• 金融向け機能を拡充、プラグインをカスタマイズ可能に
  • 同社のAIモデルは顧客成長を後押し-プロダクト責任者
アンソロピックが24日、新たなAIツールを発表
アンソロピックが24日、新たなAIツールを発表Photographer: Samyukta Lakshmi/Bloomberg

Rachel Metz

人工知能(AI)スタートアップの米アンソロピックは、同社のチャットボット「Claude」の活用分野を新たなセクターへ拡大している。数週間前に発表したツールは、AIによって企業そのものが不要になる可能性への懸念を呼び起こし、市場を動揺させた。

  アンソロピックは24日のライブ配信イベントで、エージェント型ソフトウエア「クロード・コワーク(Claude Cowork)」向けの新たなAIツールを発表した。人事や投資銀行業務、デザインなどの分野で業務の自動化を図るものだ。同社によれば、新たなツールはパートナー企業と共同で開発された。金融データ提供会社ファクトセット・リサーチ・システムズと共同開発したプラグインも含まれるという。

  アンソロピックはまた、顧客企業が自社の基準に合わせてプラグインをカスタマイズできるようにすると明らかにした。同社の新たなカスタマイズ機能の多くは金融業界を対象としており、財務分析や株式リサーチ、プライベートエクイティー、資産運用向けに特化した新しいプラグインを提供するとしている。

  この日のイベント開催中、米株式市場では幅広い業種の株価が短時間で大きく変動した。スポティファイ・テクノロジーは画面上で言及された後、一時3%上昇したが、その後は下げに転じた。一方、金融データやサービスを手掛ける企業の株価は急伸。ファクトセットやS&Pグローバル、ムーディーズが値上がりした。

  アンソロピックや競合するOpenAIは過去1年の大半を、金融サービスから医療分野に至る幅広い専門業務を効率化するAIツールの開発に費やしてきた。顧客企業の獲得を進めるとともに、高い企業評価を正当化することが狙いだ。新たな業界へと事業領域を拡大しようとする両社の取り組みは、ここ数週間にわたってウォール街を揺るがしてきた。

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  アンソロピックでClaudeのプロダクト責任者を務めるスコット・ホワイト氏は、仕事上の質問へのAI活用と、実際の業務ツールとの間のギャップを埋めることが同社の目標だと述べた。

  また、市場の動きを単一の製品発表と結び付けるのは「やや行き過ぎ、あるいは過剰反応だ」と指摘。同社のAIモデルは顧客企業の成長を後押ししているとの認識を示した。

  アンソロピックの顧客であるノボノルディスクは、臨床試験報告書の作成を担当する従業員向けにツールをカスタマイズした。これらの報告書は最大300ページに及ぶことがあり、新薬の承認に際して規制当局への提出が義務付けられている。

  1件の報告書作成に従来は数カ月を要し、担当者は年間平均で2件強を仕上げていた。ノボノルディスクはこの業務フローに合わせてClaudeを活用したプラットフォームを構築し、これまで10週間かかっていた作業をわずか10分で完了できるようになったとしている。

  アンソロピックは30万社超の顧客企業を抱え、同社のモデルを活用した業務の効率化を支援している。とりわけコンピュータープログラミング分野では、AIコーディング支援ツール「Claude Code(クロード・コード)」により市場のリーダー的存在として台頭している。

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