• S&P500種は大半の銘柄が値上がり、航空株堅調-クアルコムも高い
  • FOMC決定控え、国債利回り低下-ドル下落し一時158円72銭
17日午前の米株相場は上昇
17日午前の米株相場は上昇Photographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

17日の米金融市場では株式相場が慎重ムードながらも続伸。原油価格は高止まりしているものの、株式への底堅い需要と堅調な業績見通しへの期待が相場を下支えしているとの指摘が聞かれた。

  連邦公開市場委員会(FOMC)の政策発表を18日に控え、米国債利回りは低下。ドルも値下がりし、対円では一時1ドル=158円70銭台を付けた。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6716.0916.710.25%
ダウ工業株30種平均46993.2646.850.10%
ナスダック総合指数22479.53105.350.47%

  原油のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は前日の売りから反発し、96ドルを上回って終えた。ただ、一時は1バレル=95ドルを割り込むなど、アジア時間から欧州時間にかけての上昇分の大半を削る場面もあった。

  S&P500種株価指数は小幅上昇。大半の構成銘柄が値上がりした。米航空株が高い。燃料費の上昇が見込まれる中、運賃値上がり前の駆け込み需要による予約状況が好調だと、一部の経営陣が指摘した。

  クアルコムも上昇。200億ドル規模の自社株買いと配当引き上げの計画を発表した。

  フォレックス・ドット・コムのファワド・ラザクザダ氏は、「市場は足元の緊張には過剰反応せず、先を見ようとしているようだ」と指摘。「それでも、過度に楽観に傾いているわけではない。紛争が長期化すれば、株式市場への下押し圧力が再び強まるリスクがある」と述べた。

  ナベリア・アンド・アソシエーツのルイス・ナベリア氏は、原油高にもかかわらず市場が買いへの意欲を示しているのは、株式への強い需要や、堅調な企業収益および経済成長が続くとの期待を反映していると指摘。

  「エネルギー情勢が安定するまでは変動の大きい展開を想定するべきだ」とし、「エネルギー市場の『正常』回帰が明確になれば、安心感による上昇局面(リリーフラリー)が見込まれる。イラン紛争の解決は早ければ早いほど望ましい」と続けた。

  RGAインベストメンツのリック・ガードナー氏は、株式市場は底入れを模索しているとの見方を示した。紛争はしばらく続く可能性があるものの、株式が必ずしもそれに追随するとは限らないという。

  「株式は戦争などさまざまなイベントに先行して動く傾向があり、終結を待たずに上昇することが多い」と同氏は指摘。「株式のバリュエーションは依然として魅力的で、新たな資金を投じようとする投資家にとって妙味ある参入機会となり得る」と述べた。

国債

  米国債は上昇(利回りは低下)。原油価格にやや落ち着きの兆候が見られる中、FOMCの政策発表を控え、利下げ観測が再び強まる可能性がある。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.85%-1.9-0.39%
米10年債利回り4.20%-1.6-0.37%
米2年債利回り3.67%0.00.01%
米東部時間16時03分

  ただ原油価格は高止まりしており、2月28日に米国がイランを攻撃し中東からの輸出が混乱する前の水準を上回っている。これが経済成長を圧迫しかねないとの見方も債券の買いにつながっている。

  FOMCは政策金利を2会合連続で3.5-3.75%で据え置く見通しで、四半期の経済・金利予測が市場の見通しを変える可能性がある。昨年12月時点の予測では今年の利下げは1回にとどまるとされていたが、ウォール街では、労働市場や金融環境を踏まえ、少なくとも2回の利下げが正当化されるとの見方が大勢だ。

  ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アリ・ハッサン氏は「現時点で市場は、紛争の長期化ではなく、数カ月内あるいは早期の終結を織り込んでいる」と指摘。「イランの紛争が数週間で収束すれば、年内に2-3回の利下げが実施される可能性が高い」と話した。

  バークレイズの金利ストラテジストは、FOMCは今回の会合で雇用と物価の両面のリスクを強調するとの見方を示した。また、市場は原油ショックが中期的に労働市場やインフレを悪化させる可能性について「油断しつつある」と指摘した。

外為

  外国為替市場では、ドルが下落。対円では一時158円72銭まで売られた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1207.17-1.95-0.16%
ドル/円¥159.05-¥0.02-0.01%
ユーロ/ドル$1.1534$0.00290.25%
米東部時間15時59分

  バノックバーン・グローバルのチーフ市場ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は、ホルムズ海峡でのタンカー護衛への協力を求めたトランプ氏の要請を多くのNATO加盟国が拒否していることについて「グリーンランドを巡る脅しの際とやや同様の反応を招いている可能性がある」と指摘した。当時もドルが下落していた。

  TDセキュリティーズの市場ストラテジストは、イラン紛争を背景に連邦準備制度理事会(FRB)が3月会合でインフレ見通しを引き上げ、年内の金融緩和はゼロとの予想を示すリスクがあると指摘。そうなれば、米国債利回りとドルを押し上げる可能性があるとの見方を示した。

  TDのオスカー・ムニョス氏らは「FRBがインフレリスクを優先する一方、他の主要中銀が成長鈍化と高インフレという二重の課題に直面する場合、金利差の拡大がドル高を支える可能性がある」とリポートに記した。

原油

   原油先物は反発。投資家はホルムズ海峡などイラン情勢に引き続き神経質になっている。イランはペルシャ湾周辺のエネルギーインフラへの攻撃を継続し、イスラエルはイラン高官を殺害したと発表した。

  ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=96ドル台で取引を終了。北海ブレント先物は4日連続で100ドルを上回って引けた。

  トランプ米大統領はこの日、ホワイトハウスで記者団に対し、イランについて「まだ撤退する段階ではないが、近い将来には撤退する」と述べた。

  一方、アラブ首長国連邦(UAE)の巨大ガス田「シャー」の操業が停止されたほか、イラクの油田もイランのドローン(無人機)やミサイルの標的となった。UAEで唯一、ホルムズ海峡の外側にある輸出拠点のフジャイラ港では、石油の積み込みが再び停止された。

  こうした攻撃は、戦争が3週目に入る中で世界のエネルギー供給見通しを一段と悪化させている。

  トランプ氏はホルムズ海峡の安全な航行確保に向けた支援を同盟国に呼びかけているが、多くの国は事実上拒否している。

  フランスのマクロン大統領は17日、「現在の状況では」ホルムズ海峡の航行再開に向けた作戦には参加しないと言明。ギリシャのミツォタキス首相は、自国と欧州はイラン近海でのいかなる軍事作戦にも参加しないと述べた。

  こうした状況を受け、トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、北大西洋条約機構(NATO)と日本、オーストラリア、韓国の支援は必要としていないと主張。「実際のところ、圧倒的に世界最強の国である米国の大統領として言うが、われわれは誰の支援も必要としていない!」と投稿した。

  中東では、UAEとクウェートは石油生産を一段と削減。サウジアラビアはホルムズ海峡を迂回(うかい)する代替ルートでの輸出を増やすべく急いでいる。

  TDセキュリティーズの商品ストラテジスト、ダン・ガリ氏は「これほど大きな穴を埋める手立てはない」と指摘。「今回の局面に限らず、中東の不安定な状況が長期化する可能性は高まっている」と述べた。

  ニューヨーク商業取引所のWTI先物4月限は前日比2.71ドル(2.9%)高の1バレル=96.21ドル。ロンドンICEの北海ブレント5月限は3.21ドル(3.2%)高の同103.42ドルで終了した。

  金相場はもみ合い。市場では、中東戦争に伴う原油供給混乱への対応と、インフレ懸念の両方が意識されている。金スポット価格は前日に続き、1オンス=5000ドル近辺で推移した。

  米国とイスラエルによる対イラン戦争が3週目に入り、エネルギー価格の上昇がインフレ懸念を高める中、米利下げ観測が後退。17-18日のFOMC会合で利下げが決まる可能性はほぼないと市場ではみられている。金利上昇は利子を生まない金にとって通常は下押し要因となる。

  もっとも、FRBの独立性への懸念や地政学リスクを背景とした逃避需要で、金価格は年初来で約16%上昇している。2月28日のイラン戦争開戦以降、金相場上昇の勢いは鈍っているが、景気減速とインフレ加速が同時に進むスタグフレーションへの懸念が、長期的には金を支える要因となる。

  UBSグループのストラテジスト、ジョニ・テベス氏は、市場参加者は金利上昇の可能性に注目しているが、これは「全体の一部にすぎない」とリポートで指摘。景気減速が財政・金融の刺激策を促せば金の上昇余地につながり得るほか、地政学リスクの高まりも安全資産需要を支えるとの見方を示した。

  金への投資意欲はとりわけ中国で底堅い。投資家は2月24日の春節休暇明け以降、上場投資信託(ETF)を通じた金保有を積み増している。

  金スポット相場はニューヨーク時間午後2時現在、前日比4.58ドル(0.1%)安の1オンス=5001.83。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は同6ドル(0.1%)高の5008.20ドルで終了した。

原題:Stocks Stage Cautious Advance as Oil Tops $96: Markets Wrap(抜粋)

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