• スペースXでもマスク氏の自由な発信が株価を動かす可能性
  • 「まず投稿し、後で説明する」の経営スタイルは変わるのか
サンフランシスコの連邦地裁に到着したイーロン・マスク氏(中央)
サンフランシスコの連邦地裁に到着したイーロン・マスク氏(中央)Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

Kurt Wagner

イーロン・マスク氏にとって最大の脅威であり続けているのは、ほかならぬ本人だ。世界一の富豪である同氏は4日、サンフランシスコの連邦地裁で、過去のツイートを巡り弁明を迫られるという見慣れた立場に再び立たされた。 

  マスク氏の証言は、当時ツイッターとして知られていた会社の買収を巡り、進展と停滞を繰り返していた約4年前に投稿したツイートに関するものだった。2022年5月、銀行や弁護士らが総額440億ドルの買収を最終調整していた最中、マスク氏は取引が「一時保留」だと突然投稿し、同社の株価は急落した。

  その後、マスク氏は最終的にツイッター買収を完了させた。しかし同社の投資家は、同氏の投稿がより有利な条件を引き出すため、会社の価値を意図的に押し下げる目的で使われたと主張し、提訴している。

  証言台でマスク氏は、自身のツイートは投資家によって文脈から切り離されたとし、「人々は私のすることに過剰な意味を読み込みがちだ」と語った。取引が破談になったとは言っておらず、「一時保留」としただけだと主張。「会議に遅れると言うようなものだ」と述べ、それは会議に行かないという意味ではないと説明した。

  それでもマスク氏は、多くの人が指摘してきた点、つまりオンライン投稿によって自ら最大の敵になりがちだという事実を認めた。「最も賢明なツイートではなかったかもしれない」と振り返り、「最も愚かなものだったかは分からないが、この裁判につながったのなら、そう言われても仕方がないだろう」と語った。

  筆者の知る限り、マスク氏ほど自らのツイートを巡って法廷で弁明してきた人物はいない。

  現時点で、マスク氏が自身のやり方を改める可能性は低いとみられる。同氏は「自ら招いた傷が多い」と認める一方、発言を抑制することは「言論の自由全体に萎縮効果をもたらす」とも考えている。

  しかし、スペースXの新規株式公開(IPO)が現実味を帯びる中、投資家はマスク氏の「まず投稿し、後で説明する」という経営スタイルを改めて念頭に置く必要がある。現在、スペースXやxAI、Xに関する発言の多くは非公開企業についてのものだが、これらはいずれ公開企業となり、一般株主を抱えることになる。

  最先端データセンターの建設から月面開発構想に至るまで、同氏の投稿は株価を動かし得るし、実際に動かす可能性が高い。投資家との摩擦を招くリスクは、今後さらに高まりそうだ。今回のツイッターを巡る裁判が、マスク氏にとって自身のSNS投稿について法廷で弁明する最後の機会になるとは考えにくい。

原題:Musk’s Uninhibited Tweets Land Him in Court Again: Tech In Depth(抜粋)