- カタールのラスラファン工業地区が攻撃で「甚大な被害」-当局
- 輸送の流れだけでなくインフラ損傷に伴う生産見通しも影響及ぶ恐れ

Elena Mazneva、Patrick Sykes、Salma El Wardany
原油と欧州の天然ガス価格が18日の取引で急上昇した。イランが湾岸諸国のエネルギー施設を標的にする可能性を警告した後、カタールの主要な液化天然ガス(LNG)拠点を攻撃した。
ICEフューチャーズ・ヨーロッパのデータによると、北海ブレント原油は3.8%高の1バレル=107.38ドルで引け、欧州の天然ガス価格も6%上昇した。ブレント原油は時間外取引で一時110ドル台に上昇した。先の警告を受けてガス価格が押し上げられたことに加え、カタールへの攻撃の報道を受けて米原油も時間外取引で上昇した。
カタールのラスラファン工業地区が、攻撃により「甚大な被害」を受けたと当局が明らかにした。同工業地区は世界最大のLNG輸出プラントを擁する。
同地区は、イランが自国の上流部門が受けた攻撃への報復として標的になり得ると事前に挙げていた湾岸地域のエネルギー資産の一つだった。今回の動きは紛争の拡大に伴うさらなるエスカレーションを示しており、輸送の流れだけでなく、インフラ損傷に伴う将来の生産見通しにも影響が及ぶ恐れがある。
軍事衝突で中東全域が混乱している。ホルムズ海峡は事実上、閉鎖され、石油・ガス生産は幅広く減少している。ただ、これまでイランのエネルギー上流部門はおおむね被害を免れ、供給への影響がさらに拡大しかねないとの見通しは限定的だった。
だが18日、イランは国内の巨大ガス田サウスパースと関連資産が攻撃を受けたことを受け、域内の精製・石油化学・天然ガス資産への差し迫った報復を警告した。ウッドマッケンジーの欧州ガス・LNG担当ディレクター、トム・マルゼックマンサー氏によると、今回の価格上昇は、戦争終結後に生産回復が遅れるリスクを市場が織り込んでいることを示唆している。
「生産に影響が出る可能性が高まった。ホルムズ海峡の航行が再開しても、供給の正常化にはかなりの時間を要する可能性がある」と述べた。

イランのサウスパース・ガス田は国内市場に加え、隣国イラクやトルコへの供給でも重要な役割を担う。関連する石油・石油化学資産もアサルイエで攻撃を受けた。
イランのファルス通信は18日、バーレーンのLNG精製施設が激しいミサイル攻撃を受けたと、情報源を明示せずに伝えた。この施設は米国の利害関係が及ぶ資産の一つとされる。
標的リスト
準国営のタスニム通信は、イラン革命防衛隊の声明を引用し、湾岸諸国のエネルギーインフラの一部を「今後数時間で直接的かつ正当な標的」にすると報道。具体的に、カタールやサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の製油所や石油化学施設、ガス田などを挙げた。
サウスパースへの攻撃は、戦闘開始以降でイランの上流施設が標的となる初の事例とみられる。米国は先週、原油輸出拠点カーグ島を攻撃したが、標的は軍事施設に限定していた。
ラボバンクのエネルギーストラテジスト、フローレンス・シュミット氏は「新たな攻撃で、戦争がもたらす実際の供給制約に再び注目が集まっている。エネルギー供給の制約は日々、強まっている」と指摘した。
イランが列挙した施設はいずれも何らかの形で米国の利害が関与しており、以下が含まれる。
- カタールのラスラファン製油所とメサイード石油化学コンプレックス
- サウジアラビアのサムレフ製油所とジュベール石油化学コンプレックス
- UAEのアルホスン・ガス資産
事情に詳しい関係者によると、サウジアラムコはイランのリスト公表を受け、予防措置としてサムレフとジュベールの施設から従業員を退避させている。
原題:Oil and Gas Prices Surge as Iran Attacks Major LNG Plant (4)(抜粋)