• ミサイル共同開発・生産含め安保協力を進めることで一致-高市氏
  • 米国産エネルギーの生産拡大で協力、自衛隊派遣などへの言及なし
高市早苗首相(左)とトランプ米大統領
高市早苗首相(左)とトランプ米大統領Photographer: Aaron Schwartz/CNP

照喜納明美

高市早苗首相は現地時間19日に日米首脳会談を行い、イランが事実上封鎖しているホルムズ海峡を巡り、日本が法的にできることとできないことをトランプ大統領に説明したと述べた。

  高市氏は首脳会談終了後、記者団に対し、ホルムズ海峡の安全確保は重要だとした上で、「日本の法律の範囲内でできることとできないことがある」とし、トランプ氏に「詳細にきっちりと説明した」と話した。

  尾崎正直官房副長官によると、米側からは同海峡航行の安全に対して貢献の要請があった。

  両首脳は米国産エネルギーの生産拡大に日米で共に取り組んでいくことを確認。高市氏は米国から調達する原油を備蓄する共同事業を実現したいと伝えたという。

  南鳥島周辺海域の海洋鉱物資源開発に関する協力などについての文書も取りまとめた。ミサイルの共同開発・生産を含め、幅広い安全保障協力を進めることでも一致したとしている。

  当初の予定では30分の会談後、ワーキングランチを行う予定だったが、会談は約1時間半にわたって行われた。昼食会は中止となった。

  高市氏は会談の冒頭では、イラン情勢に言及した上で「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルド(・トランプ氏)だけだ」と発言。トランプ氏は米国の支援要請に日本は応じつつあると一定の評価を下した。

  諸外国に働きかけて平和構築に向けたトランプ氏の取り組みを「応援したい」とし、「今日は私はそれを伝えに来た」と話した。

  今回の会談は、ホルムズ海峡の安全確保に向けた貢献を求めるトランプ氏と同盟国の間にきしみが生じる中で行われた。高市首相は自衛隊派遣など具体的な貢献の形についての言及は避けたものの、事態の沈静化などに向けた支援を行う姿勢を示した形だ。

  トランプ氏はホルムズ海峡の安全確保で各国に協力を求めたが、多くの国から事実上拒否されると一転して、北大西洋条約機構(NATO)加盟国や日本などの支援は必要ないと主張。米国以外の国々が同海峡の責任を担うべきだとの考えも示していた。

日本と強固な関係

  トランプ氏は、日本が「本当に責任を引き受けつつある」と述べ、NATO加盟国とは違うと発言。「米国はあらゆる面で日本と非常に強固な支援と関係を築いてきた」と語った。日本は米国から軍需品を追加購入したいと考えていると語り、会談で協議するとも述べた。 

  ただ、対イラン攻撃について日本や欧州の同盟国に事前通告がなかった理由を記者が尋ねると、ぎこちない雰囲気が漂った。トランプ氏は「不意打ちについて日本以上に熟知している国があるだろうか」と発言。「真珠湾攻撃について、なぜ知らせなかったのか」と笑みを浮かべながら語った。

  高市氏はこれを冗談としては受け流さず、口を引き結んだまま脇に座る側近らに視線を送った。

  高市氏は会談の冒頭、終始冷静な態度で応じた。短い発言の中で、トランプ氏への支持を繰り返し表明したほか、日米同盟への揺るぎない関与に謝意を示した。

  イランについて高市氏は、核兵器の開発は許容できないとの立場を改めて示し、「日本も働きかけをしてきた」と述べた。周辺国に対する攻撃やホルムズ海峡の実質的な閉鎖を非難し、茂木敏充外相からイラン側にやめるよう申し入れをしてきたと話した。

  茂木外相は9日と17日にイランのアラグチ外相と電話会談を行い、日本の立場を伝えるとともに事態の早期沈静化に向け働きかけている。

  高市氏はインド太平洋の安全保障環境も「大変厳しい中にある」とし、トランプ氏の揺るぎない同盟へのコミットメントに謝意を示した。  

中国

  高市氏は中国との関係を巡っては「対話はオープンだ」と述べた。米中関係も含め「地域の安定や世界のサプライチェーンに貢献するものであることを願っている」とした。

  トランプ氏は日中関係が「ややぎくしゃくしていることは承知している」と発言。中国の習近平国家主席との会談で日本を称賛する意向を示した。

  今回の会談はトランプ氏による訪中に先立って行われた。3月末に予定していた訪中は延期されたものの、対中戦略も会談の重要なテーマの一つだ。