• ルビオ国務長官やバンス副大統領らがイランと交渉-トランプ氏
  • 米国と仲介国は26日にも高官の和平協議開催の可能性巡り協議と報道
S&P500種はもみ合い
S&P500種はもみ合いPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

24日の米金融市場では株式相場が下落。イラン戦争を巡るさまざまな展開が意識される中、紛争終結に向けた協議への期待を背景に、この日の安値からは離れた。原油は上昇し、国債は下落した。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6556.37-24.63-0.37%
ダウ工業株30種平均46124.06-84.41-0.18%
ナスダック総合指数21761.89-184.87-0.84%

  S&P500種株価指数は午前中に1%近く下落する場面もあったが、そこから下げを縮めた。トランプ米大統領は、ルビオ国務長官やバンス副大統領、特使らがイランと交渉を行っていると述べた。またニュースサイトのアクシオスは、米国と中東の仲介国は早ければ26日にも高官レベルの和平協議を開催する可能性について協議しているが、イランの反応を待っている状況だと伝えた。

Stocks Rise Amid Economic Surprise as Oil Whipsaws
米国株は下落、原油は上昇Source: Bloomberg

  トランプ氏は中東への追加派兵を進める一方、イランから誠意の記しとして「贈り物」が提示されたと示唆した。詳細は明らかにしなかったが、ホルムズ海峡を通じたエネルギー流通に関連するものだと認めた。イランは、非敵対的な船舶は同国の条件の下で同海峡を通過可能だとしている。

  原油の北海ブレント先物は1ドル=104ドルを上回って引けた。ドルは上昇。円は対ドルでの下げを広げ、1ドル=158円台後半から159円台前半で推移した。

  ミラー・タバクのマット・メイリー氏は「結局のところ、ホルムズ海峡の再開にかかっている」と指摘。「今週末に交渉で『大きな進展が見られる』との報道があっても、海峡の制約が続く限り、そうした報道だけでは不十分だ」と述べた。

  世界の市場を揺るがしている紛争は25日目に入り、なお激化が続いている。米国は、第82空挺(くうてい)師団から約3000人の部隊を中東に派遣する計画だと、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が24日に報じた。第82空挺師団は、世界のどこへでも18時間以内に展開できるよう設計・訓練された精鋭の即応部隊だ。奇襲作戦の実施や飛行場などの重要拠点の確保を任務としている。

  メイリー氏は地政学リスクに加え、プライベートクレジット市場が抱える問題も解消していないと指摘。そうした問題を軽視するのは「良い考えではない」と述べた。

  プライベートクレジット大手のアレス・マネジメントとアポロ・グローバル・マネジメントは、投資家の償還請求に対し、上限額を制限した。1兆8000億ドル(約286兆円)規模のプライベートクレジット市場でストレスが強まっている兆候とみられる。

  バークレイズのベヌ・クリシュナ氏は、中東戦争や人工知能(AI)による変革、プライベートクレジットのストレスといったマクロリスクの高まりにもかかわらず、S&P500の年末目標を7650に引き上げた。

  同氏はリポートで、「マクロ環境はより脆弱(ぜいじゃく)になっている」と指摘。一方で「米国は他の主要国より強い名目成長を維持している。テクノロジー分野には長期的な成長エンジンがあり、その勢いは衰えの兆しをほとんど見せていない」と記した。

国債

  米国債は下落。中東での戦争長期化により原油主導でインフレが再燃するとの懸念が広がり、この日の国債入札は低調な結果となった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.93%1.70.35%
米10年債利回り4.37%2.40.55%
米2年債利回り3.90%4.51.18%
米東部時間16時44分

  2年債入札(発行額690億ドル)での需要が予想外に弱かったほか、米国が約3000人の部隊を中東に派遣する計画だとWSJが報じたことを手掛かりに、米国債は下げを拡大した。原油が値上がりする中、全年限で利回りが上昇。2年債は一時10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して3.96%となった。

  TJMインスティテューショナル・サービシズの金利ストラテジスト、デービッド・ロビン氏は「今回の入札は、不運にも非常に不安定で先行きが見通しにくい時期に実施された」と指摘。その上で、「リスクとリターンのバランスは明らかにリスク側に偏っている」と述べた。

  ニューヨーク時間午後1時の入札前から、米国債利回りは2-4bp上昇していた。原油の値上がりに連動した。原油価格は2月末以降に急騰しており、小売りのガソリンを通じてインフレ指標を押し上げる可能性があることから、債券市場における主な変動要因となっている。

  2年債入札では最高落札利回りが3.936%と、入札前取引(WI)水準を上回り、需要が期待に届かなかったことを示した。今回の最高落札利回りは、2年債入札として昨年5月以来の高水準となる。前回2月24日の入札では、2022年以来の低水準となっていた。

為替

  外国為替市場ではドルが上昇。WSJの報道を材料に、ブルームバーグ・ドル・スポット指数はこの日の高値を付けた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1209.283.510.29%
ドル/円¥158.75¥0.310.20%
ユーロ/ドル$1.1603-$0.0010-0.09%
米東部時間16時44分

  ゴールドマンは、イラン戦争が成長を下押しすればドル高の勢いは弱まると指摘する。同社のイザベラ・ローゼンバーグ氏は24日付のリポートで、「市場はおおむね、原油ショックをインフレや交易条件の問題として織り込んできたが、成長の下振れリスクが強まれば、主要10通貨に対するドルの広範な上昇は抑制される可能性が高い」と分析した。

  円は対ドルで下落。一時1ドル=159円19銭となり、市場で注目される160円に接近した。日本政府は、中東情勢の影響を受けている供給網の確保や金融市場の安定化に向けた対策に試行錯誤している。高市早苗首相は24日、エネルギー源ではない石油関連製品の供給網維持に向け、世界の供給状況や国内在庫の量を踏まえた対応方針を取りまとめるよう、赤沢亮正経済産業相に指示した

原油

  原油先物は反発。前日はイラン発電所への攻撃計画を5日間延期するとのトランプ大統領の発言で急落していたが、この日はイラン戦争激化への懸念から再び買いの勢いが強まった。

  米国は第82空挺(くうてい)師団から約3000人の部隊を中東に派遣する計画だと、WSJが報じた。

  また複数の関係者によると、湾岸アラブ主要国は、米国とイスラエルによる対イラン戦争への参戦を検討している。ただし、参戦はイランが湾岸の電力や水インフラといった重要施設を攻撃した場合に限られ、そのハードルは高いという。

  一方、米国と地域の仲介国が26日にも戦争終結に向けたイランとの高官級協議の開催を検討しているとニュースサイトのアクシオスが伝えた。イラン側はまだ応じていないという。これを受けて、原油価格は上げ幅を縮小する場面もあった。

  関係者によると、パキスタンも戦争終結に向けた協議を仲介する動きを強めており、陸軍トップがトランプ大統領と電話会談を行った。

  事実上の封鎖状態が続くホルムズ海峡を巡っては、 イランが一部の商業船舶に対し、通航料金の徴収を開始した。関係者によると、状況に応じて航行1回当たり最大200万ドル(約3億2000万円)の支払いが求められ、非公式な通航料が設定されている。

  ヘリマ・クロフト氏らRBCキャピタル・マーケッツのアナリスト陣は「裏ルートでの協議がどこまで進展しているのか、またホルムズ海峡を依然として掌握している中で、イスラム革命防衛隊(IRGC)に歩み寄りの意思があるのかは不明だ」と指摘。「現物市場にとって重要なのは発言ではなく、実際の船舶の通航状況だろう」と述べた。

  ロンドンICEの北海ブレント5月限は前日比4.55ドル(4.6%)高の1バレル=104.49ドルで終了。ニューヨーク商業取引所のWTI先物5月限は4.22ドル(4.8%)高の92.35ドルで引けた。

  金スポットはもみ合い。金は他の資産クラスと同様、イラン戦争関連のニュースが相次ぐ中で不安定な値動きが続いている。

  午後の取引では、米国が中東への増派を計画しているとのWSJ報道が材料視され、売りが強まる場面があった。

  足元ではエネルギー価格高騰によるインフレリスク上昇で、米利上げ観測が浮上。利子を生まない金にとって金利上昇は逆風となる。

  また世界的な株・債券の下落も換金目的の売りを促し、弱気相場入り目前にある金の下げを一段と増幅させている。

  バッファロー・バイユー・コモディティーズのクロス資産マクロ戦略・トレーディング責任者、フランク・モンカム氏は、タカ派な米金融政策を織り込む動きや利回り上昇に伴うドル高が最近の金の下落を招いていると話す。

  さらに重要なのは、個人投資家のレバレッジ縮小に加え、原油価格の高騰を受けて外貨準備を補強するために金を売却している中央銀行など、新興国の市場参加者による売りが、下げをさらに加速させている点だと指摘した。

  匿名を条件に語った関係者によると、トルコ中央銀行はイラン戦争に伴う変動から通貨リラを防衛するため、大規模な金準備の活用も含めた対策を策定しており、ロンドン市場で金と外貨のスワップ取引の実施を協議した。

  同様のパターンは2022年初めのロシアによるウクライナ侵攻後にも見られた。安全資産である金は当初急騰したものの、その後はエネルギー価格ショックが市場全体に波及し、インフレ圧力を高めたことで数カ月にわたり下落した。

  スタンダード・チャータードの商品調査部門グローバル責任者スキ・クーパー氏は「今回の金相場の調整では通常以上にアンダーパフォーマンスが目立つ」と指摘。「市場が大きく動揺する局面では、流動性の高い金に対して資金を必要とする投資家による換金売りが出やすく、4-6週間にわたり弱地合いが続くことも珍しくない」と述べた。

  ニューヨーク時間午後2時31分時点で、金スポット価格は前日比8.88ドル高の1オンス=4416.06ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は同5.40ドル(0.1%)安の4434.10ドルで終了した。

原題:Stocks Pare Drop on Hormuz Hopes as War Drags On: Markets Wrap(抜粋)

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