中国の全人代(全国人民代表者大会)がきょう開幕する。会期は12日までの1週間。例年のことだがこの会議で今年の経済成長目標を決定する。Bloombergが今朝報じたところによると、中国政府は今年の成長目標を4.5%~5.0%に引き下げるようだ。大卒の就職難や物価低迷、賃金の伸び悩みなど深刻なデフレに見舞われている中国だ。経済の実態を見れば成長目標の引き下げは当然だろう。これでも高すぎるというのが個人的な感想だ。実態と乖離した経済統計の発表が常態化している中国のこと。新たな目標は「努力目標」と理解すれば納得できる。とはいえ、努力目標でも実現可能性がほとんどない目標の設定は、中国人民や企業のやる気を削ぐのではないか、他人事ながら心配になる。成長目標以外の数値目標も非現実的なものが多い。都市部で1200万人超の新規雇用創出、CPIの上昇率目標約2%の実現は怪しい。半面、国防費の7%増額計画、地方政府の特別債発行4兆4000億元、超長期特別国債1兆3000億元などはいかにもありそうだ。
大卒の失業率が20%近くに達しいる中国。需要を大幅に上回る供給能力は依然として修正されていない。余った製品は大幅なディスカウントで輸出する。これが国際社会の批判を浴びる原因だ。IMFなど国際機関は輸出重視から国内の消費を主体とした経済への転換を求めている。おそらく中国指導も頭ではその必要性を理解しているだろう。だが、共産党政権発足以来5年ごとに生産重視の計画経済を作成してきた国である。生産から消費重視への路線転換はすぐにはできない。いまだにデフレ脱却が宣言できない日本の支配者層と瓜二つだ。デフレ脱却には莫大な財政支出が必要になる。中国政府も日本にならってtoo little too lateなのだ。経済低迷の根源ともいうべき不動産開発に伴う不良債権処理は、いまだに何一つ手がつけられないままだ。遅くなれば遅くなるほど傷口は広がる。成長目標を引き下げても国防費は増える一方だ。これでは消費を主体とした成長経済への移行など夢のまた夢。
習近平総書記の権力基盤もガタガタと揺れている。経済が成長するためには安定政権が必要だが、どうやら政権内部では権力闘争が日常茶飯事になっているようだ。その中心は国防委員会。全人代メンバーに登録されている盟友2人の姿はない。当然だろう。権力闘争の結果逮捕されているのだ。それでも出席名簿から名前が削除されていないところに習総書記の“いま”がある。権力闘争の原因は台湾への武力侵攻と言われている。推進派の総書記と反対派の張又侠(チョウ・ユウキョウ)の戦いだ。幼馴染で盟友の長氏は汚職の濡れ衣を着せられている。そんな中国に欧米の首脳たちは列をなしてご機嫌伺いを続けている。31日からはトランプ大統領も訪中する。西側の政治指導者たちよ、大丈夫かと言いたくなる。Bloombergが入手した政府の年次活動報告書には、不良債権処理の文言は見当たらない。デフレ脱却は中国指導部の責任だが、中国詣に明け暮れる西側の首脳たちにもその一端があるような気がする。