- ブレント原油は112ドル超え、イラン原油輸出拠点の占拠検討の臆測
- 10月までの米利上げ確率が50%に上昇、金は週間で83年以来の大幅安

Rita Nazareth
20日の金融市場では、株式と債券に新たな売りが広がった。イランでの戦闘激化への懸念が原油価格を押し上げ、インフレや経済に及ぼす影響への不安が高まった。

米国が地上部隊派遣の可能性に向けた準備を進めていると、CBSが報じたことを受け、下げが加速した。トランプ米大統領は、イランと対話することは可能だとしながらも、停戦は望んでいないと述べた。米国がイランの主要な原油輸出拠点であるカーグ島の占拠を検討しているとの臆測が強まっているが、トランプ氏はこれについてコメントを避けた。北海ブレント原油は1バレル=112ドルを上回った。
短期金融市場では10月までに利上げが行われる確率が50%に上昇した。英10年債利回りは2008年以来初めて5%に達した。金は週間で1983年以来の大幅安となった。
ペルシャ湾からの供給の混乱により市場は動揺しており、ホルムズ海峡はほぼ停止状態に陥っている。米当局者によると、ホワイトハウスは数千人規模の海兵隊を派遣する方針だ。トランプ氏は、戦争への参加や水路の封鎖解除への協力に消極的な同盟国や中国を強く批判した。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.94% | 10.5 | 2.16% |
| 米10年債利回り | 4.38% | 13.0 | 3.07% |
| 米2年債利回り | 3.90% | 10.4 | 2.73% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
米国債市場では、5年債利回りが昨年7月以来初めて4%を上回り、10年債利回りは昨年8月以来の高水準となる4.39%に達した。
インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トレス氏は「投資家は当初、イランでの戦争は短期で終わると考えていた」と指摘。「しかし、終わりの見えないまま攻撃が激化する中、ウォール街では痛みが続いている」と述べた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事は原油価格の急騰がインフレに及ぼす影響について、慎重に見極める必要があるとの認識を示した。一方で、雇用市場の弱さを踏まえれば、年内にも利下げが正当化される可能性があると述べた。
ボウマン副議長(銀行監督担当)はFOXビジネスのインタビューで、年内3回の利下げを引き続き支持していると述べた。今年の経済成長は力強いものになると見込むが、対イラン戦争の影響を注視しているとも語った。
ニューヨーク・ライフ・インベストメント・マネジメントのジュリア・ヘルマン氏は「成長減速とインフレ再燃のどちらのリスクが大きいのか明確ではなく、FRBは板挟みになっている」と述べた。
イランでの戦争に伴う石油ショックで、FRBによる利下げの前提が崩れ、債券トレーダーは新たな戦略の策定を迫られている。20日までに見方が大きく転換し、利上げの織り込みすら強まった。
TDセキュリティーズのジェナディ・ゴールドバーグ氏は「戦略見直しの動きはインフレの高止まりに対応するためFRBが利上げを迫られるとの見方によるものだろう」と指摘。「当社はこの見方には同意しない。原油価格の急騰はスタグフレーション的な圧力の中で利下げを遅らせる要因にはなるが、金融環境のショックを引き起こすほど原油価格が上昇すれば、FRBは利下げで対応する必要が生じる可能性がある」と述べた。
株式
S&P500種株価指数はCBSの報道後、下げ足を速めた。
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6506.48 | -100.01 | -1.51% |
| ダウ工業株30種平均 | 45577.47 | -443.96 | -0.96% |
| ナスダック総合指数 | 21647.61 | -443.08 | -2.01% |
ケラックス・フィナンシャルのデービッド・ラウト氏は「株式相場は年初来で依然としてマイナス圏にあり、今週は2026年の新安値を更新した。これは、相場がまだ底を打っておらず、中東紛争がどの程度長期化するのかを見極め、織り込む過程にあることを示唆している」と述べた。

外為
外国為替市場では、ドルが上昇。イラン戦争長期化への懸念や、週末にエネルギー価格が急騰するリスクが意識される中、米国債が売られ、ドル買いが優勢になった。
米海兵隊が中東に追加派遣されるとの報道を受け、米国債利回りの上昇に追随してドルが上げた。円は対ドルで一時、1.1%安の1ドル=159円39銭を付けた。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1210.93 | 5.80 | 0.48% |
| ドル/円 | ¥159.24 | ¥1.51 | 0.96% |
| ユーロ/ドル | $1.1571 | -$0.0018 | -0.16% |
| 米東部時間 | 16時57分 |
みずほのジョーダン・ロチェスター氏は、市場はトランプ米大統領やイスラエルのネタニヤフ首相による前日の市場沈静化を狙った発言を踏まえ、週末を前に楽観的な見方に賭けるべきかどうかの判断を迫られていると指摘した。そのうえで、週末にエネルギー関連資産を巡る情勢が緊迫すれば、「週明け23日にかけて原油価格が再び急騰する可能性がある」と語った。
原油
原油相場は上昇。週間ベースでも値上がりした。中東での紛争が続き、ホルムズ海峡も事実上封鎖されるなかで、アナリストは危機が一段と深刻化する恐れを警告する。
北海ブレント原油は1バレル当たり112ドルを上回り、週間では約9%高。2022年7月以来の高値で取引を終えた。ウェスト・テキサス・インターミィディエート(WTI)は98ドル台で引けた。
米国防総省の当局者は、イランへの地上部隊派遣に向けた詳細な準備を進めていると、CBSは報じた。協議について説明を受けた複数の関係者を引用している。
一方で、米当局者によると、ホワイトハウスはイランの原油輸出拠点であるカーグ島の掌握計画を検討する中、中東に数百人規模の海兵隊を派遣している。
イラン当局者は、米国とイスラエルによる攻撃が続く中、ホルムズ海峡の再開については議論さえ避ける姿勢を強めているとするブルームバーグの報道も材料視された。
CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニアエネルギートレーダー、レベッカ・バビン氏は、「原油市場はニュースで振れる変動の激しい週を再び終えようとしている。トレーダーがショートポジションを縮小しており、週末にかけて再び騰勢を強めている」と指摘。
「この日の上昇は、イランの強硬姿勢や、ホルムズ海峡の運行状況に関する確証が限られていること、カーグ島が標的となり得るとの報道、中東への増派の動きが出ていることを反映している」と語った。

ロンドンICEの北海ブレント5月限は3.54ドル(3.3%)高の1バレル=112.19ドルで終了。ニューヨーク商業取引所のWTI先物5月限は2.68ドル(2.8%)高の1バレル=98.23ドルで引けた。
金
金スポット相場は8営業日続落。中東での戦争を受けてエネルギー価格が上昇し、利下げ観測が後退する中、売りが優勢になった。
週間では1983年以来の大幅安となった。
短期金融市場では10月までに米利上げが行われる確率が50%に上昇した。金利上昇は通常、利子を生まない金にとって逆風となる。
金は安全資産と広くみなされているが、米国とイスラエルによる先月のイランを攻撃開始以降は毎週下落している。エネルギー価格高騰がインフレや世界の経済成長に及ぼす影響への懸念から、株式や債券が売られる一方、ドルが上昇したことが背景にある。
ストーンX・ファイナンシャルのアナリスト、ローナ・オコネル氏は今回の金価格下落について、金融緩和の可能性後退が懸念される中、利益確定売りと持ち高解消が重なった結果だと分析した。
5200ドルを超える水準で多くの買いが入っていたため、市場は調整に対して脆弱(ぜいじゃく)になっていたと同氏は説明。価格が下落に転じると、多くの投資家がストップロスの発動水準に達し、売りが急速に加速したと付け加えた。さらに、移動平均線などのテクニカル指標も下落圧力を強めたと述べた。
金スポット相場はニューヨーク時間午後2時1分現在、前日比76.36ドル(1.6%)安の1オンス=4573.66ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は同30.80ドル(0.7%)安の4574.90ドルで終了した。
原題:Stocks and Bonds Fall as No End to War in Sight: Markets Wrap(抜粋)
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