池田慶太
電話インタビューに「最長4週間」
【ワシントン=池田慶太】米軍とイスラエル軍は1日、イランに対する攻撃を継続した。トランプ米大統領は自身のSNSに投稿したビデオ演説で、「現在も軍事作戦は全ての力をもって継続しており、我々の目標が全て達成されるまで続く」と述べた。軍事作戦に絡んで米軍関係者3人が死亡したことを認め、イランに対して報復を宣言した。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、3人はクウェートの基地に駐留する米兵。軍事作戦に絡んで米側に死者が出るのは初めてだ。米軍はこのほか5人が重傷を負ったと発表した。
トランプ氏は約6分間の演説で、軍事作戦が終わるまでに「さらに犠牲者が出る可能性が高い」と述べ、「米国は彼らの死に対して報復し、文明に対して戦争を仕掛けたテロリストたちに痛烈な打撃を与える」と語った。イランの軍や警察、精鋭部隊「革命防衛隊」のメンバーに投降を呼びかけたほか、「自由を渇望するイランの愛国者に行動を呼びかける」と訴え、イラン国民に対し体制崩壊に向けた蜂起を改めて促した。
これに先立つ投稿では、2月28日の作戦開始からこれまでにイラン海軍の艦艇9隻を破壊、沈没させ、「海軍の司令部をほぼ破壊した」と戦果をアピールした。米中央軍によると、大型爆弾を搭載したB2ステルス爆撃機がイランの弾道ミサイル施設を攻撃したほか、革命防衛隊の司令部や防空システムなどを破壊したという。
トランプ氏は英大衆紙デイリー・メールの電話インタビューで、軍事作戦が最長4週間ほど続く可能性があると語った。米誌アトランティックには、イランの新指導部と協議する考えを示し、「彼らは協議を望んでおり、私も協議することに同意した。彼らと協議するつもりだ」と述べた。
影響は海上交通にも及んでいる。ロイター通信によると、ペルシャ湾やホルムズ海峡付近では1日までに、少なくともタンカー3隻がイランによる報復攻撃に巻き込まれて損傷した。このうち、オマーン沖を航行していたマーシャル諸島船籍のタンカーは、 飛翔 体が直撃して爆発と火災が起き、船員1人が死亡した。
▽ヒズボラ・ハマスにフーシも…親イラン勢力「抵抗の枢軸」、報復攻撃に呼応の動き<読売新聞オンライン>2026/03/02 11:30
溝田拓士、村上愛衣
【カイロ=溝田拓士、村上愛衣】米国とイスラエルによるイラン攻撃に対し、イエメンやイラクの親イラン勢力「抵抗の枢軸」が報復攻撃に呼応する動きを見せている。イランの報復攻撃を受ける湾岸諸国は猛反発しつつも、紛争拡大を危惧して軍事介入を自制している。
共闘呼びかけ
「イスラム教国に対する不当で残忍な犯罪行為だ」。イランの軍事支援を受けるイエメンの反政府勢力フーシは2月28日に声明を出した。中東の米軍施設を攻撃する構えで、戦火が拡大する恐れがある。
フーシは「イラン攻撃の目的はイスラエルの勢力拡大だ」とも主張し、イスラム教徒の間に根強く残る反米・反イスラエルの感情に訴えて各地の武装組織に共闘を呼びかけている。
フーシは、パレスチナ自治区ガザでのイスラエルとイスラム主義組織ハマスの戦闘では、同じ「抵抗の枢軸」のハマスを支援。イスラエルへのミサイル攻撃や、紅海を航行するイスラエル関係の商船、米海軍艦艇への攻撃を繰り返した。
イラクでも、親イランの強力な民兵組織カタイブ・ヒズボラが報復攻撃への加勢を表明した。28日には同国北部にある米軍施設近くで複数の爆発が起きた。
「抵抗の枢軸」としてイスラエル軍と戦ってきたハマスとレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも非難声明を出した。ただ、ハマスはイスラエル軍の苛烈なガザ攻撃で壊滅状態。ヒズボラも大打撃を受けており、大規模な軍事行動は難しいとみられる。
反撃の標的
イランの報復攻撃の目標は湾岸諸国にある米軍施設だ。米海軍第5艦隊司令部があるバーレーンでは28日、関連施設がミサイル攻撃を受けた。サウジアラビアでも首都リヤドなどが攻撃された。
湾岸諸国は一斉にイランを非難するが、反撃の動きは今のところ見せていない。国際金融都市で知られるUAEのドバイやアブダビなど、観光や外国企業の誘致で経済発展してきた各国は、中東地域のさらなる不安定化を危惧するためだ。国内には、同じイスラム教徒のイラン国民に対する同情論や、米国・イスラエルへの反感もある。
昨年6月のイスラエルとイランの「12日間戦争」で仲介役を担ったカタールは「エスカレーションの即時停止と、交渉に戻ることを求める」(外務省声明)と呼びかけている。