トランプ大統領は昨日、ダボス会議でEU8カ国に対する追加関税を撤回すると発言した。NATOのルッテ事務総長と会談しことで、「将来の合意の枠組み」に達したのがの理由とか。これだけだとなんのことかわからない。トランプ語録が威圧とか、脅しだったりする所以だ。それ以上にグリーンランドをめぐるトランプ氏とEU首脳たちの論争は、ことの本質を見誤った誤認と感情の対立だけが際立っている。例えば、フランスのマクロン大統領。トランプ氏に表面的には真っ向から立ち向かっている。だが、専門家からはカラ元気、言うだけ、何もできないと見放されている。いったいこの論争の本質は何か。愚考するに自由と民主主義を基盤とする西側陣営が、強権的で独裁的で国民を抑圧する強権国家群にどう立ち向かうか、安全保障に関連する問題のはずだ。東西問題といってもいいだろう。にもかかわらずマクロン氏のように嫌悪感丸出しの感情論が優先している。

Bloombergによるとトランプ氏は「(グリーンランド問題)の解決策が成立すれば、米国とNATO加盟国すべてにとって素晴らしいものになる」(ダボス会議での演説)と強調した。追加関税は最初から脅しだったのだろう。TACO(Trump Always Chickens Out<トランプはいつも尻込みして退く>)語にカッとなったマックロン氏は、欧州連合のバズーカ砲といわれる「反威圧措置」(ACI)を持ち出し、米国に報復すると力んでみせる。でも、そんなことができると考える専門家はほとんどいない。なんとなれば軍事力も経済力も、米国の方がEUをはるかに上回っている。ヴァンス副大統領は常々「EUは何もしない、言うだけ」と批判してきた。ウクライナ戦争にも悉く絡んでくる。だが、ロシアと全面的にことを構えるわけではない。すべて米国頼りだ。ヴァンス氏のようにEUは「でしゃばりすぎる」と言いたいわけではない。軍事同盟ではなく経済同盟にすぎないEUには、軍事的な限界がある。だから感情論を優先するマクロン氏は結局、MACOと言われてしまうのだ。

EU対トランプ氏の論争は感情論の域を出ない。非生産的だ。両者を比べればトランプ氏の方がまだ論理性がある。地球の安全保障に深く関わるグリーンランドをロシアと中国が狙っている。ここを独裁国家に乗っ取られれば、西側陣営の安全が脅かされる。だから軍事力に勝る米国が領有する。各国首脳よ、俺の言うことに従え。これに対抗するマクロン氏はまず、ロシアや中国が支配する可能性が存在しないことを実証すべきだ。仮にその兆しがあればNATOが責任を持って対抗する。だからトランプ氏よ心配するな。追加関税なんてもってのほかだ。こう主張すべきなのだ。一方のトランプ氏。相変わらずAmerica First、MAGAだ。安全保障はアメリカだけでできるのか。せめてWest Firstぐらいに発想の枠を広げないと、ノーベル平和賞はもらえないだろう。グリーンランド問題は各国首脳たちの本質を見誤った「誤認」と感情論で、問題解決を必要以上に複雑にしている。為政者たちはいつも間違いを犯す。