
大阪市を廃止し特別区に再編する「大阪都構想」を巡り、大阪維新の会における亀裂が深まっている。制度案を作る法定協議会の早期設置に反対の市議団は、考え方が近い党創設者の松井一郎元代表と会食し意見を交わした。これに推進派の大阪府議団が「院政だ」などと反発し、吉村洋文知事(維新代表)と松井氏の対立も表面化。横山英幸市長(維新代表代行)は8日夜、法定協設置議案の今議会提出見送りを表明する一方、吉村氏は9日午後に府議会に提出する方針で、府市の対応が割れる形になっている。
「言いたいこと言えばいい」
大阪市の繁華街・ミナミ。松井氏行きつけの居酒屋で4日夜、維新市議20人余りと松井氏が鶏料理を囲んでいた。
「自分たちは都構想に反対しているわけじゃない。筋を通したいだけだ」。ある市議がそう言うと、松井氏は「そら、そうや」とうなずいた。
市議団は、令和5年の前回統一地方選で都構想を公約に掲げていないことを理由に法定協の早期設置に反対。4月ごろ開催する市民との対話集会を経て態度を決める方針だが、SNSなどでは後ろ向きだとの批判が出ている。
出席者によると、会合は党創設者でOBの松井氏への相談会といった雰囲気で、松井氏は「言いたいことは言えばいい」「行動を起こすのは当然だ」などとアドバイスしたという。若手市議は「不安が募る中で参加してよかった」と話した。
「市議団が利用」
法定協設置議案の提出時期が焦点となる中での会食は「きな臭さ」も漂う。市議団側の動きに反発するのが、早期設置を目指す府議団だ。政界を引退した松井氏がいまなお維新に影響力を及ぼすことに批判的な府議らは「なぜこんな会合を開いたのか」と憤りを隠さない。ベテランは「市議団が松井氏を利用している」と問題視する。
ただ府議団でも温度差はあり、別の府議は「市議団の言い分も理解できる。吉村氏らは一致団結できるよう順を追って進めるべきではなかったのか」と投げかけた。
「公約違反」に危機感
令和2年にそれぞれ市長、知事だった松井、吉村両氏は2回目の都構想住民投票で推進派の「二枚看板」として動いた。しかし最近は見解の対立が目立つ。吉村氏によると、昨年末から松井氏に都構想などを相談してきたが「考え方が一致しないところがある」。今は直接やり取りしていないといい、関係は冷え切った。
トップダウンで進めてきた吉村氏と慎重な市議団の間に立たされているのが、横山氏だ。法定協設置議案の提出を巡り、「丁寧に意見交換を重ねる」と繰り返してきた横山氏は、今議会への提出見送りを決めた。
一方、吉村氏は6日、予定通り9日に府議会に提出する方針を表明。府議団からの要望も踏まえて決断した。府議団を含め、都構想挑戦を掲げて知事・市長の出直しダブル選を実施した以上、来年4月までの任期中に手続きを進めなければ「公約違反」に問われかねないとの危機感がある。
松井氏は6日、自身のX(旧ツイッター)で「市会の意見を問答無用で押し切れば組織内の信頼関係は崩壊する」と指摘した。吉村氏はどう動くのか。
大阪都構想の法定協議案、今議会への提出見送り 横山市長がSNSで表明