▽切り札となる「3分の2」超の議席を確保した自民、当面は「再可決」に慎重か…強行なら「世論の批判招く」<読売新聞オンライン>2026/02/10 07:50

自民党本部で記者会見に臨む高市首相(9日午後)=米山要撮影
衆院で法案を再可決した最近の主な事例
想定される今後の主な政治日程

 自民党は8日投開票の衆院選で、総定数の「3分の2」以上の議席を単独で確保し、参院で否決された法案を衆院で再可決できるようになった。国会運営上の切り札を得たことになるが、野党の反発を招きかねないため、当面は再可決に頼らずに野党の協力を得ることを優先する構えだ。

自民党本部で記者会見に臨む高市首相(9日午後)=米山要撮影

 自民の鈴木幹事長は9日未明、党本部で記者団に「数をたのんで無理に物事を通す姿勢は慎まなければならない」と述べた。高市首相(自民党総裁)も同日の記者会見で「国民民主党に(連立参加の)意向があるなら、ぜひ追求したい」と語った。まずは連立の枠組み拡大などを通じ、参院で少数与党となっている状態を解消することが先決だとの考えを示したものだ。

 自民は今回、316議席を得て、単独で3分の2(310)を超えた。憲法59条は、参院で否決された法案や、60日以内に議決されずに「みなし否決」された法案について、衆院で3分の2以上の賛成があれば再可決できると定めている。

 これまで再可決は、衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」で実施された例が多い。福田内閣だった2008年、インド洋での海上自衛隊の給油活動再開のための新テロ対策特別措置法が参院で否決されたことを受け、衆院で再可決されたことがある。その後の麻生内閣、第2次安倍内閣を含め、3内閣で計18件に上る。

 ただ、野党の反発も強まるため、歴代内閣は抑制的な姿勢も示してきた。15年に安全保障関連法の参院審議が野党の反対で長引いた際は、当時の安倍首相の下で再可決が検討されたものの最終的には見送られた。自民ベテランは「何でもかんでも再可決しようとすれば世論の批判も招く」と指摘する。日本銀行総裁などの国会同意人事は対象外で、再可決には限界もある。

 一方、野党側は、歴史的大勝を果たした高市首相が今後、自身の思い入れのある法案などで再可決に踏み切ってくるのではないかと警戒している。

 首相が、日本維新の会との連立合意に盛り込んだスパイ防止法案や外国人土地取得規制強化法案、国旗損壊罪の法制化などを「やりたくてやれなかった政策」と述べ、成立への意欲を強調しているためだ。

 いずれも中道改革連合などが反対姿勢を示している政策のため、今後の国会では与野党対決の火種になる可能性がある。

▽自民・高鳥氏、党内「リベラル議員」「財政規律至上主義派」を警戒 首相の基盤強化目指す<産経ニュース>2026/2/10 10:30

2025年2月4日、自民党「保守団結の会」の会合で発言する高市早苗氏(中央)。首相の左隣は高鳥修一氏=党本部(春名中撮影)
2025年2月4日、自民党「保守団結の会」の会合で発言する高市早苗氏(中央)。首相の左隣は高鳥修一氏=党本部(春名中撮影)

8日投開票の衆院選で当選し国政に復帰した自民党の高鳥修一元内閣府副大臣(新潟5区)は9日、自身のX(旧ツイッター)を更新し、党内で高市早苗首相(党総裁)の方針に反発する「アンチ高市系」への警戒感を示して、党内基盤強化に努める考えを表明した。高鳥氏は首相に近い保守系有志議員グループ「保守団結の会」の中心メンバーで、旧安倍派にも所属していた。

衆院選で自民は戦後最多の316議席を獲得する歴史的大勝を果たした。高鳥氏はXで「圧勝は有難いのだが、比例も含めてアンチ高市系のリベラル議員も沢山当選し、財政規律至上主義派も増えてしまいました」と投稿した。

衆院選では、首相に批判的な村上誠一郎前総務相が比例代表四国ブロック(定数6)の名簿で下位の10位に登載されたものの、当選した例がある。

高鳥氏はXで「保守団結の会を増強して高市総裁の党内基盤を強化するのが私の使命と心得て頑張ります」と強調した。

首相は衆院選から一夜明けた9日の記者会見で、衆院選で掲げた食料品消費税ゼロや、「責任ある積極財政」への転換などに取り組む考えを示した。これらの政策には党内に賛否両論がある。衆院選で自民が圧勝したことで、弱体化した野党より、むしろ自民内の反対派の存在が政策実現のハードルとなり得る。

会見で首相は「国民の皆さまとお約束した政権公約を礎に、自民が結束することが大切だ」「党一丸となって歯を食いしばって、国民との約束を実現していく」と述べ、反対派にクギを刺した。