▽米最高裁、トランプ関税の効力認めず-大統領権限を逸脱と判断
- 1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)は関税について明示せずと指摘
- 判決6対3、輸入業者がどの程度税還付を受けられるかの判断は示さず

米連邦最高裁は20日、トランプ大統領が打ち出した大規模な関税措置について効力を認めないとの判断を下した。トランプ氏にとっては看板政策の根拠が否定された形で、政権復帰後、最大の法的敗北となった。
最高裁は、トランプ氏が1977年国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて各国・地域に関税を課したことや、合成麻薬フェンタニルの米国流入対策として輸入関税を発動したことは大統領権限の逸脱に当たると判断した。判決は6対3だった。
輸入業者がどの程度の税還付を受けられるかについては判断を示さず、下級審に委ねた。還付が全面的に認められた場合は総額で最大1700億ドル(約26兆3500億円)に上り、これらの関税に伴う歳入の半分余りとなり得る。
ホワイトハウスはこれまでに、最高裁がIEEPAに基づく関税措置を認めなかった場合は、速やかに他の法的手段に置き換えると表明している。ただ、その場合は手続きがより煩雑になる、あるいは適用範囲が狭まることが予想される。
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最高裁判断が伝わった後、米株式相場は上昇。一方、米国債相場は税収が失われる可能性が意識されて下落(利回り上昇)に転じた。
ドル指数は下落。他国・地域にとっては圧力が和らぐとの見方が背景にある。ドルは対円で下げに転じ、一時154円70銭台まで売られる場面があっった。
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今回の判断により、昨年4月2日のいわゆる「解放の日」にトランプ氏が発表した関税措置は無効となる。同措置では大半の国・地域からの輸入品に10-50%の関税を課した。
フェンタニル流入対策の名目でカナダとメキシコ、中国の製品に課してきた関税も撤回される。ブラジルとインドの製品に対してさまざまな理由で課した、IEEPAに基づく別の関税についても、その正当性に疑問が投げ掛けられることになった。
トランプ政策の中核
最高裁判断は、トランプ氏の政策の中核に切り込む格好となった。貿易相手国・地域に対し同氏が振りかざしてきた万能手段を封じた。
米国の平均実効関税率は現状より半分余り低くなる可能性がある。今回の判断が示される前、トランプ氏に不利な判断が下された場合は同税率が13.6%から6.5%に低下し、昨年3月以来の低水準になるとの予測が示されていた。
一方、鉄鋼とアルミニウム、自動車に対する関税措置は別の法律に基づいているため、直接的な影響はない。
最高裁判断は、トランプ氏が超党派の州知事らと非公開会合を行っている時に伝えられた。事情に詳しい関係者によると、トランプ氏は「恥ずべきことだ」とし、代替策を講じると述べた。関係者は非公開会合であることを理由に匿名を条件に語った。
ホワイトハウスと米通商代表部(USTR)にコメントを求めているが、現時点で返答はない。
最高裁は多数意見で、IEEPAは関税導入を認めた法律ではないと表明。同法は国家安全保障や外交政策、経済上の緊急事態に対処するための幅広い権限を大統領に与えているが、関税や税については明示していないと指摘した。
最高裁のロバーツ長官は「議会が関税を課す権限を付与する場合は、明確かつ慎重な制約の下で行う」とし、「今回はそのいずれも満たしていない」と多数意見に記した。
多数派にはロバーツ長官と3人のリベラル派判事のほか、トランプ氏が指名したゴーサッチ判事とバレット判事も加わった。ただ、判断理由の一部を巡っては多数派の間でも意見が分かれた。
一方、カバノー、トーマス、アリートの各判事は無効との判断に反対した。
カバノー判事はIEEPAについて、「関税を課す権限を大統領に明確に付与している」と表明。税還付手続きは「口頭弁論でも認められた通り『混乱』を招く公算が大きい」と記した。
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米民主党上院トップのシューマー院内総務は「全ての米消費者にとって負担軽減につながる勝利だ」とのコメントを発表。
「トランプ氏の混乱し、かつ違法な関税は生活費を押し上げ、経済をより不安定にした。家計の負担は増し、小規模企業や農家は圧迫され、市場は大きく変動した」と述べた。
原題:Trump’s Global Tariffs Struck Down by US Supreme Court (3)(抜粋)