク時間の正午前には落ち着きを取り戻した。

米国債投資から撤退の意向を示したデンマークの年金基金アカデミカーペンションは、米国債を1億ドル程度保有するに過ぎない。それでも同基金の方針は、米国が同盟国に示す強硬姿勢が金融面にもたらす影響への懸念をあらためて浮き彫りにした。
財政見通しを巡る懸念から、日本の新発40年債利回りはアジア時間に4%を超えて過去最高を更新。この売りが世界の超長期・長期債に波及した。
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ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジャック・マッキンタイア氏は「市場が否定的に反応する段階に至るまで、トランプ氏は不確実性を武器に使うことを好む」と分析した。
片山さつき財務相は、日本市場で超長期金利が急騰したことを受け、「市場を安定させるためのことはやってきているし、これからもやることは必ず約束できる」と述べ、市場の鎮静化を促した。世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)への出席に合わせ、現地でブルームバーグのインタビュー取材に応じた。
財務省が市場関係者と丁寧な対話を重ねてきていることから、「国債の消化には安心感を持っている」とも述べた。
関連記事:片山財務相、市場安定へ対応「必ず約束」-金利急騰で沈静化呼び掛け
DWSアメリカスの債券部門責任者ジョージ・カトランボーネ氏は、デンマーク年金基金の動きについて、市場心理を測る上で重要だとした上で、30兆ドル規模の米国債市場においてはわずかだと指摘。
「米国債とドルの売りを真に加速させているのは日本の動きのようだ。日本勢が世界の市場から資金を引き揚げるのではないかとの懸念がある」と述べた。
外為
ニューヨーク外国為替市場では、ドル指数が下落。デンマーク年金基金が米国債投資から撤退するとの報道後に一段安となったが、その後は下げを縮小した。
主要10通貨ではスイス・フランが対ドルで最も大きく上昇。一方、日本国債売りを背景に、円は他の主要通貨全てに対して下げた。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1205.37 | -2.94 | -0.24% |
| ドル/円 | ¥158.18 | ¥0.07 | 0.04% |
| ユーロ/ドル | $1.1722 | $0.0076 | 0.65% |
| 米東部時間 | 16時46分 |
ブルームバーグ・ドル・スポット指数は一時0.5%下げ、今月上旬以来の安値を付けた。
ウェルズ・ファーゴのストラテジスト、アループ・チャタジー氏は「この年金基金の米国債保有高は限定的であるため、市場への実際の影響は抑えられる可能性が高い。他の米国債保有者にこの動きが広がるかを、なお見極める必要がある」と述べた。
円はドルに対して小幅安。ニューヨーク時間の大半は上昇し、一時は0.4%高の1ドル=157円48銭を付けたが、終盤に下落して158円台前半での推移となった。
片山さつき財務相は20日、ダボス会議に合わせて現地で行ったブルームバーグとのインタビューで為替動向について、日米財務相で取り交わした共同声明に触れつつ、ファンダメンタルズを反映していない動きは「望ましくないと日米で一致している」と説明。対応策としては、為替介入も含め「何ら除外される手段はない」と述べた。
為替介入への距離感については、「財務相がインタビューで絶対に言えないことだ。想像してください」と答えるにとどめた。
ラボバンクの外国為替戦略責任者ジェーン・フォーリー氏は「現在、欧州でグリーンランドに関連して感情が渦巻いているのは理解できるが、これが広範な米国売り取引の始まりを意味すると結論づけるのは、ためらわれる」と話した。
原油
ニューヨーク原油相場は上昇。黒海地域での供給混乱による影響が意識された。グリーンランドを巡るトランプ大統領の野心的な動きを受けて、この日は金融市場全般が動揺した。
カザフスタン最大の原油生産会社は最近、テンギスとコロレフ両油田での生産を停止した。発電設備で2件の火災が発生したことを受けた。ロイター通信によると、テンギス油田は今後7-10日間、操業停止が続く見通しだ。
カザフスタンは、ロシアにあるカスピアン・パイプライン・コンソーシアム(CPC)の出荷ターミナルがドローン攻撃の影響を受けたことから、既に原油生産を減らしていた。カザフスタン原油輸出の約80%がこのターミナルを通じて出荷されている。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギー・トレーダー、レベッカ・バビン氏は「CPCの積み出しを巡る懸念が続いていることから、原油は上昇している」と指摘。「より広範な地政学リスクも高止まりしており、トレーダーはニュースに細心の注意を払っている」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は、前営業日比90セント(1.5%)高の1バレル=60.34ドルで終了。2月限はこの日が最終取引だった。3月限は1.7%高の60.36ドル。ロンドンICEの北海ブレント3月限は98セント上昇し64.92ドル。
金
金スポット相場は1オンス=4700ドルを突破し、最高値を更新した。グリーンランドの統治を巡る米国と欧州の対立に収束の兆しが見られないことが背景にある。銀相場も最高値を付けた。
トランプ氏がグリーンランドを巡る自身の野心に反対する欧州8カ国への関税を警告したことを受けて、欧州がどのような対応を取るのか市場は注視している。
米国が北大西洋条約機構(NATO)の同盟国に圧力をかけていることが市場を動揺させ、金価格を過去12カ月に75%近く押し上げた記録破りの上昇相場に、改めて弾みがついた。
米連邦最高裁は20日も、トランプ大統領の関税措置に関する判断を示さなかった。一方、日本国債の急落が世界の債券市場に波及したほか、ブルームバーグのドル指数は約1カ月ぶりの大幅安となった。

ユニオン・バンケール・プリベの為替戦略グローバル責任者、ピーター・キンセラ氏は「主要国の間で資源ナショナリズムが台頭する時代に入った」とブルームバーグテレビジョンとのインタビューで指摘。こうした地政学的テーマで取引する上で、通貨は必ずしも最適な手段ではないとし、「最も有効な方法は貴金属へのエクスポージャーを持つことだ」と述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時20分現在、前日比94.60ドル(2%)高の1オンス=4765.49ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は、前営業日比170.40ドル(3.7%)上げて4765.80ドルで引けた。
原題:Wall Street Has Worst Session Since April Meltdown: Markets Wrap
Treasuries Slide as Japan Rout, Greenland Tiff Sours Mood (3)
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Dollar Extends Decline Amid US-Denmark Escalation: Inside G-10
Oil Rises as Traders Weigh Kazakh Supply and Greenland Tensions
Gold Rises Past $4,700 to Record as Greenland Crisis Escalates(抜粋)