先週行われた日米首脳会談の評価は概ね好評だ。私もそう感じている。オールドメディアはその理由として、高市総理とトランプ大統領の人間関係、日本が提案した経済協力や巨額の投資、息子のバロン氏を褒めあげた高市総理の“くすぐり作戦”などが功を奏した結果だと報じている。一般的にはそうだろう。今朝テレビの情報番組を見ながら「なるほど」と腑に落ちたことがある。朝日新聞出身のフリージャーナリスト、峯村健司氏の発言だ。同氏は今回の首脳会談の評価は点数にしてい95点と、週末のテレビ番組で高い採点をつけている。高すぎるという気がしていたのだが、同氏によると「視聴者から多くの苦情を受けています。だけど私の評価は変わらない。ブレません」と説明。その理由は「首脳会談の直前にまとまった6カ国首脳の共同声明にある」と強調した。この声明は各種メディアで報道されているが、間近に迫った首脳会談に関心が向かっていたため、ほとんど取り上げられなかった。

共同声明に署名したのは6カ国の首脳。日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダだ。共同声明を主導したのは日本とイギリスだと言われている。トランプ氏はホルムズ海峡防衛をめぐって有志国連合の結成を呼びかけたがフランス、ドイツなど欧州諸国は早々に不参加を表明。トランプ氏の怒りを買っていた。トランプ氏と欧州の決定的な対立に割って入ったのがこの共同声明だ。Yahooニュースによるとホルムズ海峡の安全な航行の確保に向け「適切な取り組みに貢献する用意がある」と表明したほか、イランによる商船や石油・ガス施設を含む民間インフラへの攻撃、そして、ホルムズ海峡の事実上の封鎖を「最も強い言葉」で非難したのだ。この共同声明作成を主導したのが日本。首脳会談でトランプ氏は、国名は出さなかったもののNATOに比べれば日本はかなり責任を果たしていると評価した。高市総理の“くすぐり作戦”の前に、深く静かに潜航して日本は外交努力を続けていたのである。ちなみにこの共同声明がトランプ氏に届いたのは、首脳会談の2時間前だったという。ギリギリの攻防だったわけだ。

日本とイランは親密な関係にある。首脳会談の前にイランに拘束されていた日本人が解放されている。これも茂木外務大臣とアラグチ外相の話し合いが奏功した結果だろう。首脳会談の直前に解放したことは、イランの日本に対するある種のメッセージだったのかもしれない。こうした努力を総合的に判断してトランプ氏は、日本外交に対する期待を込めて高市総理を笑顔で迎えたのではないか。トランプ氏には人間関係やくすぐり作戦に弱いとのイメージがある。だが今回は日本外交の努力を冷徹に見極めたのではないか。その上で高市総理を評価をした。これまで拱手傍観しかできなかった日本外交が仕掛け、粘りに粘った。それを承知の上でトランプ氏は首脳会談で7回も「step up」と発言したのではないか。この責任は日本政府に重くのしかかる。首脳会談は単なる儀式でも通過儀礼でもない。ホルムズ海峡の安全航行に向けて日本政府は自ら重い責任を背負ったとこになる。それを評価し期待すべきだろう。