• 原油供給の見通し巡り相反するシグナル見極め-イラン戦争は11日目
  • 米エネルギー長官のSNS投稿で原油市場の混乱広がる、国債値下がり
米国株は反落
米国株は反落Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

10日の米金融市場では、株式相場が再び激しい値動きに見舞われた。イラン戦争が世界のエネルギー市場を揺るがす中、原油供給の見通しを巡る相反するニュースを見極める動きが広がった。ドルは値下がり。円は対ドルで一時下げた後に上昇に転じ、その後再び下落。1ドル=158円ちょうど付近となった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6781.48-14.51-0.21%
ダウ工業株30種平均47706.51-34.29-0.07%
ナスダック総合指数22697.101.150.01%

  S&P500種株価指数は一時の上げを失い、方向感に欠ける展開となった後、小幅安で引けた。原油のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は一時1バレル=80ドルを割り込んだが、その後下げ幅を縮めた。ホワイトハウスが、米国はホルムズ海峡で石油タンカーを護衛していないと発表したことが手掛かり。ライト・エネルギー長官の事務所は先に、タンカーを護衛したとSNSに誤って投稿したが、その後削除していた。ただWTIは終値で12%下落。イラン戦争が供給を脅かす中、世界の主要国が石油備蓄の放出を検討していることが背景にある。

Traders At The New York Stock Exchange As Stocks Fall As Oil Surge Boosts Treasury Yields
株は値動き激しくSource: Bloomberg

  戦争は11日目に入り、米国とイランは攻撃を激化させた。一方、ホワイトハウスはエネルギー市場の変動に対処するため、あらゆる選択肢を維持していると表明した。トランプ大統領は、イランがホルムズ海峡に機雷を敷設する準備を進めている、あるいは既に敷設を開始したとの報道を受け、同国に対し敷設しないよう警告した。

  フォレックス・ドット・コムのファワド・ラザクザダ氏は「原油価格の突然の急落は歓迎されたが、地政学的な背景はなお安定からは程遠く、市場は一段のボラティリティーにさらされやすい状況だ」と指摘。「最終的に市場にとって最大の要因となるのは、この地域からのエネルギー供給が正常に再開されるかどうかだ」と述べた。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)は、原油価格上昇を受けて連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派的対応を予想する投資家について、誤解の可能性があると指摘し、供給ショックは金利安定や大幅な利下げをもたらす場合もあると警告した。

  米国担当エコノミストのアディティア・バーベ氏はリポートで、エネルギーショックは物価安定促進と雇用促進というFRBの2つの責務の間に緊張をもたらす可能性があるため、必ずしもタカ派的対応にはつながらないと記した。

国債

  米国債相場は下落(利回り上昇)。原油相場が下落し、米国株が底堅く推移する中、2日間停止していた社債発行の動きが再開された。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.79%7.71.63%
米10年債利回り4.16%6.01.46%
米2年債利回り3.59%5.41.53%
米東部時間16時57分

  午後には、ライト米エネルギー長官が、米海軍がホルムズ海峡を航行する石油タンカーを護衛したとX(旧ツイッター)に投稿。だがその数分後にこの投稿は削除された。その後、タンカーの護衛が行われなかったことが分かると、原油の下げ渋りを背景に米国債は下げを拡大した。

  社債市場では、アマゾン・ドット・コムが大規模な社債発行に着手した。過去最大級となる可能性がある。午後に実施された3年債入札(発行額580億ドル)では、需要が市場予想を下回った。

  TDセキュリティーズの米金利戦略責任者、ジェナディ・ゴールドバーグ氏は「社債発行の急増は、中東情勢への懸念がごく近い将来に和らぐとの見方の中で、投資家がより多くのリスクを取る姿勢を示している」と述べた。

為替

  ニューヨーク外国為替市場ではドルが3営業日続落。トランプ大統領の9日遅くの発言が引き続き材料視され、リスク選好が改善する中でドルは売られた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1200.20-1.23-0.10%
ドル/円¥158.06¥0.390.25%
ユーロ/ドル$1.1610-$0.0026-0.22%
米東部時間16時57分

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は、ここ1カ月で最長の下げ局面となっている。トランプ氏は9日、対イラン戦争が「ごく短期に」終結するとの見通しを示した。

  ライト・エネルギー長官が、 米海軍がホルムズ海峡を航行する石油タンカーを護衛したとする誤った内容をSNSに投稿したことを受け、ドルは一時下げを拡大。ただその後、ホワイトハウスのレビット報道官が護衛の事実を否定したことから、下げ幅を縮めた。

  バンク・オブ・ナッソー1982のチーフエコノミスト、ウィン・シン氏は「きのうのイランを巡る前向きなニュースにもかかわらず、市場はまだ全面的に安心しているわけではない」と指摘。「紛争はなお続いており、米国の最終目標も不明なため、センチメントの変化や双方向のボラティリティー上昇に市場は引き続き脆弱(ぜいじゃく)だ」と述べた。

  円は対ドルで小幅安。朝方に軟化した後、157円40銭付近まで上昇する場面もあったが、終盤には158円13銭まで下げた。

原油

  ニューヨーク原油相場は反落。4年ぶりの大幅安となった。ただ、米軍がホルムズ海峡で石油タンカーを護衛した事実はないとのブルームバーグ・ニュースの報道を受け、下げ幅は縮小した。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は前日比12%安と、2022年3月以来の大幅安で引けた。一時は19%下落し、1バレル=80ドルを下回る場面もあったが、ライト・エネルギー長官の投稿が削除されたことを受けて下落幅を縮小した。

  戦略国際問題研究所(CSIS)の中東プログラム上級研究員、ウィル・トッドマン氏は削除された投稿について、「イランの姿勢を一段と硬化させる可能性が高い。米国には世界経済への打撃を和らげる選択肢が限られていることをイランは認識しているためだ」と指摘。

  また、米国がそうした作戦を取りやめたのではとの疑念が生じれば、湾岸産油国の間で不安が高まる可能性もあると述べた。

  石油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことを受け、北海ブレントとWTIはいずれも年初来40%余り上昇している。

  国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は、市場の状況を見極めるため10日に「臨時会合」を招集したと述べた。

  主要7カ国(G7)はIEAに対し、石油備蓄の緊急放出に向けたシナリオを準備するよう要請した。こうした一連の動きを受け、供給ショックが深刻化する前に国際社会が介入するとの見方が強まった

  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は、前日比11.32ドル(12%)安の1バレル=83.45ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント5月限は11%安の87.80ドルで引けた。

  金スポット相場は反発。ドルの下落で買いが優勢になったが、米エネルギー長官の投稿削除を受けて、上げ幅を縮小する場面もあった。

  TDセキュリティーズの商品戦略グローバル責任者バート・メレク氏は、原油価格は下落しているがなお高水準にあるため、インフレ率は一段と上昇すると指摘。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)の年内利下げを妨げるほどではないと金市場の参加者はみているという。利息を生まない金にとっては好材料だ。

  スポット価格はニューヨーク時間午後2時現在、前日比89.06ドル(1.7%)高の1オンス=5227.59ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は、138.40ドル(2.7%)上昇して5242.10ドル。

原題:Stocks Whipsawed by Oil Volatility Amid Iran War: Markets Wrap(抜粋)

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