- 対イラン戦争「ほぼ完了していると思う」とトランプ氏がCBSで発言
- ドルは下落に転じる、対円でも下げて一時157円64銭

Rita Nazareth
9日の米金融市場で株式相場は劇的な回復を見せた。10日目に入ったイランでの戦争が終わりに近づいているとの期待から、株と債券は持ち直した。原油価格は1バレル=100ドルを突破後に伸び悩み、ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は95ドル未満で引けた。ドルは下落に転じ、対円では1ドル=158円を割り込んだ。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6795.99 | 55.97 | 0.83% |
| ダウ工業株30種平均 | 47740.80 | 239.25 | 0.50% |
| ナスダック総合指数 | 22695.95 | 308.27 | 1.38% |
S&P500種株価指数は0.8%上昇。トランプ米大統領がCBSとのインタビューで、イランでの戦争は「ほぼ完了している」と発言したことを受け、上昇に転じた。S&P500種は一時は1.5%余り下げていた。

乱高下したこの日の取引は、中東紛争を巡るあらゆる展開に市場がいかにさらされているかを浮き彫りにした。単一のニュースだけで数十億ドル規模の損失が反転する状況だった。トレーダーらは急速に変化する地政学的紛争を前に、明確な取引の指針を得られずに判断を迫られており、資産横断的なボラティリティーは収まる兆しを見せていない。
BMOプライベート・ウェルスのキャロル・シュレイフ氏は「今週の市場は戦争の展開を見極めながら、非常に短期的な視点で、変動が大きく、ニュース主導の展開が続くだろう」と述べた。

中東での戦争に緩和の兆しが見られず、市場は揺さぶられている。ホルムズ海峡の通航が止まった状態が続き、世界への供給が遮断されている。サウジアラビアは代替ルートでの輸出拡大を急ぐ一方で、原油生産の削減を開始した。
主要7カ国(G7)各国はイランでの戦争を受けた世界的な石油備蓄の緊急放出について、具体的な調整を行う段階に「至っていない」と、G7議長国のフランスが明らかにした。一方で片山さつき財務相はG7財務相会合で石油備蓄の放出など必要な対応講じることで一致したと、記者団に明らかにした。石油備蓄の協調放出を巡って、会合で国際エネルギー機関(IEA)から要請があったという。
イラン戦争の激化が世界市場に打撃を与える中、米国株は今年、急落リスクが高まっている。ベテランのストラテジスト、エド・ヤルデニ氏が「急速に動く時代」と表現する現状を踏まえ、見通しを更新した。
ヤルデニ氏は、年内に相場が急落する「メルトダウン」の確率を従来の20%から35%に引き上げた。一方、投資家心理の過熱によってファンダメンタルズ要因以上に相場が上昇する「メルトアップ」の確率は、20%から5%へと大幅に引き下げた。
JPモルガン・チェースのトレーディング部門は、S&P500種株価指数が直近高値から約10%下落する可能性があるとの見方を示した。こうした調整局面にトレーダーは備えができていないとしている。同行グローバルマーケットインテリジェンス責任者のアンドリュー・タイラー氏は米国株に対して「戦術的弱気姿勢」に転じた。
アメリプライズ・アドバイザー・サービシズのアンソニー・サグリンビーン氏は「ボラティリティーは不快に感じるかもしれない」と前置きした上で「極端なボラティリティーはむしろ、株式の売りよりも、買いの堅実な入り口を投資家に提供するケースが多い」と述べた。
個別企業のニュースでは、人工知能(AI)スタートアップのアンソロピックが、米国のサプライチェーン(供給網)にリスクをもたらすと米国防総省に認定されたことを巡り、同省を提訴した。
米国債
米国債先物市場では終盤に買いが入った。トランプ米大統領が戦争は「ほぼ完了」と発言し、金融市場に落ち着きが戻った。トランプ氏はホルムズ海峡の掌握を検討しているとも述べた。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.71% | -4.2 | -0.89% |
| 米10年債利回り | 4.10% | -4.3 | -1.03% |
| 米2年債利回り | 3.53% | -2.7 | -0.75% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
米国債利回りは取引終盤に低下。長期債利回りが特に下げた。
アジア時間からロンドン時間序盤にかけては、原油高騰が米国債と欧州債を圧迫していた。
米国債のオプション取引では2年債と10年債に関し、強気なヘッジが目立った。
外為
ドルはトランプ氏の戦争「ほぼ完了」発言を受けて、下落。世界のエネルギー市場で高まっていた不安が沈静化した。ドルは対円で下げに転じ、158円を割り込んだ。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1201.43 | -1.91 | -0.16% |
| ドル/円 | ¥157.64 | -¥0.14 | -0.09% |
| ユーロ/ドル | $1.1637 | $0.0019 | 0.16% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
BMOアセット・マネジメントのビパン・ライ氏は「エネルギー価格に関するテールリスクは、全部ではないものの一部取り除かれた」と述べた。ドルはこれに押し下げられるだろうと続けた。

2月28日に米国とイスラエルがイランを攻撃して以来、ドルには安全資産としての逃避買いが集まっていた。米国が産油国であることも、ドルにはプラスだった。エネルギー価格の高騰はインフレ懸念をあおり、米利下げ観測が後退。11月の中間選挙を控え、消費者の暮らし向き不安があらためて注目されている。
パイオニア・インベストメンツのパレシュ・ウパダヤ氏は「トランプ氏の泣き所が明らかになったようだ」と話す。「中間選挙に向けて、同氏にはガソリン高騰による政治的な反発が強まるだろう」と述べた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は時間外取引で下落に転じた。トランプ大統領がイランでの戦争は「ほぼ完了している」と、CBSに対して述べたことが材料視された。
アジア時間に一時31%高と急騰した原油相場はその後、徐々に上値が重くなっていたが、ニューヨーク市場の通常取引終了後にトランプ氏の発言が伝わると下落。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物はニューヨーク時間午後4時2分現在、3.87ドル(4.3%)安の1バレル=87.03ドル。北海ブレントは4.13ドル(4.5%)安の88.56ドルとなっている。
通常取引ではニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限が、前週末比3.87ドル(4.3%)高の1バレル=94.77ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は6.8%上昇の98.96ドルで引けた。
金
金スポット相場は反落したが、終盤に下げ幅を縮小した。トランプ大統領がイランでの戦争が近く終結する可能性を示唆したことを受け、ドル指数が下げに転じたことが影響した。
スポット価格はアジア時間に一時3%安の1オンス=5015ドル近辺まで売られたが、その後は下げ幅を縮小した。
原油高を受けて米国でのインフレ懸念が強まっている。連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利をより長期にわたって据え置く、ないし引き上げる可能性さえあるとの見方が広がり、金相場を圧迫している。
オーバーシー・チャイニーズ銀行のストラテジスト、クリストファー・ウォン氏は「地政学的要因が市場のストレスとなっている局面では、投資家が現金を確保するために金などの資産を売ることがある」と指摘。「そうした局面が過ぎれば、地政学的な不確実性は通常、押し目での安全資産への需要を引き続き支える」と述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時49分現在、前週末比38.76ドル(0.8%)安い1オンス=5132.98ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、55ドル(1.1%)下落して5103.70ドル。
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