イランの最高指導者に故ハメネイ師の次男であるモジタバ師が選出された。イラン革命防衛隊(IRGC)に近いファルス通信(Fars News Agency)が8日伝えた。トランプ大統領は5日、後継としてモジタバ師の名前が浮上していることに関連して「アクシオス」のインタビューに応じ、同師が有力な後継候補であると認識しつつも、最高指導者に就くことは「受け入れられない」と発言している。そのモジタバ師がイランの聖職者で構成する「専門家会議」の「決定的な投票」により、最高指導者に選出された。イランの宗教指導者はトランプ氏の意向を知った上であえて選出したのだろうか。であればトランプ・イスラエル両国が仕掛けた戦争を、徹底的に戦うことを意味している。この決定を受けて原油価格は100ドルを突破した。モジダバ師の選出でイラン戦争は最悪の展開に突入し、長期化することを意味する。だがこれに先駆けてトランプ氏は6日、CNNのインタビューに応じ「イランを治めるのが宗教指導者であっても構わない」(CNN日本語版)との考えを示している。この戦争、一体どうなっているのだろう。
トランプ氏のCNNインタビューから引用する。タイトルは「トランプ氏、イランが民主国家にならなくても構わず」とある。最高指導者の資格について「誰かによる。私は宗教指導者であっても気にならない。多くの宗教指導者と仕事をしているが、彼らは素晴らしい」としている。イランの民主国家への転換については「いや、私が言っているのは、公平かつ公正な指導者であればいいということだ。良い仕事をして、米国やイスラエル、中東の他の国を適切に扱う人物。皆われわれのパートナーだ」と答えている。このインタビューの中でトランプ氏は、「イランとの戦争の次に政権が取り組む課題はキューバだ」との考えを示している。これ自体が大きなニュースだが、それはまた別の機会に。要するに宗教指導者でも構わないと言っているわけだ。じゃあなぜ戦争開始の当日、最高指導者であるハメネイ師を殺害したのだろう。保守強硬派の宗教指導者で構成されたイランの指導体制を転換するためだったのではないのか。殺害した当の最高指導者の次男でも良いのか、こちらの頭の方が混乱しそうだ。
問題はモジダバ師選出をトランプ師が了解していたかどうかだ。CNNがインタビューを行ったのが6日。最高指導者を選出する「専門家会議」が開かれたのが8日だ。時間的には両国間の調整の余地は十分にある。戦争当事者同士が最高指導者をめぐって調整することなど、常識的に考えてあり得ない。だが、相手は常識など通用するはずもないトランプ氏だ。父親を殺害した後にその息子を就任させることなど平気でやりそうだ。仮にこれが事実だとしたら、何らかの裏取引があるのだろう。ベネズレラの暫定大統領にマドゥロ政権の副大統領を起用した前例もある。でもこれはあまりにも非現実的な発想かもしれない。だとするとトランプ氏は大変な戦略ミスを犯しているのかもしれない。その可能性は十分にある。ハメネイ師は殺害されてイスラム革命の殉教者になった。トランプ氏がイラン戦争に仮に勝利したとしても、殉教者を奉る精神的な戦争はこの先1000年たっても終わらないだろう。それはトランプ氏の敗北を意味する。