28日に突如始まった米国とイスラエルのイラン攻撃。イランの最高指導者・ハメネイ師が最初の攻撃で死亡するなど、米・イスラエル両国の攻撃力の凄まじさを改めて思い知らされた。直前には米・イランの核協議に進展があったとの報道が多かった。長年の懸案であったイランの核問題が、平和裡に対話で解決されるのではないか。期待感もあった。たが、世界はそんなに生易しくなかった。イラン攻撃は世界の実態を改めて浮き彫りにした。トランプ大統領とネタニヤフ首相はだいぶ前に武力行使で合意していた。対話はおそらく形式的なものだったのだろう。対話で解決すればよし。解決できない場合は武力行使。むしろこれが既定路線だったかもしれない。攻撃開始は土曜日の昼間。この種の攻撃は通常夜間に開始されるというのが一般的。今回に限ってはまっ昼間に開始されている。その裏にはハメネイ師の所在確認という確かな情報があった。CIAと連動した米国とイスラエルの電撃作戦。恐ろしいほどの周到さだ。

イラン攻撃に絡む裏情報はこれから主要メディアを中心に次々に暴かれていくだろう。28日の攻撃開始以来、個人的にはインターネットで情報収集を行なった。限られた情報にしかアクセスできなかったが、それでも意外な情報がヒットした。その一つがYouTuberの及川幸久氏のもの。同氏によると米国の著名な政治コメンテーターであるタッカー・カールソンは今回のイラン攻撃について、「トランプの本音は戦争はしたくなかった」というもの。では、どうしてイスラエルと組んでイラン攻撃を仕掛けたのか。カールソン曰く「イスラエルのイランに対する核攻撃を阻止するためにやらざるを得なかった」というのだ。例によって本当かどうかまったくわからない。ありそうでもあり、同氏の個人的な推測に過ぎない気もする。今後メディアがどこまでこの説の真相に迫れるか、期待するしかない。

ただ、カールソンの見立てが単なる推測だとしても、世界の現実がいかに制御不能になりつつあるか、それを象徴するような話でもある。トランプ氏とネタニヤフ氏はこれまで何回も直接、間接的に対話を重ねている。直近では2月11日、ホワイトハウスで両氏は会談している。ネタニヤフ氏が米国が進める外交的解決に対する懸念を伝えるためだったと、当時メディアは報道していた。カールソンはこの席で「たとえ米国の支援がなくてもイスラエルは自らの安全を確保するため、一国でイランに対する核攻撃を実施する」と伝えたというのだ。この説が真実に近いとすれば攻撃を避けたいトランプに、攻撃以外の選択肢はなかった。ネタニヤフのイランに対する不信感は、外交努力など及びもかない暗黒世界に落ち込んでいる。プーチンもネタニヤフも核戦争を厭わなくなっている。カールソン説の真偽はわからない。だが、人類の憎悪は限りなく自己増殖している。世界の政治指導者の精神状態が気になる。