- 英MFSが法的整理、トライカラーやファースト・ブランズに類似
- MFSに二重担保の疑い、一部利益を横流しの可能性も-所在は不明

Constantine Courcoulas、Donal Griffin、Scott Carpenter
英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)が突き進む破綻への道は、舞台こそ新しいものの、見覚えのある構図だった。
破綻した米サブプライム(信用力の低い個人向け)自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスのように、MFSは、主要銀行が無視または扉を閉ざした隙間を埋めるノンバンクの金融会社だ。ただ、その資金については、ウォール街の大手金融機関から調達していた。米自動車部品サプライヤーのファースト・ブランズ・グループと同じく、銀行は有形担保に安心感を抱いていたが、MFSに二重担保の疑惑が持ち上がると、その確信は揺らいだ。
登場する顔ぶれも似通っている。サンタンデール銀行とジェフリーズ・ファイナンシャル・グループは、過去数カ月にファースト・ブランズをめぐり打撃を受けたが、今また、経営難に陥ったMFSから可能な限りの資金を回収しようと奔走している。今回は、サンタンデールとジェフリーズだけでなく、アポロ・グローバル・マネジメントの傘下部門アトラス・パートナーズやバークレイズ、ウェルズ・ファーゴ、キャッスルレイクなども資金回収に動いている。
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資産担保金融ファンド、デュマー・キャピタル・パートナーズ創業者のニコール・バーンズ氏は、「この6カ月間、市場では不正をいかに防ぐかが絶えず議論されてきた。タスクフォースも立ち上がり、新たな不正防止商品も開発された。それでもなお、不正を見抜く能力に弱点が残っている可能性を今回の件は示している」と述べた。
不正疑惑が浮上する中、今回の一件は大手銀行に数十億ドル規模の減損を強いる新たな企業破綻に発展する恐れがある。MFSは25日、英国の法的整理手続きに入った。手続きに関連して同社グループ内の複数の事業会社が裁判所に提出した書類では、担保に「重大な不規則性」と「大幅な不足」があると記載された。これは、MFSが21日の声明で問題を「日常的な銀行サービスへのアクセスが一時的に制限されている行き詰まり」と説明していたのとは対照的だ。
現時点で、当局者から不正行為で責任を問われている者はいない関係者はいない。
経済や地政学上の懸念があるにもかかわらず、企業全体のデフォルト率は安定している。しかし米銀大手JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は23日、金融業界全体で競争が激化している状況について問われ、2008年の金融危機前との類似が見え始めていると述べた。当時は融資拡大競争が悲惨な結果に終わった。
ダイモン氏は投資家に対し「残念ながら、05年、06年、07年にも同じようなことが起きた。潮が満ちてあらゆる船が持ち上げられ、誰もが多額の利益を上げていた」と述べ、JPモルガンは純金利収入(NII)を押し上げるためにリスクの高い融資を行うつもりはないとした上で、「NIIを生み出すために愚かなことをしている人が数人いる」と語った。
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MFSは2006年に設立され、自ら「複雑な不動産担保融資」と呼ぶ事業を手がけていた。同社は顧客にブリッジローンと呼ばれる短期融資を提供し、借り手はさまざまな不動産投資に充てることができると謳っていた。
MFSはこの事業資金をウォール街からの借り入れで賄っていた。資金調達はMFS内の異なる事業体を通じて行われ、MFSは返済回収を担ういわゆるサービサーの役割を担っていた。
MFSの事業は好調に見えた。融資残高は一時、24億ポンド(約5000億円)まで拡大し、2024年の業績発表でパレシュ・ラジャCEOは、成長の一因は「機関投資家との強固な資金調達関係にある」にあると述べていた。同社はその年、新規で機関投資家から13億ポンドを調達し、既存の機関投資家からの資金枠11億ポンドについても増額し、条件を再交渉した。
法的整理に関する審理で裁判官は、バークレイズだけでMFSに約6億ポンドが投じられていたと説明した。アトラスは約4億ポンドのエクスポージャーがあったと明らかにした。事情に詳しい関係者によると、ジェフリーズのMFSに対するエクスポージャーは約1億ポンドだった。
MFSで何が問題だったのかについては多くの疑問が残るが、今週、同社の管理手続きを申し立てた傘下法人のジルコン・ブリッジングとアンバー・ブリッジングは、12月が転換点だったのではとみている。裁判書類によると、MFSはその頃、一部取引から得られる利益の「ほぼすべて、もしくは全額」を横流しし始めたとされる。ジルコンとアンバーによれば、資金の行方は現時点で不明だ。
両社は「消失した利益の所在や、なぜ横流しされたのかはいまだ明らかではない」と主張した。提出書類によると、MFSは同一資産を用いて複数の貸し手から融資を受ける二重担保の供与も行っていた。
これに対しラジャ氏は21日の声明で、「主要な銀行取引先との手続き上の問題」に直面していると説明し、「現在の状況は、基礎となる事業の失敗や当社資産の質の低下を反映したものではない」と述べた。
バークレイズ、サンタンデール、ウェルズ・ファーゴ、ジェフリーズの広報担当者はいずれもコメントを控えた。
関連記事:破綻した英住宅金融、約2000億円の担保不足か-債権者の一部が指摘
原題:New Credit Blowup in London Has Wall Street Chasing Billions (1)(抜粋)
▽破綻した英住宅金融、約2000億円の担保不足か-債権者の一部が指摘<bloomberg日本語版>2026年2月28日 at 3:38 JST
- 破綻したMFS、二重抵当で債務の80%を超える担保不足の疑い
- MFSにはバークレイズやアポロ傘下部門、ジェフリーズなども融資

Donal Griffin、Constantine Courcoulas、Jonathan Browning、Luca Casiraghi
金融不正疑惑のなか破綻した英住宅金融会社マーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)の一部債権者は、自らの融資の裏付けとなった担保に9億3000万ポンド(約2000億円)の不足がある可能性を指摘した。MFSへの融資には、バークレイズなど複数の大手金融機関も関わっていた。
MFSは今週、複数の融資に同一の資産を担保として設定していたとして、英金融会社ジルコン・ブリッジング、アンバー・ブリッジングの2社から訴えられ、法的整理に追い込まれた。ブルームバーグが入手した2社の文書によると、この二重抵当により、12億ポンドの債務に対して80%を超える「説明のつかない不足」を生じさせた疑いがある。
MFSにはバークレイズのほか、アポロ・グローバル・マネジメントのストラクチャード・クレジット部門であるアトラス・パートナーズ、ジェフリーズ・フィナンシャル・グループ、TPGなどが融資しており、銀行と直接金融の両方に打撃を与えた最新の事例となった。
二重抵当の疑惑は、米自動車部品メーカーのファースト・ブランズ・グループや、サブプライム自動車ローン会社トライカラー・ホールディングスの破綻でも浮上していた。
MFSのオーナー兼最高経営責任者(CEO)であるパレシュ・ラジャ氏は、リンクトインを通じたコメントの要請に応じなかった。
原題:MFS Creditors Warn of £930 Million Shortfall From Double Pledges(抜粋)