2026年の春闘もスタートダッシュは好調だ。きのうは大手企業の集中解答日。自動車や電機などで満額回答が相次いだ。ロイターによると「トヨタの満額回答は6年連続。労組の要求は賃上げ(ベア等)で月額最大2万1580円、年間一時金は7.3カ月分だったが、組合の要求通りとした。同社の自社メディアは、佐藤恒治社長の『私たちの頑張りは自動車産業を、そして日本をもっと元気にすることにつながっている。今回の回答には、こうした想いを込めた』とのコメントを紹介した」とある。スズキは労組の要求を上回る金額を解答。3月期の業績予想を大幅に下方修正、上場以来初めて最終赤字となる見通しのホンダも満額回答した。気になる日産はどうなったか。業績不振で工場閉鎖が相次いでいるが、定期昇給分とベア合わせて1万円を要求した組合に満額回答している。日本の基幹産業というべき自動車業界が今年も春闘を牽引している。
自動車についで堅調なのは電機だ。三菱電機、日立製作所、NECが月額1万8000円の満額回答。三菱重工業は1万6000円で満額だった。1月時点のインフレ率は前年同期比で1、5%のプラス。自動車や電機などの産業別労働組合で構成する金属労協(JCM)の集計(昨日午後0時半現在)によると、回答額の平均は1万5450円(前年同期比5.1%アップ)となっている。あくまで暫定的な数字に過ぎないがインフレ率を大幅にアップしている。春闘回答はこれからも続く。イラン情勢の緊迫感や原油価格の高騰など経営環境の先行きは極めて不透明。中堅・中小企業の回答が出揃うまで楽観できない。とはいえ、インフレの進行に伴う値上げが相次いていることや、今年の売り上げ見通しを上方修正する動きが増えている。値上げが浸透すれば消費者には痛手となるが、消費者の多くは一方で生産者でもある。売上が増えれば賃上げしやすくなる。物価を上回る賃上げが続けば消費者に多少余裕もできるだろう。
中小企業はこれまで大手企業によって価格転嫁を抑制されてきた。だが、今年の1月1日に「中小受託取引適正化法(取適法)」施行された。これにより大手企業は下請けの中小企業に対して価格交渉を拒否できなくなった。中小企業はコスト上昇分の5割程度しか価格転嫁できなかったと言われている。新法の施工によって100%価格転嫁が可能になるわけではないが、価格交渉を通してコストの添加がしやすくなったのは確かだ。価格転嫁が進め場、中小企業にも大幅なベースアップの可能性が広がる。春闘と同時に中小企業とっては価格転嫁の推進も大きな課題になるだろう。イラン戦争によって経済の先行きは国際的に不透明感が強まっている。こうした中で春闘がとりあえず順調にスタートした。民間企業が元気を回復することが日本経済の再生にとって不可欠だ。これに消費税減税や政策投資の継続的な実施や積極財政が加われば、失われた30年からの脱却を意味する「脱デフレ宣言」も可能になる。