トランプ大統領は23日、イランの電力関連施設への攻撃を5日間延長すると表明した。このニュースを見た時の率直な印象は、「ほう、そう来たか」というものだった。トランプ発言を真剣に追いかけているわけではなが、過去の発言に馴染んだせいか最近は、「まずは疑う」という癖がついている。大統領が「ホルムズ海峡を48時間以内に解放しなければ、電力関連施設を徹底的に爆撃する」と発言したのが22日だ。48時間後というのは24日の午前中。この時は「多分何かが裏で動いているのだろう」、そんな印象を受けた。そして昨日(23日)、大統領は「攻撃の5日間延長を軍に命じた」。ロイターはトランプ氏の発言を以下の通り伝えている。「敵対関係の完全かつ全面的解決に向け過去2日間、非常に良好で生産的な協議を行った。進行中の協議の成果を条件とし、イランの発電所とエネルギーインフラへの軍事攻撃を5日間延期するよう国防総省に指示したことを明らかにした」。
トランプ氏の発言を受けてイランの交渉当事者に指名されたガリバフ国会議長は、「米国との間でいかなる協議も行われていない」とXに投稿した。さらに「原油市場を操作するために『フェイクニュース』が利用されている」と非難、その上で「イラン国民は侵略者に対する完全な処罰を求めている」。トランプ発言の全面否定だ。これを見れば「嘘をついているのはどっちだ」と叫びたくなる。だが、問題はそういうことではないだろう。推測するに交渉は水面下で非公式に続いていた。交渉関連の情報は随時トランプ氏にもガリバフ氏にも届いている。おそらくトランプ氏は交渉が暗礁に乗り上げようとしたその瞬間を捉えて、「48時間」発言をしたのではないか。これにイランが反応したかどうかわからない。穿った見方をすればトランプ氏は「交渉は決裂しない」との確信を得て、イランを脅すふりをした可能性もないとはいえない。48時間と5日間の延長は最初からシナリオに書いてあったのかもしれない。
こうした経緯をまともに受けて世界中のマーケットは急落と急騰を繰り返している。マーケットのディーラーはトランプ氏のディールに巻き込まれて、疑心暗鬼に陥っていることだろう。このシナリオが事実かフェイクか、今週中にも明らかになるのだろう。一説によるとトランプ氏は4月9日を戦争終結日に決めているという。この日は開戦当日の爆撃で死去した最高指導者ハメネイ氏の死後40日目に当たるそうだ。イランでは40日経つと死者の喪が明けるという。トランプ氏には場当たり的な印象が付き纏っているが、こういう事実を示されると意外に計画性があるようにも見える。今回の停戦交渉は水面下で緻密に計画されていた可能性もある。ロイターは米国の当局者の話として以下のように伝えている。「バンス米副大統領とウィットコフ特使、クシュナー氏が今週中にイスラマバードでイラン当局者と会談する予定だ」と。戦争反対派のバンス氏が含まれていることが、今回の一連の動きのポイントかもしれない。