▽NATO、イランの弾道ミサイルを撃墜-加盟国トルコ領空に向け飛来<bloomberg日本語版>2026年3月4日 at 22:34 JST

  • イラン攻撃開始後、NATOの加盟国防衛は初めて
  • 米国防長官、集団防衛の発動にはならないとの見解示す

Selcan HacaogluFirat Kozok

北大西洋条約機構(NATO)は4日、イランから発射されてトルコ領空に向かっていた弾道ミサイルを撃墜した。米国とイスラエルが対イラン攻撃を開始して以降、NATOが加盟国防衛に関与したのは初めて。

  NATOのアリソン・ハート報道官は「イランによるトルコへの攻撃を強く非難する」とし、「イランが地域全体で無差別攻撃を続ける中、NATOはトルコを含むすべての同盟国と断固として連帯する」と語った。

  トルコ防衛省は声明で、「弾道ミサイル」はイラクおよびシリアの領空を通過後、東地中海地域に配備されたNATOの防空システムによって撃墜されたと説明した。

  トルコ大統領府によると、迎撃ミサイルの破片が同国南部ハタイ県に落下した。死傷者はなかった。今回の戦闘でトルコが巻き込まれたのは初めてとなる。

  地元メディアによると、トルコはイラン大使を呼び出した。また、フィダン外相が事案後、イランのアラグチ外相と電話会談し、戦闘が地域全体に拡大しかねない行動を控えるよう警告した。

  トルコには、イラン国境から約435マイル(700キロメートル)西に位置するキュレジクに、NATOの弾道ミサイル防衛の重要な構成要素である早期警戒レーダーシステムが配備されている。

  米国のヘグセス国防長官は、迎撃の事実を把握しており、詳細を調査中していると述べた。記者の質問に対して、ヘグセス氏は、この出来事が、加盟国への攻撃を全加盟国への攻撃とみなす集団防衛を定めた、NATOの第5条発動にはつながらないとの見解を示した。

関連記事
イランのミサイル・ドローン戦力とは-米国は大規模備蓄を警戒
トランプ氏、中東産石油の安全輸送を約束-イラン戦争に収束の兆候なし
米イスラエルによるイラン攻撃、これまでのキーポイント

原題:NATO Shoots Down Iranian Ballistic Missile Headed for Turkey (4) (抜粋)

▽イランでは1000人超死亡、戦闘に収束の兆しなし-ハメネイ師葬儀延期<bloomberg日本語版>2026年3月4日 at 21:41 JST

  • 米国を全く信用せず、「交渉する意図もない」-ハメネイ師顧問
  • トルコへも攻撃、NATO加盟国で攻撃受けるのは初めて
戦闘に収束の兆しはない
戦闘に収束の兆しはないPhotographer: Kobi Wolf/Bloomberg

Jennifer A DlouhyChristine BurkeDan Williams

米国とイスラエルによるイランへの攻撃で開始した戦闘は、5日が過ぎても収束の兆しを見せておらず、イランではこれまでに1000人超が死亡した。地域の他の国々でも数十人が死亡した。米国は米軍関係者6人が死亡したと明らかにしている。

  最初の一連の攻撃で殺害された最高指導者ハメネイ師の顧問、ムハンマド・モフベル氏はイラン国営テレビに対し、「われわれは米国を全く信用しておらず、米国と交渉する意図もない」と述べた。

  イランのタスニム通信によると、テヘランで予定されていた最高指導者ハメネイ師の葬儀は延期された。新たな日程は後日発表されるという。イランのテレビは、延期の理由について「予想を上回る前例のない規模の弔問客の参列が見込まれたため」と伝えた。

  今回の紛争には約十数カ国が関与している。イランは中東各地の米軍基地や大使館を攻撃。イスラエルはレバノンで親イラン武装勢力のヒズボラに対する空爆と地上作戦に踏み切った。

  4日にはトルコも攻撃を受けた。北大西洋条約機構(NATO)加盟国が今回の紛争で攻撃を受けるのは初めて。NATOの防空システムがイランから飛来した弾道ミサイルを撃墜し、トルコはイランに対し戦火を拡大させかねない行動を控えるよう警告した。  

  また、イランの軍艦がスリランカ沖で沈没し、乗組員32人が救助された一方、100人超が行方不明または死亡した。日本や中国、インド、南アフリカなど多くの国が、紛争の影響拡大に懸念を表明している。

安全な石油輸送を約束

  トランプ大統領は、米国が中東からの石油の安全な輸送を確保すると表明した。イランとの軍事衝突によって懸念されるエネルギー危機を回避する狙いがある。衝突は地域全体に波及し、市場の混乱は続いている。

A motorboat passes a tanker in the Strait of Hormuz in February
ホルムズ海峡を通過するモーターボート(2月)Photographer: Fadel Senna/AFP/Getty Images

  トランプ氏は3日、米国際開発金融公社(DFC)が「非常に妥当な価格」で保険を提供し、湾岸地域におけるエネルギーや商取引の流れを維持すると述べた。必要であれば、米海軍が重要なホルムズ海峡を通過するタンカーの護衛を「可能な限り早期に」開始するとも語った。

  同氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「いかなる状況下でも、米国は世界へのエネルギーの自由な流れを確保する」と投稿した。

  トランプ大統領の保証は当初、一部市場の不安を和らげた。その後、イランが戦争終結に向けて米国と間接的に接触したとする米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙の報道が伝わり、紛争が短期で収束するとの期待が高まり、株価は上昇した。ただ、この後でイラン側は報道内容を否定した。

  エネルギー市場のリスクプレミアムの一部は縮小したものの、ホルムズ海峡を通る原油の流れが速やかに正常水準へ戻るかどうかを巡っては、トレーダーの間で懐疑的な見方が根強い。

  原油価格は、先週末の攻撃開始以降、約13%急騰している。混乱は中東全域に広がり、世界のエネルギー供給の5分の1が通過するホルムズ海峡では、石油輸送が事実上停止している。

  トランプ氏の投稿では、DFCによる保険の提供計画について具体的な仕組みには触れなかった。た。DFCは一般に、民間資本を開発途上国に呼び込み、貧困国への投資リスクを軽減することを目的とする開発金融機関だ。

  DFCはその後のニュースリリースで、市場の混乱を最小限に抑え、物資や資本の自由な流れを確保するため、商業用海運のチャーター事業者や船主、主要な海上保険会社に支援を提供すると発表した。詳細は示さず、関心のある当事者はDFCに直接連絡するよう呼びかけた。

  戦闘の終結時期は見通せず、トランプ氏は数週間続く可能性に言及した。イランは、核濃縮計画の放棄や弾道ミサイル計画の中止、テロ組織支援の停止といった要求に応じる姿勢を示していない。

  国営サウジ通信によると、国内最大級のラスタヌラ製油所への攻撃の試みがあったものの、供給に影響は出ておらず、被害も確認されていない。国防省の報道官は、初期評価では攻撃はドローンによって行われたとみられると述べた。

A collapsed building following an air strike near Ferdowsi square in Tehran on March 3.
攻撃によって崩壊した建物(テヘランで、3月3日)Photographer: Atta Kenare/AFP/Getty Images

原題:Trump Pledges Safe Mideast Oil Transit as Iran War Rages On

Saudi Arabia Says No Supply Impact After Ras Tanura Attack (1)

Iran Postpones Funeral of Supreme Leader Khamenei: Tasnim

(抜粋)

▽米国のタンカー護衛案は中途半端、ホルムズ危機巡る懸念解消せず<bloomberg日本語版>2026年3月4日 at 16:09 JST

  • 計画を迅速に実行するには多くの課題がある可能性-RBCキャピタル
  • 攻撃継続で護衛逼迫リスク、タンカーが米国所有ではない点も課題
ホルムズ海峡沖を走るモーターボート(2026年2月25日)
ホルムズ海峡沖を走るモーターボート(2026年2月25日)Photographer: FADEL SENNA/AFP

Weilun SoonRuth LiaoSerene Cheong

トランプ米大統領は、ホルムズ海峡を航行する石油タンカーやその他の船舶の安全を確保するため、米国が保険と海軍による護衛を提供すると表明した。ただ、海運業界はこれを歴史的危機に対する部分的な解決策にすぎないとみている。

  RBCキャピタル・マーケッツのアナリストはリポートで「トランプ大統領の保険やタンカー護衛に関する発言を受けて原油価格は上げ幅を縮小したが、どの程度の準備が進んでいるのか疑問が残る」と指摘。「計画を迅速に実行するには多くの課題がある可能性がある」と述べた。

  週末に米国とイスラエルがイランを攻撃したことで、地域紛争は激化の一途をたどっている。複数の船舶が攻撃を受け、世界有数の産油・産ガス国と他の地域を結ぶ重要な水路、ホルムズ海峡は事実上閉鎖された。

  船舶が同海峡を通航できない、あるいは通航を避ける中で、生産国は輸出できず、超大型タンカーの輸送コストは急騰している。ペルシャ湾沿岸の多くの製油所では貯蔵能力が急速に逼迫(ひっぱく)している。船主などが共同で設立・運営する海上保険組合である船主責任相互保険(P&Iクラブ)主要12クラブのうち7クラブが、5日からペルシャ湾に入域する船舶に対する戦争リスクの補償を停止する見込みだ。

  コモディティー、海運、保険分野を専門とするケネディーズ法律事務所のパートナー、カルナン・ティルパシー氏は「船主が最も重視しているのは実際の損失リスクだ。損失リスクが単純に高すぎる状況で取引に乗り出す者はいない」と述べた。

  影響は迅速に表れている。サウジアラビアに次ぐ中東最大の産油国であるイラクは、すでに大幅な減産を開始しており、地域の供給側に圧力がかかっていることを示している。

  トランプ氏の解決策は、通常は開発途上国向けの民間部門の資金調達を支援する米国際開発金融公社(DFC)を活用するものだ。DFCが用船者や船主、主要な海上保険会社を支援する。

  国際的な前例はある。2023年11月には、ロイズ保険組合やウクライナ政府などと共に、ウクライナの海上輸出、特に穀物貨物を輸送する船舶に対し、安価な戦争危険保険を提供する枠組みが設けられた。DFCは戦争危険再保険の支援も一部行っており、同様の措置を再び講じる可能性がある。

  それでも関与する生産国と消費国の数を踏まえると、ペルシャ湾全域で原油やガス、燃料を対象とする米国主導の新たな枠組みは、はるかに大規模かつ複雑になる。複数の船主は、方針変更が度々発生する米政権に事業の運命を委ねることにも慎重姿勢を示した。

関連記事:イラン攻撃の影響、トレーダーは短期決着と長期化の両シナリオを意識

  トランプ氏の発表は3日の原油価格の上昇を幾分抑えたが、詳細が限られる中、複数の船主は保険の内容とコストの両面で慎重な姿勢を崩せないと口をそろえる。

  またイランによる攻撃が続き護衛が逼迫する可能性があるほか、多くのタンカーが米国所有でも米国籍でもない点も課題だと指摘した。紅海では親イラン武装組織フーシ派の攻撃が続いていることも懸念されている。

  RBCはリポートで「米国は現在、イランに対する作戦を主導している。護衛と対イラン作戦の継続を同時に担うのに十分な余力があるのかが重要な問題になる」としている。

  限定的な解決策であっても実施には時間を要する可能性がある。

  INGグループのコモディティー戦略責任者、ウォーレン・パターソン氏は「歓迎すべきニュースだが、明日にも実現するわけではない。海軍による護衛は有益だろうが、この取り組みには時間がかかる。海軍の護衛はイランの攻撃に対して格好の標的になり得る」と語った。

原題:Trump’s Hormuz Assurances Are Only a Partial Fix, Shippers Say(抜粋)

▽カタールがイラン革命防衛隊の関係者拘束、破壊工作の疑い-国営通信<bloomberg日本語版>2026年3月4日 at 8:37 JST

  • 重要施設と軍事施設の情報収集、破壊工作を命じられていたという
  • 所持品から国内機関やインフラの位置情報と座標が発見された-QNA
カタールは世界の液化天然ガス(LNG)生産量の5分の1を占める
カタールは世界の液化天然ガス(LNG)生産量の5分の1を占めるPhotographer: Dwayne Senior/Bloomberg

Sherif Tarek

カタール当局は、イラン革命防衛隊のための活動が疑われる10人を拘束した。カタール国営通信(QNA)が伝えた。

  QNAによると、拘束された10人のうち、7人は国内の重要施設と軍事施設の情報収集、残る3人は破壊工作の実行を命じられていた。

  拘束された被疑者らはドローンを操作する訓練を受けており、イラン革命防衛隊との関係を認めている。所持品から国内機関やインフラの位置情報と座標が発見された。

  世界の液化天然ガス(LNG)生産量の5分の1を占めるカタールでは、北部ラスラファンにある世界最大のLNG輸出施設が2日、イランのドローン(無人機)による攻撃を受け、生産を停止した。操業約30年で完全停止は初めて。

  QNAによれば、カタールは4日未明にかけてイランの弾道ミサイル2発の攻撃受け、アルウデイドにある米空軍基地に1発が着弾した。犠牲者は報告されていない。

原題:Qatar Says It Arrested Two Cells Affiliated to IRGC: QNAQatar Says No Casualties After US Base Hit by Iranian Missile(抜粋)