• 週明けの取引再開後はエネルギー市場に注目が集まる見通し
  • 中東の混乱長期化の可能性などが安全資産に資金を移す新たな理由に
中東の紛争拡大が米国債や金など安全資産への資金シフトを後押ししている
中東の紛争拡大が米国債や金など安全資産への資金シフトを後押ししているPhotographer: Matt Jelonek/Bloomberg

Miles J. HerszenhornNatalia Kniazhevich

中東での急速な紛争拡大が投資家の不安を高めており、米国債や金、スイス・フランといった安全資産への資金シフトを後押ししている。

  マクロトレーダーによれば、週明けに取引が全面再開されれば、エネルギー市場に注目が集まる見通しだ。オーストラリアでドルなどの通貨の取引が始まる段階から、ボラティリティーが高まることが示唆されている。中東の混乱が長期化する可能性や原油高の波及効果が、株式を売却して安全資産に資金を移す新たな理由となっている。

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  ナティクシスの米金利戦略責任者、ジョン・ブリッグス氏は、トレーダーは「まず安全資産を買い、細かいことは後で考える」という戦略を取るだろうと指摘。「イランへの攻撃と、それに対する報復の規模は市場の想定を上回っている」と述べた。

  ブリッグス氏は、短期金利が2022年以来の水準まで低下した前週末2月27日の動きが、週明けの米国債市場でも続く可能性が高いとみる。他に、エネルギーの要衝に注目する市場関係者もいる。ラウンドヒル・ファイナンシャルのデーブ・マッツァ氏は、ホルムズ海峡での通航状況を注視していると述べた。同海峡は、世界の海上原油輸送の約4分の1が通過する。

  マッツァ氏は、「問題は報復そのものではなく、ホルムズ海峡のリスクだ。航路が維持されれば、株式市場は消化可能だ」としつつ、「だが閉鎖されれば、あらゆる想定が崩れる」と語った。

  コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、エド・アルフサイニー氏は、世界の株式やクレジット市場の高いバリュエーションも投資家のリスク削減を後押ししていると指摘。市場は既に米関税政策の変更や人工知能(AI)による混乱、プライベートクレジットを巡る緊張で神経質になっている。

  「リスク削減がどの程度進むかは誰にも分からない」と同氏は述べた。

  サウジアラビアの代表的な株価指数であるタダウル全株指数は、1日の取引で一時約5%安となったが、その後に下げを大きく縮めた。

  バークレイズのストラテジストは、安易な押し目買いに警鐘を鳴らした。地政学的緊張は短期間で収束するとの期待が根付いているが、今回は米国人に犠牲者が出る可能性やイラン指導部への攻撃、ホルムズ海峡の混乱といった要因から長期化のリスクがあると、同社リサーチ部門グローバル責任者のアジェイ・ラジャディアクシャ氏は指摘した。

  同氏は、「リスクとリターンのバランスは魅力的とは言えない。S&P500種株価指数が10%超下げるなど十分な調整があれば買いの好機が訪れるだろうが、まだその段階にはない」と述べた。

  他の市場関係者のコメントは以下の通り。

◎チャールズ・シュワブのマクロ調査・戦略責任者、ケビン・ゴードン氏:

原油価格が持続的に上昇すれば、短期的なインフレ懸念が高まり株式市場を動揺させる可能性がある。ただし、ヘッドラインリスクと企業利益への実質的影響は区別する必要がある。この紛争が成長や利益に重大な波及的影響をもたらさなければ、株価の下落は一時的なものにとどまる可能性がある。

◎アムンディのビンセント・モルティエ最高投資責任者(CIO):

短期的には、影響の全容がさらに明らかになるまで、原油価格は5-10%上昇、米金利は低下、金は上昇、株式は1%前後下落すると予想する。市場が最高値水準にある中で、利益確定売りの口実にもなる。

◎インドスエズ・ウェルス・マネジメントのアジア担当チーフストラテジスト、フランシス・タン氏:

アジアから欧州、米国へとリスクオフに伴う下落が広がる可能性が高い。航空や旅行関連株が直撃を受けるだろう。中東上空の空域閉鎖といったニュースが出ている。湾岸地域の緊張が数カ月続けば、原油価格は1バレル=100ドル超に達する可能性があり、2026年の利上げ期待は後退する。特にテック株などグロース株の重しになる。

◎アメリベット・セキュリティーズの米金利戦略責任者、グレゴリー・ファラネロ氏:

軍事作戦は数週間続く可能性があるが、長期化は想定していない。過去4年という期間で見た場合、米国債利回りはレンジ内にあるが、安全資産需要が強まれば低下の余地がある。ただ最終的には米連邦準備制度理事会(FRB)と景気動向が、利回りを動かす決定的な要素だ。今回のイラン攻撃は米国のファンダメンタルズを変えるものではない

◎インテグリティ・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、ジョー・ギルバート氏:

エネルギー株や金属株、不動産、公益などディフェンシブ銘柄が主導する。防衛株も需要増で買われる。一方、消費関連は原油高で打撃を受けるだろう。

原題:Wall Street Turns to ‘Haven-First’ Strategy Amid Iran Crisis (1)(抜粋)