• 需要側に働き掛ける通常の金融政策ではインフレ圧力を高める恐れ
  • 失業率は4.3%となお低水準、解雇指標も落ち着いている-クック理事
クックFRB理事
クックFRB理事Photographer: Eva Marie Uzcategui/Bloomberg

Enda Curran

米連邦準備制度理事会(FRB)のクック理事は、人工知能(AI)の導入によって失業が増加した場合、FRBが十分に対応できない可能性があると警告した。

  クック氏は24日、ワシントンのイベントで講演。事前に配布された原稿によれば、「AIが生産性を高め続ければ、労働市場の入れ替わりで失業が増加したとしても、経済成長は力強さを維持する可能性がある。そのような生産性ブームの下では、失業率上昇はスラック(需給の緩み)拡大を意味しない可能性がある」と述べた。

  「そのため、需要側に働き掛ける通常の金融政策によってAIがもたらす失業局面を改善しようとすれば、同時にインフレ圧力を高めてしまう可能性がある」とクック氏は指摘した。

  このところ、AIが今後数年間の金融政策に与える影響を巡ってFRB高官の発言が相次いでいる。AIがもたらす生産性ブームが、経済を安定させるいわゆる中立金利を押し上げる可能性があるとの認識を示す当局者もいる。

  一方でクック理事は、中立金利を押し下げる可能性のある要因に言及した。

  クック氏は「投資が総需要を力強く押し上げている状況では、現在の中立金利はパンデミック前より高い可能性がある」とした上で、「AIによる生産性向上の効果がより十分に実現した場合や、労働市場の移行が所得格差の拡大を招き、富裕層が所得においてより大きな割合を得るようになった場合、他の条件が同じであれば中立金利は低下する可能性がある」と語った。

  講演原稿ではクック氏は近い将来の金融政策の見通しには触れなかったが、1月の連邦公開市場委員会(FOMC)会合後に公表された労働市場のデータは、状況が安定しつつあるとの見方を裏付けたと指摘した。

  クック氏は、「新卒の大卒者の失業率はここ数年で上昇している。これまでエントリーレベルの労働者が担っていた業務にAIを導入している時期と重なる」としつつ、「それでも全体の失業率は4.3%となお低水準にあり、最近の解雇指標も落ち着いている」と述べた。

原題:Cook Says Fed May Not Be Able to Counter AI-Driven Unemployment(抜粋)