• S&P500種は一時1.2%高、戦争終結に向けた米国の取り組み加速を好感
  • ドル指数続伸、円は一時159円50銭に下落-北海ブレントは100ドル台
イラン停戦期待が勝り、米株価指数は反発している
イラン停戦期待が勝り、米株価指数は反発しているPhotographer: Michael Nagle/Bloomberg

Rita Nazareth

25日の米金融市場では原油価格が下落し、株式と国債は上昇した。米国とイランの停戦交渉が実現するかどうかを見極めたいとのムードが広がる中、やや神経質な展開となった。

株式終値前営業日比変化率
S&P500種株価指数6591.9035.530.54%
ダウ工業株30種平均46429.49305.430.66%
ナスダック総合指数21929.83167.940.77%

  主要な米株価指数はそろって反発。イランが戦争終結に向けた米国の計画を拒み、イスラエルや周辺国への攻撃を続けていると報じられたが、停戦に向けた米国の外交的取り組みが加速しているとの見方が、そうした悪材料を打ち消した。

  S&P500種株価指数は今週に入って2回目の上昇。一時は1.2%上昇し、0.5%高で終了した。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は1バレル=90ドルを若干上回る水準で引けた。

  ホワイトハウスのレビット報道官は、米国がこの3日間にわたってイラン側と生産的な協議を行ってきたと述べた

  イランの準国営ファルス通信によると、イラン側はトランプ米大統領による間接交渉開始の動きは非論理的で、戦争の現段階では実現不可能としている。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのエリアス・ハダッド氏は「戦略的な曖昧さは残っているが、市場は紛争解決に備えつつある」と指摘。「最終的には、米国の緊張緩和への転換にイランがどう対応するか」がポイントだとし、「それが懸念のピークが既に過ぎたのか、これから訪れるのかを左右する」と述べた。

  ビスポーク・インベストメント・グループのストラテジストらは「現時点では交渉がどういった状況にあるかについて、事実関係を把握する手段がほとんどない。従って、今後も相場の乱高下は続くとみられる」と指摘した。

  トランプ氏と中国の習近平国家主席は5月14-15日に北京で首脳会談を開催すると、レビット報道官が発表した。イラン戦争を受けて当初の日程が延期され、両国関係に新たな不確実性が生じていた。

  ネーションワイドのマーク・ハケット氏は、地政学が引き続き主要な材料だが、より注目すべきは株式市場の底堅さかもしれないと指摘した。

  「大幅な下落は見られておらず、個人投資家の押し目買いが続いていることを示唆する」と分析。「緊張が和らぎ始めれば、機関投資家は様子見姿勢を急速に転換せざるを得ず、それが力強い反発を生む可能性がある」と述べた。  

  グラナイト・ベイ・ウェルス・マネジメントのポール・スタンリー氏は、地政学的な出来事は流動的であり、情勢がいつでも変わり得るため、過度に弱気にならないことが重要だと話す。

  「緊張緩和のさらなる兆候が示されれば、リスクオンの動きは一気に広がり得る」と指摘。「株式はこうした地政学的な出来事から想定以上に速く回復する傾向がある」と述べた。

  同氏はその上で、4月中旬に始まる決算発表シーズンまで、相場は変動の大きい展開が続く可能性があると予想。決算発表時には再び、ファンダメンタルズや景気、人工知能(AI)に関心が向かうためだと語った。

外為

  外国為替市場ではドル指数が続伸。ニューヨーク時間の朝方は下げていたが、米国が提案した戦争終結計画をイランが拒んだことを受けて上昇に転じた。

為替直近値前営業日比変化率
ブルームバーグ・ドル指数1211.352.070.17%
ドル/円¥159.47¥0.770.49%
ユーロ/ドル$1.1558-$0.0050-0.43%
米東部時間16時52分

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.2%上昇した。

  プレステージ・エコノミクスのジェイソン・シェンカー社長は「ドルの短期的見通しはこの紛争に大きくかかっている」と述べた。

  バークレイズの投資モデルによれば、米国株の大幅下落を受け、世界ポートフォリオのリバランスを進めるファンドマネジャーらは、3月末および第1四半期末にかけてドルを買う必要がある。

  円はドルに対して下落。一時0.5%安の159円50銭を付けた。

  ポンドは対ドルで0.4%近く下落した。 

米国債

  米国債相場は上昇(利回り低下)。ただ、5年債入札の需要が弱かったことを受け、上げ幅を縮小する展開となった。

国債直近値前営業日比(bp)変化率
米30年債利回り4.90%-2.7-0.56%
米10年債利回り4.33%-2.8-0.64%
米2年債利回り3.89%-0.3-0.09%
米東部時間16時52分

  5年債入札(700億ドル規模)の最高落札利回りは3.980%と、昨年7月以来の高水準で、入札前取引(WI)水準(3.966%)を上回った。前日の2年債入札に続き、需要の弱さを示したが、市場の反応は前日ほど大きくなかった。

  原油相場の下落を受けて、利回りは全般に低下した。

  米財務省は26日には7年債入札(440億ドル規模)を実施する。

原油

  ニューヨーク原油先物は下落。イランとの戦争終結に向けた米国の外交努力が意識され、中東情勢緊迫化に伴うリスクプレミアムが低下した。

  ただ、イラン側は米国が示した15項目の停戦案を受け入れないと伝わり、下げ幅を縮小した。イランのブシェール原子力発電所が再び攻撃を受けたとの報道も下値を支えた。

  北海ブレントは一時7%下落して97ドルに近づいていたが、再び100ドルを上回って終えた。

  TP ICAPグループのエネルギー専門家、スコット・シェルトン氏は「市場は停戦の可能性が高いとの見方を織り込んで動いているようだ。ただ、売りポジションがほとんど残っておらず、買い戻しの余地が乏しいことが極端な値動きを招いている可能性もある」と述べた。

  一方、イラン国営プレスTVによると、イランは戦争終結に向けてトランプ大統領による決定は容認せず、自らの判断で決めると主張。ホルムズ海峡に対するイランの主権的権利の行使に関する国際的な承認などを含め、5つの条件を示した。

  米国と共にイラン攻撃を行っているイスラエルが、トランプ氏の提案に同意しているのかも不明だ。イスラエル当局者は、当面はイランへの攻撃を継続するとしている。 

  ロンドンICEの北海ブレント5月限は前日比2.27ドル(2.2%)安の1バレル=102.22ドルで終了。ニューヨーク商業取引所のWTI先物5月限は2.03ドル(2.2%)安の90.32ドルで引けた。

  金スポット価格は続伸。米国がイランとの戦争終結に向けた15項目の計画を策定したことが好感された。

  一時は2.8%高の1オンス=4602.34ドルまで買われた。前日も停戦協議への期待から10営業日ぶりに反発し、1.6%上昇していた。

  イランは米国の停戦案を拒否し、イスラエルや湾岸諸国への攻撃を継続すると表明したが、相場が大きく崩れることはなかった。

  BMOキャピタル・マーケッツのコモディティー(商品)アナリスト、ヘレン・エイモス氏は「提案は拒否されたが、米国が何らかの解決策に向けて動く意思があることを示すシグナルだと市場では受け止められた」と指摘。「米国は対話の糸口を探っており、それが重要だ」と述べた。

  イラン戦争開始から3週間余りが経過する中、金はおおむね株式と足並みをそろえ、原油とは逆相関の関係にあった。エネルギー価格高騰によるインフレリスクの高まりで、米連邦準備制度理事会(FRB)など主要中銀が金利を据え置くか、引き上げるとの観測が強まっていることが背景にある。これは利子を生まない金にとっては逆風となる。

  UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのマーク・ヘーフェル氏は、投資家のポジション縮小や中東からの買いの減少、利上げ観測が金価格の重しになっているとリポートで指摘。「これらの要因の一部は今後数カ月で反転する可能性があり、足元の金の下げは買い増しの好機とみている」と述べた。

  ニューヨーク時間午後2時31分時点で、金スポット価格は前日比78.67ドル高の1オンス=4554.18ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物6月限は同151.40ドル(3.4%)高の4585.50ドルで終了した。

原題:Stocks Rise, Oil Falls as Truce Prospects Weighed: Markets Wrap(抜粋)

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